令和初の11月22日(いい夫婦の日)を迎え、結婚ラッシュに沸いた芸能界。壇蜜ら週プレと縁深いタレントも多数結婚したが、今年最も世間を騒がせたのは山里亮太・蒼井 優のカップルか――。
タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に思うあんなこと、こんなこと。
* * *
11月は芸能界の結婚ラッシュでした。「嵐」の二宮和也さんと元フリーアナウンサー、壇蜜さんと漫画家の清野とおるさん、「メイプル超合金」の安藤なつさんと一般男性、「Official髭男dism」の藤原 聡さんと一般女性、川村ゆきえさんと「back number」ドラムの栗原 寿さん、「オードリー」若林正恭さんと看護師、日本テレビ尾崎里紗アナウンサーと大学時代の同級生、元「ももいろクローバーZ」の有安杏果さんと一般男性、イモトアヤコさんと『世界の果てまでイッテQ!』の石崎史郎ディレクター、「ますだおかだ」の岡田圭右さんと一般女性、橋本マナミさんと勤務医、内山信二さんと一般女性......。
11月22日が令和元年いい夫婦の日だったので、その前後に婚姻届を出したカップルが多かったようです。内山さんはいい肉の日で29日とのこと。
芸能界では、結婚によってファンが離れることを懸念して本人の意思にかかわらず独身を通さなければならないような慣習が長らくあったのだと思いますが、それも以前よりは緩んできたようです。でも女性タレントが結婚すると報道で「なお、〇〇さんは妊娠していない」というのがつくのは相変わらずですね。
できちゃった婚かどうかってそんなに大事なんでしょうか。女性タレントの今後の仕事への影響が知りたいからということかもしれないけど、それは本人がしかるべきタイミングで関係者に伝えればいいこと。問い合わせにいちいち答えるのが手間なので「妊娠してませんよ」と発表してしまうほうが楽なのかな。でも毎度違和感でいっぱいです。
ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は、2017年に野党党首に就任した際に、テレビのトーク番組で司会者から「仕事と出産のどちらを選ぶか決めたということか」と質問され、「女性が出産するかどうかは女性自身が決めること。仕事の機会を与えることにあらかじめ影響するべきことではない」と述べて注目されました。
同年10月に首相に就任する6日前に妊娠が判明していたことを後に公表し、2018年には現役の首相として産休を取り、出産後は子連れで国連総会に出席しました。なんでここでいきなり外国の首脳の話かというと、まあつまり、その女性が妊娠しているかどうかを詮索するのはよけいなお世話だよということ。
もちろん、人前に出る人や公的な立場にある人の結婚や出産は、そうではない人とは注目度が違います。でも今回の日本の芸能界の結婚ラッシュは、大量だったので関心が分散されてよかった気がします。
結婚そのものが昔のような重大なしきたりではなくなりつつある今どきですから、有名人に対しても「へえ、結婚するんだ、おめでとう!(まあそのうち離婚もありだよね)」ぐらいのライトな気持ちでお祝いしてあげたいものです。
●小島慶子(こじま・けいこ)
タレント、エッセイスト。テレビ・ラジオ出演や執筆、講演とマルチに活動中。現在、日豪往復生活を送る。対談集『さよなら!ハラスメント』(晶文社)が好評発売中