『キン肉マン』最新71巻の発売前に、70巻からゆでたまご先生のお気に入りをご紹介。(左)嶋田先生(100ページ)、(右)中井先生(177ページ)

『週プレNEWS』連載中(毎週月曜更新)の漫画『キン肉マン』(ゆでたまご作)のジャンプコミックス(以下、JC)各巻の中から、ゆでたまご先生ご自身にお気に入りの原画を選んでご紹介いただくシリーズ企画"ゆで原画"第19回。

ソルジャー&ブロッケンJr.組"フルメタルジャケッツ"vsオメガマン・アリステラ&マリキータマン組"オメガ・グロリアス"のタッグマッチもいよいよ佳境の最新JC71巻がまもなく6月4日(木)発売に!

『キン肉マン』71巻の表紙。今回、帯コメントを声優の神谷明さんと歌手の串田アキラさんに寄せていただいた

そんな最新刊を読む前に...おさらいを兼ねて、その前巻JC70巻から作者・ゆでたまごの両先生に思い入れの深い漫画原稿一枚をそれぞれ理由も添えて選んでもらった。

まずは原作シナリオ担当・嶋田隆司先生に選んでいただいたのがこの一枚(JC70巻/100ページより)。

オメガ・グロリアスがブロッケンJr.に繰り出した技は、かつて彼が完璧超人ケンダマン&スクリュー・キッド組から受けた屈辱の技"地獄のネジ回し"を彷彿させるものだった。あの日のトラウマが蘇りかけるブロッケン。しかし彼はこの危機にあえてソルジャーからのタッチ要求を拒否、自らトラウマの克服に挑む。そしてその試練に見事耐えきった彼は、この飛び蹴りから大反撃へと転じていく!

――嶋田隆司先生(ゆでたまご・原作担当)コメント

ブロッケンをこの試合に出すと決めた時から、彼の成長をしっかり見せるというのは大きな課題のひとつとして考えてました。

パートナーのアタルは前々からものすごく読者に登場を期待されていた華のあるキャラクターで、読者がまずはみんなそこに注目してるのは当然なんですけど、だからと言ってブロッケンJr.がただのアタルの引き立て役で終わってしまうのでは意味がない。そんな扱いで出すんじゃ、そもそもタッグにする意味もないですから。

それでブロッケンJr.の成長をどうやって見せるかと考えた時に、真っ先に思い浮かんだのが昔の"夢の超人タッグ編"でケンダマンとスクリュー・キッドにやられた時のことでした。それは同じタッグマッチというのもありますけど、もっと大きい理由は少し前にウルフマンとルナイトの試合を描いてたことでした。

その試合ではウルフマンが過去の雪辱を晴らして、読者にものすごく喜んでもらえた手応えがあった。でもその反応が僕としてはうれしかった半面、ちょっとビックリもしたんですよ。ああ、みんなそんなにウルフマン好きやったんかって。それならブロッケンJr.と組んで出したあの試合もすぐやられたけど、ウルフマン好きやった人はショックやったんかなぁとか。

そんなこと考えてた矢先にブロッケンJr.の成長を見せるというこのタイミングが来たので、これはちょうどいい機会だと。それであの時やられた"地獄のネジ回し"のような技を止めてそのトラウマを克服しきったこのシーンは、僕自身もあの時の雪辱を晴らせたような気分で描けたので。この巻でひとつ選ぶなら、僕はこのページになりますね

そして作画担当・中井義則先生に選んでいただいたページはこの一枚(JC70巻/177ページより)。

オメガマン・アリステラの恨みに任せた猛攻に反撃も見せず、ひたすら防御姿勢で耐え続けるソルジャー。その様子を見たブロッケンJr.の目からは自然と大粒の涙が溢れだす。なぜならその光景は、かつての試合で自身が経験したあまりにも虚しい状況の再現......ただ恨みにまみれラーメンマンを痛めつけることでしか己の生きる道を見出せなかった、哀れなあの日の自分の姿を思い起こさずにはいられなかったからであった。

――中井義則先生(ゆでたまご・作画担当)コメント

ブロッケンJr.がソルジャーの無言のファイトメッセージに感動して、脳裏にかつての自分の姿を次々とフラッシュバックさせていくこのシーン。

今回この一枚を選ばせてもらったのは、これを描いてる最中、面白いことに私自身もまたここでのブロッケンJr.と全く同じような感覚に襲われたんですよ。......といっても私の場合は決してブロッケンのようなトラウマではなく、どちらかといえば良いほうの思い出。このバックシーンを描きながら私の頭の中に次々と思い起こされてきたのは、当時のジャンプ編集部の執筆室で、まさにこのラーメンマンVSブロッケンJr.戦の原稿を執筆していた時のことでした。

それもなんとなく思い出したというレベルじゃなくて、まさにここのブロッケンJr.がそうであるように細大漏らさずひとつひとつ、雑然とした編集部の様子、作業の状況を見に来た当時の担当編集者の方の表情や仕草、あの日に臨時で来られたアシスタントの方々や、その時に彼らと交わした会話の内容まで! よく覚えてたなぁと自分でも驚くほど細かいことまで、頭の中に次々と蘇ってきたんです。どれも普段の日常では、完全に忘れてしまってたことばかり。でもこうしてジャンプ時代のワンシーンを描いてみると、当時の様子がそこまで思い出されるのは本当に不思議です。

思えばまだ連載2~3年目。無我夢中で先輩漫画家の皆さんの背中を追いかけてた時代だったので、漫画家として一番楽しかった頃かもしれない。そんな若き日のゆでたまごを思い出させる、僕にとっても涙ものの1ページです

フルメタルジャケッツとオメガ・グロリアス、各々の信念をかけた世紀のタッグマッチもついに決着! そしてその後とうとう地上に降りてきた諸悪の根源"大魔王サタン"が圧倒的な格闘技の実力を見せつける! さらに明かされた大魔王の本当の狙いとは!?

今回ゆでたまご先生におさらいしてもらったJC70巻の続き、最新JC『キン肉マン』71巻はまもなく6月4日(木)発売! 乞うご期待!

最新JC71巻の詳細は、【https://www.s-manga.net/items/contents.html?isbn=978-4-08-882341-6(一部試し読みあり)】まで。

★次回"ゆで原画"第20回はJC『キン肉マン』72巻(2020年秋頃発売予定)の発売直前にお届けいたします。お楽しみに!

6月4日『キン肉マン』最新71巻、発売予定!!