近い将来、女優やモデルといったさまざまな分野の最前線で活躍していくであろう10代の美少女たち。週プレNEWS&週プレモバイルでは、そんな彼女たちの魅力を知ってもらうべく、撮り下ろし&インタビューシリーズ『微熱少女』を連載中だ。

第29回は元野球部選手で元『ニコラ』モデルという異色の経歴を持ち、テレビ東京系『ポケモンの家あつまる?』にもレギュラー出演中の大谷凜香ちゃん。インタビュー後編となる今回は、女優としての顔に注目。

昨年春に公開された『ミスミソウ』に続き、2020年2月には清水崇監督の最新作『犬鳴村』の公開も控えており、女優デビューから2作連続でホラー映画に出演。異質な役者人生を歩み始めた彼女に、驚きの撮影エピソードや女優としての目標を語ってもらった。

――モデルから始まり、いまは女優としても活躍されてますけど、もともと演技は挑戦したかったんですか?

大谷 いまはモデルと女優を両立している人が多いじゃないですか。私がモデルをやっていたときは、そういう波がじわじわきはじめた頃だったんですよ。まわりでも挑戦しているコが多かったので、自然とやりたいって思うようになりました。

でも、まだ学生だったし、仙台から通っていたし、なかなか縁がなくて。それで去年、高校卒業するくらいのタイミングで『ミスミソウ』に出演することができて。

――映画『ミスミソウ』といえば、残酷なシーンが多いことでも話題になりました。初めての演技がそんな作品というのは強烈ですよね(笑)。オーディションで選ばれたんですか?

大谷 オーディションでした。もともと原作のマンガを読んでいたんですけど、いただいた台本を読んだときにマンガのシーンが頭のなかで再生されて。セリフを覚えてから寝たら、夢にグロテスクなシーンが出てきて......。

――悪夢ですね。

大谷 そのくらい強烈でした。でも、出演できて本当によかったです。それまではモデルでも『ポケんち』でも、メイクさんにかわいくしてもらって、かわいいお洋服を着せてもらっていたわけじゃないですか。それが『ミスミソウ』では血のりをいっぱいかけて、雪の上で転がりまわって、髪をボサボサにして泣きまくって。

自分のかわいさなんか捨てる仕事で、演技をやりたいとは言ったものの、最初は抵抗があったんですよ。口には出さないですけど(笑)。

――かなり特殊な映画ですもんね。

大谷 でも、それがあったからこそ違う人みたいになれたし、知らない感覚を味わえた。それからはボサボサにされようが、何をされようが、これが違う人に生まれ変わる過程なんだなって、なんの抵抗もなくなりました。むしろ、そうしてもらったほうが演技がしやすいくらいです。

――最初が『ミスミソウ』でよかった。

大谷 本当によかったです。一気に10段くらい階段を昇らせてもらったような感覚でした。

――僕も観ましたけど、目を開けてられないようなシーンがたくさんあって......。

大谷 ヤバいですよね! だって、手の甲にナイフ刺されたことあります? ないじゃないですか!

――ざくざく刺されてましたよね(笑)。

大谷 それをされたときに、人間がどう叫ぶかなんてわからないじゃないですか。顔面に石を投げられて、目が腫れあがったときに、どう叫ぶかもわからないし、どんな痛み方をするかもわからない。感じたことのない痛み方や叫び方をするのが大変で、めちゃめちゃ時間かかりました。

――手を刺される人の気持ちは、どうやって表現したんですか?

