現在、ファースト写真集『意外性』(集英社)が好評発売中。ラストアイドルの人気ナンバー1、長月翠(ながつき・みどり)ちゃんが「アイドル」について語った!
子供の頃から今まで憧れてきた5人のアイドル。そして、アイドルに必要なものとは?
■長月翠の「アイドルの始まり」とは?
――さて、本日は「長月翠が語るアイドル論」と題して、いろいろ聞いていきたいと思っています。
長月 はい、よろしくお願いします!
――写真集『意外性』も好評で、その写真集のインタビューにも書かれていたのですが、小学校1年のときに観ていた『ハンナ・モンタナ』っていうドラマが好きだったと。
長月 はい。マイリーっていう普通の女の子が、実は周りには内緒でトップアイドル"ハンナ・モンタナ"として活動してるっていう内容のドラマで。大好きでした。
――これまで、さまざまな媒体で「長月翠のアイドルのルーツ」という質問を、多く受けてきたと思うんです。でも、その度に「AKB48さんです」と言ってましたよね。でも、あのインタビューを読んで、「実は、ハンナ・モンタナがルーツなんじゃないのか?」と思ったんです。
長月 ......なるほど。たしかに「私も、ハンナみたいになりたい!」「アメリカに行ってみたい! アメリカのアイドルってかっこいい!」って思ってました。大きくなっても「アメリカ人になりたい!」って思ってるわけですから。おっきな存在ですね。
――あのキラキラな衣装に憧れて。
長月 そう。キラキラの衣装や靴への憧れ。金髪ブロンドへの憧れ。歌の上手さへの憧れ。あと、ハンナは友達思いで、自分が思ったことは叶えられるまでやる努力家で。そういうところにも憧れました。
今、ドラマを見ると、努力なしであんなにすごいドラマに出れるわけないし、当時の彼女は中学生だったんですけど、本当にスター。スーパー中学生で。その後ろに隠れている努力に「すごいな」って思います。
――「ハンナみたいなアイドルになりたい」って思ったことは?
長月 思ってました。夢しか見てない年齢のとき、なれると思ってました。今だとおとぎ話みたいな感じだし。だから、たしかに写真集をロサンゼルスで撮るって聞くまで、ハンナのことは思い出さなかったです。日々アイドルをやりながら「ハンナみたいになりたかったな」とは思わなかったっていうか。
――忘れていましたか。
長月 そうですね。でも今は「やっぱりハンナにはなれなかったなー」って思って、ちょっと悲しくなったりはしました(笑)。久しぶりに見た『ハンナ・モンタナ』は、やっぱりスターで。私とは全然違うなって。でも、今はっきりとわかりましたけど、私のアイドルのスタートは完全にハンナ・モンタナですね。
■"みーたん"が影響を受けたアイドル5人とは?
――さて、いろいろアイドル論を展開させていく上で、「長月翠が影響を受けたアイドル」というのを5人挙げていただきたいんです。そこから、長月さんのアイドル観が見えてくるような気がして。
長月 わかりました。1人目はハンナ・モンタナです。「物心ついたときには」って言葉がありますけど、まさにハンナに関してはそれだと思います。
ハンナがアイドルになるときに開くグラグル回るクローゼットがあって、ボタンを押すと靴が出てきたりするんです。あれが本当に好きで。あとウィッグでハンナとマイリーが変わるんです。地毛は普通に茶色いんですけど、ハンナになるときはブロンドになる。友達とかにばれないように変わる瞬間が大好きでした。
それと、ハンナとして曲も出していて。『The Climb』って歌があるんですけど、その曲は物語の最後の方で歌う曲で。「私はここまで登ってきたんだよ」って歌うんです。小学校の時に英語を習っていて。歌で覚えると英語が上達するって聞いて、その歌をずっと歌っていました。MVも、荒野の一本道みたいなところを歩いていて。けっこう泣けるんですよ。
――荒野というと、写真集でロサンゼルスの荒野で撮影もしましたね。
長月 そう、実はあのとき、「私はここまで来たんだ。ハンナの『The Climb』だ」って思ってました(笑)。今までの自分と重ね合わせたりして。
――なるほど。では2人目の影響を受けたアイドルは?
