ストップしていた劇場作品も続々と公開され、この秋の映画は大豊作! そんなキャストの中から、さらなる活躍が期待される10代の実力派女優たちを撮り下ろし。映画の撮影秘話や女優への思い、プライベートの話までを聞いた。

今回は、岡崎京子の漫画を実写化した青春映画『ジオラマボーイ・パノラマガール』(11月6日公開)で主演を務める山田杏奈さん。今年はドラマ『荒ぶる季節の乙女どもよ。』でも主演を務めるほか、来年2021年も『名も無き世界のエンドロール』、『樹海村』(主演)、『哀愁しんでれら』など出演作が続き、同世代の中でも抜きん出た存在になりつつある。

――変わりゆく街の中で、今を生きる若者たちの恋や成長する姿を描いた今作。物語の主人公・渋谷ハルコは"平坦で平凡な高校生"という設定ですが、平凡を演じるって難しそうですね。

山田 難しいです。「平凡とか普通ってなんだろう?」と模索しながらやってたんですけど、演じるうちにハルコの個性がわかってきて。自分に正直で、勢いのある女のコだなと思いました。やろうと決めたらすぐに飛び込んでいく、天真爛漫(てんしんらんまん)なところがすごいですね。私は行動する前に躊躇(ちゅうちょ)しちゃうタイプなので、いつもと違う経験ができて楽しかったです。

しかも今回は、恋愛のお話だったので私にとっては新鮮でした。恋する役はあまり演じてこなかったというか、今までは家庭や学校に問題を抱えているような陰のある役が多くて!

――確かに、恋愛どころじゃないお話が多かったかも。今回は恋にもがいてる姿が10代っぽいというか、かわいらしくて笑っちゃいました!

山田 そうなんですよ(笑)。ハルコの言動をクスっと笑ってくれたらいいなぁと思います。ただ、急にぶっ飛んだことをするので、不思議になりすぎないようにと考えながら演じました。人の家の布団に潜り込むとか、アウトだろうって思う行動もあるんですけど(笑)。そんなところもかわいらしく映ればいいかなと思ってます。

――劇中では、ハルコがケンイチ(鈴木仁)にひと目ぼれするところから恋が動き出します。山田さんご自身はひと目ぼれってしたことありますか?

山田 ひと目ぼれ......、したことないです! 結局は、中身が大事だと思っちゃうので。もちろん悪いことじゃないと思うし、いつか私にもビビッとくるときが来るかもしれないですよね。女のコの原動力になってしまうくらい大きなものなんだろうなって思います。

――そんなビビッとくるような「これって運命かも!」みたいな出会いを経験したことは?

山田 うちの犬! 中学生のときからミニチュアダックスを飼い始めたんですけど、初めて会ったときにカメラを回してたんです。何匹かいる中で、クルって振り返ってすごいカメラを見てきたコがいて、家族みんなで「このコだね」って決まっちゃって。あの頃は私も反抗期だったので、犬がきてから山田家が平和になりました(笑)。そういう運命みたいな出会いはあるんだなって思います。

――現在19歳で10代最後の年ですが、まだまだ10代でいたい? それとも早く大人になりたいですか?

山田 早く20歳になりたいです。10代でやり残したことはもうないかなと思っていて。高校を卒業してからは学生でもないので、学校帰りに制服で遊ぶこともできないですし。18歳からは夜遅い時間の撮影も参加できるようになったので、そうなると10代でいる意味ってなんだろう?と考えてしまって。20代になったからって遊びたいわけでもないんですけど。

――夜遊びしてるところとか想像できないですもん。

山田 夜遊びしないですね。マネージャーさんに怒られそうで(笑)

――では今後、演じてみたい役ってあります?

山田 ちょっと悪い役というか、それこそ遊んでるような役をやってみたいです。メイクを派手にしたり、髪を染めたりしちゃって(笑)。ギャルの役もやってみたいかも。

――山田さんって高校生役とかでは子供みたいに可愛らしく見えるんですけど、急に大人な表情を見せるときもあってその振り幅がすごくてステキですね!

山田 ありがとうございます(笑)。最近、ドラマで共演していた玉城ティナちゃんも同じようなことを言ってくれて。どっちも自分なんだろうなって思うし、中学生役もまだやってますから(笑)。あまり年齢に囚(とら)われず、幅のあるお芝居ができたらいいなと思います。

20代は、どんな女優になりたいですか?

山田 個性が分かれていく時期だと思うので、きちんとお芝居をして必要とされる役者であり続けたいと思います! 満島ひかりさんがずっと好きなんですけど、無邪気で子供っぽいときもあれば色気のあるお芝居もされていて。私もそういう人間として魅力的な役者でありたいなって思います。続けるのが大変なお仕事ですけど、自粛中に改めてお芝居がしたいという気持ちが強くなったんです。ゆくゆくは舞台にも挑戦できたらいいですね。

――自粛ムードが完全に落ち着いたら何をしましょうか。

山田 本当は19歳のうちに、ひとりで旅行しようと思ってたんです。でも10代のうちは難しそうなので、落ち着いたらどこかへ行きたいですね。

――ひとり旅好きなんですか? 意外ですね!

山田 ひとり旅したことないんですよ! 初めてのひとり旅です(笑)。まずは近場の海外がいいので、オリエンタルなところがいいですね。写真集の撮影でタイに行ったことがあるんですけど、すごく楽しかったのでまた行きたいです。ひとりでふらっと街を歩いて、おいしいごはんを食べたいです(笑)。

――旅行じゃなくても、普段ひとりでも出かけちゃうタイプ?

山田 よく出かけます。ごはんもひとりで食べに行きますし、車の免許を取ったのでどこかへふらっとお出かけしたいですね。

――車のCMにも出てますが、あんな感じで運転席にいるんですね。

山田 はい(笑)。まだそんなに乗れてないんですけど、運転は好きなのでひとりドライブが楽しみです! 

(スタイリング/中井彩乃 ヘア&メイク/菅長ふみ)

●山田杏奈(やまだ・あんな)
2001年1月8日生まれ、埼玉県出身。ドラマ『荒ぶる季節の乙女どもよ。』(MBS/TBS系)主演。来年2021年は映画『名も無き世界のエンドロール』(1月29日公開予定)、『樹海村』(主演/2月5日公開予定)、『哀愁しんでれら』(2月5日公開予定)など公開作が続いている。
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■映画『ジオラマボーイ・パノラマガール』は11月6日より新宿ピカデリー他にて全国公開中

■『週刊プレイボーイ39・40号』のカラー特集「秋のシネマ美少女」より