大谷 現場が極寒だったんですよ。しかも衣装が薄着で、凍え死ぬと思うくらいの過酷さだったので、それを叫びに換えたらああなりました(笑)。それもあったおかげで、血の気が引いたような唇の青さとかも出せたんじゃないかなと思います。

――2月には2本目の映画になる『犬鳴村』が公開されますけど、今度は『呪怨』などで知られる清水崇監督のホラー作品ですよね。

大谷 今回もなかなか狂ってる役をいただいて(笑)。監督はお子さんがいらっしゃって、私のことを『ポケんち』のコとして知っててくれたそうなんです。それから『ミスミソウ』を見て、声をかけてくださって。

『ミスミソウ』はマンガ原作の実写でしたけど、今回は実際にある都市伝説だったので、本格的にヤバいなと思ったんですよ。でも、これに出られたらすごいし、マネージャーさんからも「死ぬ気でやるしかないよ」みたいな釘を刺されて。監督はすごいひょうきんな方で、現場自体は明るかったんですけど、作品とシーンはとんでもなかったですね(笑)。

――清水監督はホラー映画の巨匠とも言われていますけど、どんな指導を受けたんですか?

大谷 本人は巨匠と言われたくないっておっしゃってるんですけど、やっぱり叫び声にはこだわりがあるんです。そこはかなり指導をもらいました。助監督の川松尚良さんもホラーが大好きで、ご自身でホラー映画も撮られているくらいなので、怖がってるときの表情や叫び声は、気合を入れて教えてもらいましたね。

――普通に生きてたら、そんな叫び方なんて知らないですもんね。

大谷 本当に怖いときは「きゃー!」みたいなかわいい声は出ないから「叫べ!」みたいな感じでした。でも、おばけを見たことないし、叫んだこともないし、わからないけどやるしかないと思って。何回も叫んだおかげで、喉も強くなったと思います(笑)。あと、撮影が終わったあとに、うまく声が録れてないところとか、違うパターンがほしいところとかを、声録りをするんですけど、結局ほぼ全部録り直すんですよ。でも、スタジオだと思ったように声が出せなくて、そこは難しかったです。

――叫び声も録るんですか?

大谷 録りました。普通に立ってるとうまく声が出せないから、スタジオで暴れまわって(笑)。それが使われたかは私もわからないんですけどね。

――立て続けにホラー作品に出演して、今後はどういう役者になっていきたいですか?

大谷 制服を着られるうちは、制服を着てみたいです。それと私、小さい頃は医者になるのが夢だったので医療系もやってみたいし、空手をやっていたのでアクションもやってみたいし。『ミスミソウ』も『犬鳴村』も、アクションチームがついていたくらいアグレッシブなシーンがあったんですけど、「やっぱり体動かすの楽しい!」って思える瞬間がたくさんあったので、さらにガチめなアクションがある作品に挑戦してみたいです。

――ホラー専門なわけではないようで安心しました(笑)。

大谷 ははは! でも、いちばん最初に血のりを浴びせられたときに、「血のりを浴びる女優は売れるんだよ」って言われたんですよ(笑)。その言葉を信じて、息の長い女優さんになれたらなって思います。

――個人としては今月で20歳になりますけど、10代はいかがでした?

大谷 10年間って速いんだなと思いました。10代前半はスポーツしかしてなくて、後半は仕事と学校の両立で、ずっと何かに打ち込んでいて。ほとんど兄の影響だったので、それはありがたかったなと思うし、やりたいって言ったことを全部やらせてくれたお母さんとお父さんにも感謝してるし。やり残したことあるかって聞かれたら、何も思いつかないくらいの10代でした。

――それは素晴らしいですね!

大谷 充実してました。0歳から10歳の10年間は記憶がないじゃないですか。記憶ある10年間がめちゃめちゃ速かったから、これから先も10年単位で考えたら、あっという間に人生終わっちゃいそうで。だから、やりたいと思ったことはとりあえずやっちゃおうと。それを早く知ることができてよかったなと思いますね。

(ヘア&メイク/たかべともみ)

●大谷凜香(おおたに・りんか)
1999年12月24日生まれ 宮城県出身
〇第16回ニコラモデルオーディションでグランプリを受賞し、その後はモデルとして活躍。また、2015年よりポケモン情報バラエティ『ポケモンの家あつまる?』(テレビ東京)にレギュラー出演中。2018年には、映画『ミスミソウ』で女優デビュー。来年2月7日公開の映画『犬鳴村』に出演。
公式Instagram【@rinka_ootani】

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