昨年12月8日に卒業を発表したレジェンドメンバー・峯岸みなみが、人生の半分以上をささげたAKB48での日々を語る。世界に衝撃を与えた坊主事件から、グループの未来、また、ずっと取材を続けてきた『週刊プレイボーイ』だからこそ明かしてくれた卒業の真実とは?
■柏木由紀「卒業しない宣言」で思ったこと
──前から卒業のウワサはありましたが、なぜあのタイミングで?
峯岸 まず、逃げるような卒業はしたくないなと。AKBが大好きでずっと活動してきたのに、スキャンダルで辞めるのはもったいない。世間にどう思われようと、自分の気持ちが晴れているときに辞めたいっていうのはありました。
──それがついに来たんですね。
峯岸 2019年はAKBがすごく楽しいと思えて。全国握手会に久しぶりに呼ばれたり、所属するチームKでコンサートツアーをやったり。卒業の理由に同期が次々と結婚って話があったけど、実はすごい内々の話だけど、チームKの後輩とのことが大きいです。
ツアーを通して、自分を理解してくれたり、必要としてくれるって実感がすごく湧いて。やっぱり惜しまれて卒業したくて、自分の気持ちとメンバーとの関係や絆が噛み合ったのが今でした。
──今のAKB48は大変な状態で、峯岸さんにまだいてほしいって声もあります。柏木由紀さんは昨年11月にテレビで「30歳までアイドルを続ける」と、少なくともあと2年は卒業しない宣言をしました。
峯岸 卒業を決めた理由にゆきりんの宣言も大きかったですね。私はアイドルを真正面から取り組んできた人間じゃなくて、話題になれば面白いって考えちゃうタイプ。私もいろんな人から「30歳までいろ」とか、「最後までいたほうがいい」と言われたんです。
「まだいるの?」ってイジられて、給料をもらえるのは楽だけど、スキャンダルを起こしたらまた迷惑をかけちゃう。AKBにすごい貢献できればいいけど、今の私には難しい。
そう思ってたときに、ゆきりんが続ける宣言をしたんです。人気があって、若手と一緒にツアーを回って、ソロコンをやって。30歳までAKBでいるべきなのはこういう人だなと。
──柏木さんは、いまだにアイドルの最前線で戦ってますもんね。峯岸さんのAKB人生を振り返ってピークはどこでした?
峯岸 デビュー2年目あたりですかね。それまであっちゃん(前田敦子)のバックダンサーだったのが、劇場公演では前のほうで踊れるようになって、シングル曲もフロントメンバー。いきなり推されたので、2ちゃんねるに「社長の愛人」って書かれたり(笑)。
でもそこからグループがどんどん大きくなっていった。選抜の3列目で責任を感じるポジションじゃない、でもバラエティのときだけちょっと頑張って、いい景色をみんなと一緒に見れました。10代後半は毎日が楽しくて、人生ちょろいなって思ってましたね(笑)。
──そんな峯岸さんの10代ラストにAKBメンバー史上最大の事件が......。恋愛スキャンダルが発生、丸坊主にしてユーチューブで謝罪したら、日本はおろか世界にまで届く大炎上。
峯岸 あんなことになるとは思ってませんでした。自分の中だけで終わらせるつもりだったのに、日本のアイドルはおかしいとか、追い詰めたのはアイドルオタクだって風潮になってしまったのは、すごく申し訳なかったです。
──なんであんなことを?
峯岸 たぶん今のユーチューバーみたいなノリだったんですよね。ちゃんと謝りたいのはあったけど、話題にしたかった。でも世間と完全に温度差がありましたね。
──そして正規メンバーから研究生に降格し、イチから出直し。
峯岸 当時の研究生とは、ほとんど接点なくて。スタッフさんが気を使って「峯岸のことをみぃちゃんって呼んであげて」って。
──そんなの無理ですよ!
