澤本嘉光氏(左)が脚本を担当する『一度死んでみた』について、角田陽一郎氏が聞く

『さんまのスーパーからくりTV』『中居正広の金曜日のスマたちへ』など、数多くの人気番組を手がけてきたバラエティプロデューサー角田陽一郎氏が聞き手となり、著名人の映画体験をひもとく『角田陽一郎のMoving Movies~その映画が人生を動かす~』

前回に引き続き、3月20日(金・祝)全国公開の『一度死んでみた』で脚本を担当する澤本嘉光(さわもと・よしみつ)さんにお話を伺いました!

* * *

──澤本さんが「やられたな」と感じる作品はなんですか?

澤本 やっぱり、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(85年)ですね。SFだけど、すべての要素が面白い。しかも基本的にはくだらなくて。時計台にカミナリが落ちたら未来に戻れるとか(笑)。

──3月20日公開の『一度死んでみた』もそんな雰囲気を感じます!

澤本 僕はくだらないものを真剣にやるのが好きなんです。なので、この作品はある種の『BTF』リスペクトでもあります。あと、『時をかける少女』(83年)もそうですけど、僕はもともとSFが好きでして。学生時代に星新一や筒井康隆ばかり読んできたから、少しおかしな、異物を含んだ世界観が好きなんです。

──『一度死んでみた』もそういう意味ではSFですよね。

澤本 「S(死んだ)F(ふり)」と銘打ってます。後から「SF映画を作った」って言いたいから(笑)。でも、よく考えるとソフトバンクの白戸(しらと)家もSFなんですよね。自分ではそう思ってなかったんですけど、あるとき、NHKからSF特番への出演依頼が来て、気づきました(笑)。

──脚本を担当された『ジャッジ!』(14年)も丁寧に伏線回収されますが、これも『BTF』っぽいなと。

澤本 フリオチの回収が大好きなんです。CMでもそうですけど、もともと伏線を張るのが好きで。「こういうふうに回収されると気持ちいい」みたいなことはよく考えます。

──『一度死んでみた』の脚本を書いたきっかけはなんですか?

澤本 『ジャッジ!』の後、「もう一本書いてみませんか? ただしコメディで」と言われていたので、題材を探していたんです。そのときに、佐々木宏(クリエイティブディレクター)という男に「自分でやりたくても絶対にできないのがひとつある。自分の葬式だ」って言われて。

彼はやりたいことを全部やってきた男でして、最初は「頭おかしいんじゃないか」と思ったんですけど(笑)、冷静になって考えると「これは作品になるな」と。

自分の葬式を見ることによって、誰がいくら香典を持ってきたかとか、大好きと言われていたのに来ないやつがいるとか、生きてるときにはわからなかったことが浮き彫りになる。それって面白いなと。

──今回、澤本さんは脚本を書かれていますが、監督もやりたいという気持ちもあります?

澤本 もともとCMも自分で全部やりたかった人間なんですけど、実際に仕事をしていくうちに優秀な監督に頼んだほうが結果的によくなることがわかったんです。

自分の中で100点だと思ったものと、80点くらいだけど周りの人間がいいと思ったものなら、後者のほうがウケる確率が高い。広告ってみんなが喜んでくれるほうがいいので、そっちを選択するクセがついてるのかも。

ただ、『ジョジョ・ラビット』(20年)を最近見て、「今の考えのままだとマズイかも」と思いました。この作品は脚本に加えて映像表現まで立ち入らないと世界観をきちんと表現できない。こういうものを作るのなら、「監督もやりたいな」って思いましたね。

──では次回作は"澤本監督"で!

澤本 いや、能力的にできるかどうかは別の話ですけどね(笑)。

●澤本嘉光(さわもと・よしみつ)
1966年生まれ、長崎県出身。クリエイティブディレクター。東京大学卒業後、電通入社。ソフトバンク、東京ガス、家庭教師のトライなど、話題のCMを数多く手がける

■『一度死んでみた』3月20日(金・祝)全国公開
出演:広瀬すず 吉沢亮 堤真一
脚本:澤本嘉光  監督:浜崎慎治
音楽:ヒャダイン 配給:松竹

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