長月 元フェアリーズの藤田みりあちゃんですね。小学4年か5年くらいだったと思うんですけど。
きっかけは友達に「フェアリーズのみりあちゃんに似てるね」って言われたんです。で、「どんな子だろう」って調べてみたら......もう、もうめちゃくちゃ可愛くて! それから大好きになったんです。みりあちゃんが髪切ったら自分も切ったりとか。私のアイドルの教科書みたいな感じでした。
でもフェアリーズは「アイドル」とは名乗っていなくて。でも、そこもかっこよかったんですよね。
――ですね。ビジュアルもダンスもカッコイイし、曲もクールで。でも、ちょっとアイドルっぽい曲を歌えば、ものすごく可愛くて。例えば2枚目のシングルのカップリングで......。
長月 『Sweet Jewel』! そう、あれはヤバいですよ! それまでのカッコイイ曲を見せたあとで、ポンってあの曲を出されたら......本当にすごかったです!
そんな中でも藤田みりあちゃんが一番可愛かったですね。さらに声もちょっとかすれた感じで。最初に「似てるね」と言われてから「みりあちゃんになるしかない!」って思ってました。なれませんでしたけど(笑)。ある意味、ハンナもそうですけど、私は「この人と同じ道を歩きたい」って思っちゃうんです。
『Sparkle』って曲があって、ランウェイみたいなところを歩くシーンがあるんですけど、みりあちゃんが花束を持って歩いてくるシーンがあって。そのときのアヒル口がめちゃくちゃ可愛いんです! それを真似してたら、こんな口になったんですよ。私のアヒル口のルーツは、そこからですね。
――まさかの!(笑) 藤田みりあさんは、長月さんのアイドルの教科書なんですね。では、3人目は?
長月 元AKB48の板野友美さんです。最初は私、AKB48さんを毛嫌いしてたんです。まわりの子たちが「AKB!」って言い出してたから。「流行り物に乗るのはイヤだな」って。当時はフェアリーズが好きだったし。
でも、いざ見たらメチャメチャ可愛いんですよ! あと、昔から『ハンナ・モンタナ』も『ハイスクール・ミュージック』(ディズニーチャンネルで放送された高校生の恋愛をテーマにしたドラマ)に出てくるシャーペイだったりとか。金髪のブロンドでキラキラした派手な人が好きだったので。ギャルっぽい板野さんにハマッちゃったんですよ。小学4年とか5年でしたけど、私ちょっと悪ぶってたのもあって、「可愛いのに、ちょっっと悪そうでカッコイイ!」って。
――たしかに。今考えても「日本のアイドル像」の枠には入らない、孤高な感じがありましたよね。
長月 そう、曲も『制服レジスタンス』『Faint』もいいですけど、『ツンデレ!』ですね。衣装もピンクのミニスカで可愛くて。まさに"ともちん"って曲でした。洋服も真似しましたね。板野さんがつけてた尻尾みたいなやつ、お母さんに買ってもらいましたもん(笑)。
■「ただの憧れ」から変わったアイドル感
――板野さんは、今までのさまざまなインタビューでも名前が挙がっていた、まさに"カリスマ"でした。では、4人目をお願いします!
長月 同じく元AKB48の高橋みなみさんです。
――おぉ、ちょっと意外な気がしました。
長月 高橋みなみさんは、ラストアイドルになってからです。ラストアイドルになって、スタッフさんや大人の方に「責任を持ちなさい」「あなたが引っ張っていかなくちゃ」って、ずっと言われていて。そういう言葉に色々悩みました。「でも私は前田敦子じゃない」って思っていたから。そんなあるとき、「え、じゃあ私は、"たかみな"なんだ」って思うことがあって。
AKB48にとって、高橋みなみさんは"大黒柱"で、グループを守っていたと思うんです。自分が応援していた頃は、「たかみなは、身長の小さいリーダー」って漠然と思っていたんですよ。でも、自分がグループに入ってあらためて見たときに、その偉大さに気づいて。「自分も、たかみなの背中を追うべきだな」って思うようになって。
――たしかに言われてみれば、「普段はあまりしゃべらないけど、スター性のある前田敦子と、親友でありリーダーの高橋みなみ」と、「普段はあまりしゃべらないけど、スター性のある阿部菜々実と、実力者の長月翠」という関係性は通じるものがある気がします。
長月 やっぱり当時は「あっちゃんと、それを支えるたかみな」っていうイメージは大きかったから。私もそういう存在にならなきゃいけないって思いました。でも、やっぱり完全に"リーダー"みたいになるのは荷が重くて。私の色にラストアイドルがなるっていうのは、責任負えないし、違うのかなって。
でもそう考えてたのは、2018年〜2019年くらいですかね。今はちょっと考えが変わってきて。ラストアイドルにおいての私と阿部の関係性としては「前田敦子と高橋みなみ」というよりも乃木坂46の「白石麻衣と西野七瀬」になりたいなって思います。わかりますかね、この意味。
――なんでしょう。「グループのエースとそれを支えるリーダー」ではなく、お互いが強いカードになって切磋琢磨していく、っていうイメージですか?
