『キン肉マン』最新72巻の発売前に、71巻からゆでたまご先生のお気に入りをご紹介。(左)嶋田先生(46ページ)、(右)中井先生(134ページ) 『キン肉マン』最新72巻の発売前に、71巻からゆでたまご先生のお気に入りをご紹介。(左)嶋田先生(46ページ)、(右)中井先生(134ページ)

週刊プレイボーイ』および『週プレNEWS』で連載中(毎週月曜発売・更新)の漫画『キン肉マン』(ゆでたまご作)のジャンプコミックス(以下、JC)各巻の中から、ゆでたまご先生ご自身にお気に入りの原画を選んでご紹介いただくシリーズ企画"ゆで原画"第20回。

オメガの民との激闘後に、とうとう禁断の実体化を果たした悪の権化・大魔王サタンと、その暴逆を止めるべく現れた完璧超人始祖(パーフェクト・オリジン)・ジャスティスマン。伝説として語られてきた両大物同士の激突の行方が気になる『キン肉マン』最新JC72巻が、まもなく9月4日(金)発売に!

そんな最新刊を読む前におさらいを兼ねて......その前巻JC71巻から作者・ゆでたまごの両先生に思い入れの深い漫画原稿一枚を、それぞれ理由も添えて選んでもらった。

まずは原作シナリオ担当・嶋田隆司先生に選んでいただいたのがこの一枚(JC71巻/46ページより)。

パートナーであるブロッケンJr.の危機に、救出の姿勢すら見せず、彼をひとり闘わせ続けるソルジャー。「お前は見捨てられた」と揺さぶりの言葉をかけるマリキータマンだが、それでもブロッケンの仲間への信頼は揺るがない。そこでマリキータマンは、狙った相手の心象風景を可視化して見せる特技「ロールシャッハ・ドット」を発動。形として現れたのは「L」という謎の一文字。その意味はマリキータマンにはわからない。しかしブロッケンにはすぐ理解できた。なぜならそれは、超人血盟軍のメンバーだけにわかる秘密のサインだったのだから......。

――嶋田隆司先生(ゆでたまご・原作担当)コメント

これずっとやりたかったんですよ。マリキータマンという超人を出して"ロールシャッハ・ドット"という技を思いついたこのシリーズの初期の頃からずっと。策士、策に溺(おぼ)れるみたいな展開。それがようやくできたのが、このシーンでした。

そもそもマリキータマンは技も豊富で精神的にも全くスキの無いキャラクターで......ということで育て続けてきた超人だったんですけど、途中から僕ら自身もこれどうやって倒せばいいんだってくらい強くなりすぎてしまって。でも、そんな彼が倒されるきっかけがあるとすれば、唯一この技の使い方を失敗するという流れかなと。その攻略法ひとつだけ残して温め続けてたのがバッチリここにハマった。ゆでたまごにしては珍しく......かもしれませんが(笑)、用意してたものを狙い通りに使えたということで、原作者として特にここは思い入れの深いシーンになりました。

それに超人血盟軍の陣形って前のザ・ニンジャとカラスマンの試合の時にも使ったんですけど、使ってみると妙に読者の反応がいいんですよね。その記憶もあって、それがここにうまくハマったのもよかったかなと思ってます

そして作画担当・中井義則先生に選んでいただいたページは、この一枚(JC71巻/134ページより)。

オメガマン・アリステラたちとの血で血を洗う激闘を終え、とうとう彼らオメガの民と地球側の超人たちとの和解が成立しようとしていたその時。感動ムードをかき消すかのように出現した黒い影・大魔王サタンは、己の意に反した行動を取ろうとするオメガマン・アリステラに制裁を加えることを宣言。そしてその宣言を果たすべく、なんと自ら実体化してみせるというまさかの行為に出たのであった! そのサタンがリングに降り立った瞬間が、まさにこの一枚である。

――中井義則先生(ゆでたまご・作画担当)コメント

サタンが実体化して闘うことになる、という話はかなり前の段階に相棒から聞いていて、それに向けて実は今とは少し違った雰囲気のものを僕なりに想像して準備はしてたんです。野獣っぽいイメージで毛がフサフサとなびいて、その様子がこれまで何度も登場してきたサタンのシルエットを彷彿(ほうふつ)させるようなデザインのものを、かなり大真面目に。ボスキャラとしての風格をしっかり備えたものとして、恐ろしいものを。

いよいよその登場が近づいてきて、あのデザインはどうしようかと相棒に話を振ってみると、相棒は相棒なりのイメージがあって、それ聞いて最初は、ああ、ちょっと僕とは違う角度で面白いこと考えてるなと。でもどんどん聞くうちになんかおかしいことに気づいて......最終的にはどうも違うぞと(笑)。よくよく聞いてわかったのは、役割自体がちょっと僕の想像してた方向とは違ってたんですね。

それで僕の中にもともとあったアイデアはほぼボツにして、相棒の持ってきたイメージを優先させながらどんどん中和していって、それでもやっぱりサタンですから大物っぽい雰囲気はしっかり出てなきゃいけない。そのバランスを考えてできたのがこのシーンでした。

結果的には僕の当初のイメージとは全く別モノになりましたけど、展開の面白さもあって、このサタンはこのサタンで結構、僕は最後まで楽しんで描けましたよ。最初は『やり直しか~』というところから始まったのに、終わってみれば代打逆転ホームランみたいなキャラになって......今となってはこの昭和の悪の親玉みたいな風貌に、愛着すら感じますね

とうとう地上に降りてきた諸悪の根源・大魔王サタンと完璧超人始祖(パーフェクト・オリジン)・ジャスティスマンの激闘の行方は? そしてその後に明かされるこのシリーズ最大の秘密、オメガの民との闘いの裏に潜んでいた驚くべき過去の真実とは何だったのか?

今回ゆでたまご先生におさらいしてもらったJC71巻の続き、“オメガ・ケンタウリの六鎗客(ろくそうかく)編”総括となるJC『キン肉マン』72巻はまもなく9月4日(金)発売! 乞うご期待!

9月4日『キン肉マン』最新72巻、発売予定!!

最新JC72巻の詳細はこちらまで!→【https://www.s-manga.net/items/contents.html?isbn=978-4-08-882414-7(一部試し読みあり)】

★次回“ゆで原画”第21回はJC『キン肉マン』73巻(2021年上旬発売予定)の発売直前にお届けいたします。お楽しみに!