昨年、22年の歴史で初めてFINALステージ生中継を敢行し大きな話題を呼んだSASUKEが、今年も大晦日の夜に帰ってくる。

今回こそ、あの鋼鉄の魔城を陥落せしめる選手は現れるのか。今夜12月31日19時からTBS系列で放送予定の『SASUKE NINJA WARRIOR』第37回大会にはなんと、2017年秋に開催された第34回大会に参戦し、女性選手として番組史上初めての3rdステージまで進出したジェシー・グラフが再参戦!

ジェシーは、アンジェリーナ・ジョリーなど錚々たる大女優たちのスタントをこなしてきたアメリカ・ハリウッドの最強スタントウーマン。抜群の身体能力を駆使し、アメリカ版SASUKE『AMERICAN NINJA WARRIOR』にも出場。完全制覇まであと一歩というところまで迫った実績を持っている。

そこで、大会本番直前に彼女に直撃インタビュー。第37回大会へ懸ける意気込み、各ステージをクリアするために必要なこと、自身が考えるSASUKEの魅力を聞いた!

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――ジェシーさんは2年前に日本のSASUKEに初出場。いきなり、女性選手として初めて3rdステージに進出し日本のSASUKEファンに大きな衝撃を与えました。当時の心境は?

ジェシー やっぱり、すごく残念でしたね。(ステージ後半の)「ウルトラクレイジークリフハンガー*」で終了してしまったんですけど、あれは本当に難しくて。でもそのときクリアできなかった分モチベーションが高まって、その後よりトレーニングに励みました。だから今回、再戦のチャンスをいただけてとてもうれしいです!

*指の力だけで約3センチの突起にぶら下がって移動し、1.8メートル先にある突起までの飛び移り、これを二度繰り返す。しかも二度目のジャンプの先のクリフは電動で上下しており、タイミングをとるのが非常に難しい。SASUKE屈指の難関エリアである

――おーっ、早くもやる気ですね。聞いたところによれば、今回は本番の一週間前から来日して、入念に体調を整えてきたとか。

ジェシー はい。おかげで非常に良いコンディションです。時差ボケもない。それに時間がある分、日本のプレーヤーたちと一緒に地方に行って練習もできました。

――えっ! わざわざ地方へ? ちなみにどちらへ?
  
ジェシー 群馬の松田大介さんのところと、あと山形にもいきました。

水道会社「松田水道」の社長で、SASUKE界が誇るセット造りの名手である松田大介。6回目の挑戦となる第37回大会はゼッケン32番で出場

――松田さんのみなかみだけでなく、山形にまで! 山形ということは「嵐田パーク」と呼ばれる、多田竜也さんらSASUKEの常連選手たちが集う練習場ですね。わざわざ東京から数時間かけて!

「山形県庁の星」といわれる多田竜也。現役最強プレーヤーのあの森本裕介をして「同年代のライバル」といわしめる実力者で、山形で建設会社を営むSASUKEフリーク嵐田良一氏の運営する「嵐田パーク」を練習拠点にしている。第37回大会はゼッケン49番で出場

ジェシー でも行ってよかったです。特に松田さんのところは「ドラゴングライダー」の練習ができるんですよね。ほかにも「そり立つ壁」「バーティカルリミット」「クリフハンガー」などをやりました。あとは「フィッシュボーン」のステップ練習も。障害物のサイズや距離なども実際のものに限りなく近づけて造ってあるということなので、かなり実戦感覚を養えたんじゃないかと思います。

――めちゃくちゃ気合入ってますね! ちなみに、一緒に練習した日本のプレーヤーというのは?

ジェシー トモ(川口朋広)からはたくさんアドバイスをもらいました。クリフハンガーの練習も手伝ってもらいました。

「SASUKEのリアル陸王」こと川口朋広。現在はスポーツクライミングシューズメーカーの取締役を務めるSASUKE界のスターのひとり。第37回大会はゼッケン99番で出場

――心強い援軍ですね。ところで、ジェシーさんは普段『AMERICAN NINJA WARRIOR』にも参戦し活躍されていますが、日本のとの違いはありますか?