長月 そうです。ラストアイドルの中で、どこにでも出せる強いカードになる、ってイメージです。
ーーたしかに、「メンバー全員が実力者」である乃木坂46は強いですもんね。
長月 そうなんです。ラストアイドルも他のメンバー、みんなすごいから。でも、嫌われてもいいから、わかっていないメンバーに言うことは言って、ラストアイドルを引っ張っていきたいなとは思います。そこは、たかみなさんのように。
あ、あと実はライブ中のアオりとかって、たかみなさんの真似をしてますね。声も通るし、お客さんもテンションが上がるので。
――なるほど。今のラストアイドルに対しての気持ちも聞かせていただきました。では、5番目のアイドルは?
長月 元乃木坂46の深川麻衣さんですね。きっかけは、私がラストアイドルに入る前。自分が地下アイドルをやっていたころ。「100人集客できなかったら解散」みたいな試練があったんですよ。
で、当時の私は、自分のことを単推ししてくれるファンの方が、本当にふたりくらいしかいなかったんです。で、そのうちのひとりが乃木坂さんのことを好きで。深川麻衣さんのファンだったんですよ。でも、深川さんが卒業されて、そのあとで友達に現場に連れてきてもらったときに私を見つけてくれたらしくて。そのファンの方が、「100人集客できなかったら解散イベント」に、乃木坂を応援していたときの知り合いを何人も連れてきてくれたんです。
――助けてくれたんですね。ありがたいファンですね。
長月 すごくありがたくて。で、ライブ後にその方が、たくさんの友達をつれて紹介してくれたんですよ。「長月翠ちゃん、自慢の推しメンです」って。それを聞いたときに、ものすごく恥ずかしくて。当時の私は太っていたし、今思い出しても可愛くないし。
そんな自分が、あの乃木坂46の人気メンバーさんを応援していた方から、そんな言葉を言ってもらって。うれしいけど、恥ずかしかった。「こんなダメアイドルの自分なのに!」って。同じ土俵に立てるわけのないアイドルなのに。だから、「この人たちが好きな乃木坂の深川麻衣さんと同じ土俵に乗りたい」って思ったんです。
そこから、深川麻衣さんと同じ道をいくために、深川麻衣さんになるために研究してるうちに大好きになったんです。深川さんは、その優しい雰囲気も聖母のような性格も、私が持っていないものを持っているから。『君の名は希望』の透明感は本当に美しいし。そうなりたかった。
......でもやっぱり深川麻衣さんにはなれなかったです。なれなかったけど、そのファンの方には、胸を張って「私は、今、ここまでこれたよ。ありがとう」って伝えたいですね。もう何年も見かけないですけど。
――今の長月さんは、多くの人の「自慢の推し」になっていると思います。今までお話を聞いてきて、やっぱり長月さんのアイドル観の根底には「この人のようになりたい」という気持ちが流れているんだな、と思いました。
長月 そうですね。でも、子どもの頃は単純に「好き! 可愛い! この人になりたい!」って気持ちが大きかったですけど、深川麻衣さんに関しては、憧れもありましたけど、自分への劣等感の裏返しがスタートだったかもしれないです。たかみなさんは、「自分はこうありたい、こうならなくてはならない」っていう気持ちだったし。憧れから、別の感情に変わっていきましたね。「この人のようになりたい」って気持ちは同じなんですけど。
――なるほど。高橋みなみさんへのリスペクトのような気持ちは、ラストアイドルに対する使命感からはじまった、というか。
長月 うーん、なんなんでしょうね(笑)。やっぱりラストアイドルを、まずは"完成"させたいって思ってるんですよね。
■アイドルとしての「必要なこと」と「やってはいけないこと」
――5人の影響を受けたアイドルを振り返ってきました。今まで挙がってきたアイドルが今の長月翠を作っているんですね。そこで聞きたいんですが、長月さんが考える【アイドルがしてはいけないこと】と【アイドルに必要なもの】ってなんなんでしょう?
