ZOOMでの取材に応じてくれたケンドーコバヤシ ZOOMでの取材に応じてくれたケンドーコバヤシ
芸能界きっての漫画好き、ケンコバこと、ケンドーコバヤシが出演しているマンガバラエティ番組『漫道コバヤシ』(フジテレビONE)の新作DVDが、巻四、巻五、巻六の3巻同時で発売された。

『漫道コバヤシ』は、ケンドーコバヤシが人気漫画家の仕事場や編集部を訪問するバラエティ。DVD第四巻には『キャプテン翼』の高橋陽一と『キン肉マン』のゆでたまご、第五巻には『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』の三条陸、『約束のネバーランド』の出水ぽすか、第六巻には『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の秋本治が登場した回が収録。どれもここでしか聞けない、作品にまつわる秘話が盛りだくさんだ。

そこでケンコバ氏を直撃。番組にまつわるエピソードや今回のDVDの見所などについて聞いた!

――『漫道コバヤシ』は、ケンコバさんが人気マンガ家の仕事場を訪問する番組ですけど、登場されるのは本当に大御所ばかり。今回DVD化された回も、ゆでたまご先生、高橋陽一先生、三条陸先生、そして秋本治先生とそうそうたる方々です!!

ケンコバ いやー、自分でも毎回びっくりです。皆さん、連載で本当にお忙しい方ばかりなのにご時間をいただけるなんて、もう感謝しかないです。その分、僕も気合が入るというか、毎回、ロケ前はその先生の全作品を細かく読み返してから臨んでいます。

――全作品を! でも皆さん大作ばかりですよね。『キン肉マン』はシリーズで140巻超、『こち亀』(『こちら葛飾区亀有公園前派出所』)はコミックスが200巻......。時間もかかりそうです。

ケンコバ 1週間以上かけて読んでますね。以前なんかジムに行って、有酸素マシーンの上で読んでたら、読むのが止まらなくなって脱水症状になっちゃって。本当に命がけですよ(苦笑)。

5月27日に発売された『漫道コバヤシ』の巻四、巻五、巻六 5月27日に発売された『漫道コバヤシ』の巻四、巻五、巻六

――先生へのインタビューは毎回、相当マニアックですよね。秋本先生の『こち亀』では、大原部長が「両津はどこだ!」と激怒して追い回すオチを何十回分も紹介して、その時々のアイデアの源を聞いたり、『キン肉マン』では、ハワイ~アメリカでの戦いを描いた『アメリカ遠征編』が描かれた経緯や反響などについてゆでたまご先生に聞いたり。

ケンコバ もともとこの番組を始めるときに、今までのインタビューでは聞かれていないことを話題にしようとは思っていたんです。そうすれば新しい発見を視聴者に提供できるし、先生も新鮮に思ってたくさん喋ってくれるんじゃないかなって。だからその辺りは意識していますね。

――『こち亀』だと他に「お下劣シリーズ」といって、下ネタのギャグなんてのもまとめて見せてましたね。

ケンコバ 『こち亀』って、よく少年時代の感動話とか語られることが多いと思うんですけど、スタート時の両さんなんて警官なのにギャンブルをやったり、拳銃をぶっ放したりとか、実は教育上悪いマンガだったんですよ。だから敢えて黒い部分にスポットをあててみたというか。そうしたら秋本先生も楽しそうにしながらお話しいただきましたね。

――でも先生によっては、そういうマニアックなインタビューをして、逆に戸惑う方もいらっしゃるんじゃないですか。

ケンコバ 今回で言えば、高橋陽一先生はそうでしたね。森崎(有三/若林源三のサブとして出場したゴールキーパー。マニアックな人気を誇る)くんのことを話したんですけど、先生自身、思い入れがなかったようでほとんど覚えてなかったんです。大半のキャラが登場する翼の結婚式にも描かれてないから、それを指摘したら、「あ、本当だ」って(笑)。正直、衝撃でしたよ。でもマンガの連載って、きっとそういうモノなんでしょうね。どんどん前に進むというか。

――驚いたのは各先生に「打ち切り」について触れるところ。正直、大丈夫なのかなって思っちゃいました。

ケンコバ 今、大御所の先生でも、若い頃は打ち切りの経験があるし、その作品に対しては思い入れがあるじゃないですか。だからどこかでその作品について話したいというのはあるんですよね。それに先生のファンだったらやはり聞きたいですし。もちろん気やすくは聞けない話ではありますけど、番組の使命かなと思って聞いています。

――あと、どれも見てて楽しいのは必ず恋愛ネタが盛り込まれていること。高橋先生の回では、翼くんと姐御、石崎とゆかり、また日向小次郎の恋愛話まで語っていました。

ケンコバ そこは意識的にやっています。やっぱり読者としてすごく気になりますから。普段、青年誌の作品を取りあげるときは、このキャラは童貞かどうかも聞いています。マンガに描いてはいないけど、しっかり設定されている先生もいて、それを聞いて作品を見返すと案外、納得いくこともあって。そういう楽しみ方もこの番組の見どころです。

――ちなみにこれまでで特に印象に残ってる先生の言葉は?

ケンコバ いろいろあるけど、今回で言えばゆでたまご・中井(義則)先生がおっしゃってた言葉ですね。「もっと絵が上手くなりたい」って。しかも先生は、デッサンの勉強にも今も行ってるらしいんですよ。それってお笑いで言えば、「NGK」(なんばグランド花月/大阪・なんばにあるよしもとの劇場)に出ている師匠が発声練習に行ってるのと一緒ですからね。本当に驚きました。

――そういう先生の素顔を知るとマンガの見方も変わりそうです。

ケンコバ この番組って、本当にすごいお話をぽろっとおっしゃっていただくんですよ。8年前、第一回のオンエアで鳥山先生がアンケート取材を受けて下さったんですよ。そうしたらウィキペディアの記述が変わったらしくて。決して迂闊なことはできないなって思ってやっていますね。

――それではケンコバさんにとって「漫道」とは?

ケンコバ すべての知識の源かな。たまに「なんでそんなこと知ってるの?」って言われることがありますけど、大体、それってマンガで得た知識ですから。以前、北アイルランドの政治について語ったら、池上彰さんに驚かれたけど、それ『ゴルゴ13』で知ったことだし。番組の冒頭に「大事なことはぜんぶ、漫画から教わった」とありますけど、本当にそれに尽きますね。

――最後にひとつ。以前、あるインタビューで読んだのですが、ケンコバさんは、水島新司先生のキャラが総登場したマンガ『大甲子園』に興奮して、思わず勃起してしまったことがあるとか(笑)。今回もお話に熱中するあまり、収録中、勃起したなんてことは?

ケンコバ あはははは。どうでしょうね。お話に興奮して勃ったってことはまだないけど、朝まで寝ないでマンガを読んで現場に行ったことがありますから......。もしかして「疲れマラ」で勃ってたことはあるかもしれません。気になる人はぜひ、DVDで確認してみてください!

■『漫道コバヤシ 巻四』『漫道コバヤシ 巻五』『漫道コバヤシ 巻六』はフジテレビジョンより発売中。