峯岸 AKBを辞めようって初めて思ったのがこのときですね。でも坊主になっても残るって決めたからには、とにかく自分が何かプラスになる存在にならないとって。それまで自分を中心に考えていたんですけど、そこからは後輩がよくなってほしいって意識も持つようになりました。
──その後、当時の研究生が集まったチーム4のキャプテンとなり、さらに全国の48グループ研究生を率いて立ち向かった「研究生武道館」は、ファンの間で伝説のコンサートと呼ばれています。そして今、先頭に立ってるメンバーからはすごく慕われている。
峯岸 後輩がなんでこんなによくしてくれるのかわからなくて。"ゆうなぁ"(14期生・岡田奈々&13期生・村山彩希)とか、メリットないじゃないですか。
──人気、実力共にトップクラス、マジメで性格も良し。僕もなぜ?って思います。
峯岸 むしろマイナスなんじゃないかって思うぐらい(笑)。でもふたりは損得勘定を抜きに尊敬してるって声に出して言ってくれる。このコたちが言うから、自分はそんなにいやな人間じゃないのかもって思えるんです。
■卒業後のプランは何も決まってない
──峯岸さんがいなくなって、これからのAKB48はどうなっていくと思いますか?
峯岸 1期生が全員辞めたことで、本当の第2章が始まると思います。AKBを応援してる人にとっては、すごくわくわくする展開なんじゃないかなって。
──また東京ドームでのコンサートを目標に。
峯岸 でも、ゆきりんの卒業コンサートは東京ドームでやってほしいですね。
──できますか?
峯岸 今のアイドルってSNSが強かったり、とがってる曲とか、斬新なダンスとか、時代に合ってると思うけど、AKBはそうじゃないところで戦ってきた。どの世代、どの層にも見せていいアイドルだと思うし。やぼったいかもしれないけど、そのままでいてほしいとも思ってる。うーん、今はどのアイドルがトップですか?
──個人的に、女性アイドルでは乃木坂46だと思います。ドームツアーもやってますし。
峯岸 中高生は「乃木坂で誰が好き」って話してますよね。昔はあっちゃん、ともちん(板野友美)、(篠田)麻里子さまとか。今、23、24歳のコと話すと「昔、見てました」って言われるんです。
そういうコたちの青春に関わっていたと思うとエモいですよね。当時3列目でへらへらしてた私ですら、卒業発表をしたら、最初に好きになったアイドルが私って言ってくれる人もいて。マジかと(笑)。
──それって初恋ですよね。
峯岸 そこですかね、テーマは。今のAKBファンは青春世代があまりいないじゃないですか。
──へたしたら老後の楽しみになっているケースもあります......。
峯岸 応援してくれる人はみんな大事だけど、アイドルって初恋の対象であってほしいし、アイドルと同世代のファンをつかみたいですよね。今のAKBはかわいいし、ほかのグループにも負けてないと思うんです。
──最後に峯岸さん自身はどんな方向に進んでいくんですか?
峯岸 まだ何も決まってないです。何もなくなったら焦るだろうって作戦ですね。卒業特需でバラエティ番組に出演させてもらって、その間に考えます。
──1、2ヵ月ぐらいですかね。
峯岸 あと世間のイメージで、卒業したらAKBの暴露をしそうっていわれるけど、それだけはしません! それぐらいAKBが好きだったし。
──けど、何も決まってないのは不安じゃないですか?
峯岸 じゃあ週プレで使ってください! まあリアルに言うと、お芝居は続けたいですね。共演者にイケメンがいない舞台で(笑)。
──もうアイドルじゃないから恋愛は自由ですよ!
峯岸 あぁ、騒がれなくなるのもさみしいですね......。逆にマジメになりますか。でもユーチューブはやりたいですね(*編集部注:2020年1月1日にユーチューブチャンネルを開始)。
──坊主で懲(こ)りたはずでは!?
峯岸 世間からのイメージが悪いので、そこをなんとかしたい。しゃべったら悪いコじゃない。楽しくていいコっていわれるんです。ユーチューブは距離が近いし、イメージアップできるツールになればいいなって。それでお芝居とか表に出るお仕事につながればいいなって思っています。
●峯岸みなみ
1992年11月15日生まれの27歳、東京都出身。AKB48の立ち上げメンバーで、ファン7人の時代から国民的アイドルになるまでの軌跡を斜め後ろから見続けた。人付き合いが良く、人脈の広さは48グループイチ。それゆえ時には危なっかしいところもあるが、古参ファンはそれを温かい目で見守っている。卒業コンサートは2020年4月2日、神奈川・横浜アリーナで開催! YouTubeチャンネル【https://www.youtube.com/