ジェシー 一番大きな違いは、日本の1stと2ndステージには「時間制限」があることです。急いで進まないといけないので、日本のほうが気持ち的に疲れます。速さを重視しすぎるとミスを犯しやすくなりますから。エリアそのものはどちらが簡単か比べられるものではないけど、ただ3rdステージに関して言えば、日本のクリフハンガーは限りなく不可能に近いです(笑)。

「SASUKEが生んだ怪物」頭脳明晰の完全制覇者、サスケ君こと森本裕介。前大会では出場者中唯一FINALステージに到達

――やはりクリフハンガーが大きな壁なんですね。今大会参戦にあたって、何か具体的な対策は?

ジェシー それぞれのエリアを細かいところまで分析してきました。例えば、フィッシュボーンは特にテクニカルなので、どこで前に出るか、足の持って行き方、ステップなどすべて覚えました。と同時に、ミスした時の対応策も考え、またそうならないような対策も考えきています。本番前は実際にエリアの近くに立ってすべてを再確認するつもりです。

――すごい! これまで日本のSASUKEを完全制覇した選手はたった4名で、しかも女性はいません。もしかしたらジェシーさんがそうなるんじゃないかと期待されていますが。

ジェシー 期待していただくのはうれしいですけど、正直なところ、自分に十分な実力があるかはまだわからないんですよね。

――では今大会の目標は?

ジェシー 1stと2ndステージをクリアすることです。私は女性なので、男性よりも制限時間が長いんですけど、できれば男性と同じ条件でクリアしたいです。......なんて言いつつも、実は今、かなり緊張しています(笑)。

――実力者なのに、ものすごく控えめですね。

ジェシー いやいや、現実的なだけですよ。ただNINJA WARRIORSASUKEも予期せぬことが起こるのが面白いわけで......もしかしたらアドレナリンがたくさん出て、自分の想像を超える力を発揮できたりするかもしれないですけど!

――先ほど会場入りして、日本人プレーヤーたちと仲良くお話しされていましたけど、ジェシーさんは世界で最も華やかなハリウッドで活躍するスーパースタントウーマン。そういう方が遠い日本に来て、エンジニアや靴の営業マン、電気屋さん、学校の先生など、市井で普通に働く人たちと親睦を深め、同じ土俵で戦うというのは不思議な感じがしますね。

ジェシー 不思議なことは何もないですよ。さまざまなバックグランドの方々と友達になれるというのは本当に素敵なことですし、それがSASUKEの大きな魅力のひとつだと思っています。次に日本に来るときまでに日本語を学んで、日本のSASUKEプレーヤーともっと日本語でコミュニケーションをとりたいくらい!

――いやぁ、人柄までスーパースターなんですね~。

ジェシー あははは(笑)。そもそも「運動」は世界の共通語ですし、どの国の誰もが体を使って遊ぶことが好き。今やSASUKEは世界じゅうで親しまれているし、国を問わずに人同士を繋げてくれるのもSASUKEの素晴らしさです。

――最後の質問です。あなたにとって、SASUKEとは?

ジェシー 自分の限界を超えさせてくれる場......かな。本当に難しいから、より上を目指すためにはどうすればいいかを考えさせてくれるし、何度もチャレンジしようという気持ちになる。SASUKEはいつだって、自分の可能性が今以上のところにあるということをしっかりと教えてくれるんです。

ジェシー・グラフ JESSIE GRAFF
1984年1月12日生まれ、ニューヨーク出身。『X-MEN:ファーストジェネレーション』『ザ・ダークナイト』『スーパーガール』『トランスフォーマー』シリーズなど、数々のハリウッド作品にスタントウーマンとして出演

協力・写真提供/TBS)