「役者になろうと思ったのは、上京後に石井克人監督の『鮫肌男と桃尻女』という作品を見たのがきっかけ」と語る要潤さん

『さんまのスーパーからくりTV』『中居正広の金曜日のスマたちへ』など、数多くの人気番組を手がけてきたバラエティプロデューサー角田陽一郎氏が聞き手となり、著名人の映画体験をひもとく『週刊プレイボーイ』の連載『角田陽一郎のMoving Movies~その映画が人生を動かす~』。

今週は、4月からTBSラジオ『Be Style』でパーソナリティを務める俳優の要潤(かなめ・じゅん)さんが登場!

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――子供の頃に見て印象に残っている作品ってあります?

 それが、子供の頃はあんまり映画を見なかったんですよ。マンガばっかりで。

――マンガですか!

 『週刊少年ジャンプ』ばっかり読んでました。『ドラゴンボール』『ろくでなしBLUES』『幽☆遊☆白書』とか、ちょうど世代だったので。そもそも香川は田舎なので映画館も少ないし、今みたいに映像配信もなかったので映画を見る習慣がなかった。なので、映画を見始めたのは大人になってからですね。

――最初に映画館に映画を見に行ったのはいつですか?

 中学生か高校生のときにデートで行ったのが、今思えば映画らしい映画を初めて見た経験でしたね。『ヒーローインタビュー』(1994年)という作品で、真田広之さんが出ていたのを覚えています。それが一番初めに見た映画なんですけど、デートだったんでそれどころじゃなくて、内容は全然覚えていないですね(笑)。

――つまり、初デートが初映画みたいな?

 そうそう、そういうことです。

――そういう意味で言うとMovingMovieかもしれないですね~! では、そんな映像よりマンガが好きな要少年が役者を志すきっかけはなんだったんですか?

 役者になろうと思ったのは、上京後に石井克人監督の『鮫肌男と桃尻女』(1998年)という作品を見たのがきっかけですね。ものすごくショッキングでした。

――浅野忠信さん演じる暴力団員の鮫肌黒男が、ホテルの女性従業員・桃尻トシコと繰り広げる逃避行劇ですね。最高ですよね、あの作品。僕も衝撃を受けたのを覚えています。

 浅野忠信さんのことは昔からずっと好きなんですけど、今でもこの作品が僕の中でのベストですね。それくらいカッコいいし、作品そのものもテンポがよくて、むちゃくちゃ面白い。衣装とかのディテールも凝っていますし。

――ほかの役者さんもいい味出してるんですよね。

 そうなんです。組会長の息子役の鶴見辰吾さんは異様なすごみがあるし、ヒットマン役の我修院(がしゅういん)達也さんもとにかく強烈で。あと、あの作品ってマンガ原作だから、マンガっぽく撮っているんですけど、それがまた当時は新鮮だったんです。

――マンガ好きの要さんとしてはたまらないですね。上京以降でほかに影響を受けた作品は?

 次に衝撃を受けたのが是枝裕和監督の『ワンダフルライフ』(1999年)。それはもう100回くらい見ましたね。

――どんなところにハマったんですか?

 あの作品ってドキュメンタリーの手法を使っているじゃないですか。役者さんも出てはいるけど、一般の人が出ていたり、アドリブが多くて全然セリフっぽくしゃべっていなかったり、照明もまったく当てずに自然光で撮っていたり。ワンシーン、ワンシーンの作り方が新しいなと思ったんですよ。もともとドキュメンタリーが好きだったので、ハマったんだと思います。

★後編は6月24日(水)配信予定です

●要潤(かなめ・じゅん)
1981年生まれ、香川県出身。『仮面ライダーアギト』でデビュー。YouTube『要潤【Jun Kaname】』では意外な素顔も公開中

■アクティブオーガニック「Be」presents TBSラジオ『Be Style』毎週土曜5:30~6:00

【★『角田陽一郎のMoving Movies』は毎週水曜日配信!★】