長月 うーん......。私、アイドルにとってステージは大切なもので、逆に言えば、ステージで輝いていれば、プライベートがどうであったっていいって思うんです。だから、「ステージで手を抜くこと」。これがアイドルがしてはいけないことだと思います。
――ステージは、アイドルにとって"神聖な場所"ってことですか?
長月 神聖、っていうのとはちょっと違うかもです。よく「ステージは、練習した成果を出す場所」って言うじゃないですか。でも違うなって私は思っていて。もちろん練習しなきゃいけないし、練習したものを見せる場所ってことは間違ってないと思うんですけど。
それよりも、「どういう感情を持ってステージに立つのか」とか、「楽曲の一曲一曲に、パフォーマンスの一個一個にどれだけ思い入れを持てるか」みたいな。それらをどれだけ見せられるかっていうのが重要だと思っていて。だから、"神聖な場所"というよりは、ステージに立つまでに感じた感情をぶつける場所かなって思います。
――たしかに、ラストアイドルがバトルをしているとき、たくさんの感情が渦巻いていましたね。
長月 自分の中でも「長月翠が一番輝いていたステージはいつですか?」って聞かれたら、『風よ吹け』や『君のAchoo!』を歌った最初のプロデューサーバトル(ラストアイドルのセカンドシーズン。秋元康、つんく♂、小室哲哉、織田哲郎、指原莉乃の5人のプロデューサーが、ラストアイドルの各ユニットをプロデュース。5組でバトルを行なった)の頃だったなって思うし。
実際、あの頃って「長月ってギラギラしてるよね」って言われてましたから。だから、アイドルに必要なものは、ステージで輝くこと。ギラギラと(笑)。
――良いですね。キラキラじゃなくて、ギラギラ!
長月 輝き方は、別にそれぞれでいいんですけどね(笑)。私は、ギラギラしてなくちゃいけないなって思うから。私って、すぐに甘えちゃうから。人にも甘くなっちゃうし。「まぁ、それも個性。個性があるから良いか」って言葉で済ませちゃダメなときってあるから。
――では、【アイドルに必要なもの】は、ギラギラでもキラキラでもいいから「ステージで輝くこと」なんですね。で、【アイドルがしてはいけないこと】が「ステージで手を抜くこと」と。
長月 そうですね(笑)。単純ですけど。
――単純ですけど、まっすぐで正しいと思います。あと、ひとつ聞きたいんですけど、長月翠が、一番幸せだって思えるときってどんなときですか?
長月 ええ〜〜? うーーん。なんか偉そうなこと言っちゃったあとで、なんかアレなんですけど......。私がテレビに出て、家族が喜んでくれてるときかな。
――おぉ!!!
長月 周りの人が喜んでくれて、「よく頑張ったね」って言ってくれた時が一番うれしいかも。「頑張ったね」の破壊力ってすごいんですよ。それが私の一番の幸せです。
――それが長月翠がアイドルを続けてる理由なのかもしれないですね。
長月 そうかもしれないです。褒めてくれる人のために。こんな自分ですけど、憧れたアイドルになれてればうれしいです。
■長月 翠(NAGATSUKI MIDORI)
2000年5月17日生まれ、愛媛県出身。身長151㎝、血液型=O型。nickname=みーたん
○秋元康が総合プロデューサーを務めるラストアイドルの人気No.1エース。ラストアイドルファミリーの中で唯一、「LaLuce」「シュークリームロケッツ」というふたつのユニットを兼任。公式Instagram【@miffy00517】
★ラストアイドル長月翠ファースト写真集『意外性』(集英社)絶賛発売中! 写真集公式Twitter【@midori_first】