コロナ禍による世界的なステイホームの潮流もあり、今年前半だけで2500万人も会員数を増やしたNetflix。そのNetflixで今年7月、世界で最も人気のあったオリジナルドラマシリーズは、日本ではあまり知られていない『ダーク』というドイツドラマという(※ストリーミングサービス集計サイト「FlixPatrol」調べ)。
この作品、海外大手映画データベース『IMDb』では全作品の中で評価点数が最も高いドラマにもなっている。いったいどんな内容なのか。その魅力を、映画インフルエンサーのDIZ氏に聞いた。
「『ダーク』はドイツのとある田舎町が舞台のドラマで、連続する少年の失踪事件を皮切りに、4つの家族の過去と未来が複雑に絡み合うタイムトラベル系ミステリーサスペンスです。
この作品は何といっても脚本が天才的。すべてのシーン、会話、小道具に意味があり、大量の伏線が張られているんです。それでも一切モヤモヤが残らない伏線回収が見事で、『あのときのあれがつながるの!?』と何度も驚きます。
私はこれまで6回ほど見てきましたが、毎回新しい発見があります。最終話は予想外の終わり方に鳥肌と涙が止まらなくなりました」
今年5月にアメリカの映画評論サイト『ロッテン・トマト』で行なわれた「最も面白いNetflixオリジナルシリーズ」を決めるトーナメントでは、世界中のファンによる合計250万の投票の結果、『ストレンジャー・シングス』など話題の作品を抑えトーナメントを制覇。
また、6月27日に最終シーズンとなるシーズン3がリリースされると、ツイッターでは世界のトレンド1位に浮上し、本国ドイツの首都ベルリンではリリースに合わせて巨大な壁画が至る所に描かれた。そしてドイツだけでなく、ヨーロッパ全域、中東、インド、ブラジルなどでも視聴ランキング1位を記録したのだ。
日本でも配信中のこの作品。なぜ世界と日本でこんなにも差が生まれたのだろうか。
「一番はプロモーションが少ないことだと思います。世界のトレンドで1位になった時も、Netflix Japanでは予告動画が一本流されただけでした。『見始めるきっかけがない』というのがやはり大きいと思います」
原案・脚本・制作はかつてハッカーサスペンス映画『ピエロがお前を嘲笑う』(2014年)でも話題になったバラン・ボー・オダーとヤンチェ・フリーゼ。現在はNetflixで『1899』という大型オリジナル作品を制作中のようだが、これが日本で大々的にプロモーションされるかどうかは『ダーク』の注目度によるのではとDIZ氏は語る。
「オダーの次作を日本でも盛り上げるためにも、多くの人に『ダーク』を見てもらいたいです! 一見難しそうな雰囲気ですが、描写が丁寧で誰でも楽しめる作品だと思います。最後まで見れば最高の感動が約束されています。面白すぎて観始めたら止められないので、働いている方々は寝不足でつらい日が続くかもしれませんが(笑)」
今後も巣ごもり需要で勢いを増していくであろうNetflix。世界が没頭している『ダーク』は要チェックだ。
*Netflixオリジナルシリーズ『ダーク』シーズン1~3独占配信中