AKB48グループで一番歌がうまいメンバーを決める戦い『第3回AKB48グループ歌唱力No.1決定戦』が、12月1日(火)にTBS赤坂ACTシアターで行なわれ、加入してまだ1年の新星STU48池田裕楽(いけだ・ゆら)が優勝した。

今大会にエントリーしたのは、国内の48グループから134人。そこから決勝大会に勝ち進んだ19名が4グループに分かれて熱戦を繰り広げた。その模様をグループごとに振り返っていこう。

【1曲目】

第1組 豊永阿紀(HKT48)、山崎亜美瑠(NMB48)、谷口茉妃菜(STU48)、山内鈴蘭(SKE48)、矢野帆夏(STU48)

トップバッターの豊永はEGO-WRAPPIN'の『くちばしにチェリー』。パワフルな歌声でファンに手拍子を求めるなど会場を一気に温めた。NMBから唯一の決勝進出を果たした山崎は映画アラジンの『スピーチレス~心の声』。確かな技術で力強い。決勝大会に初進出の谷口はback numberの『瞬き』。歌い終わった後に、「いっぱい声を出したからお腹がすいた」と笑顔。普段はおちゃらけた様子を魅せる山内はいきものがかりの『風が吹いている』。表現力の豊かさが目立った。そして昨年7位の矢野はaikoの『KissHug』。安定感のある歌声で会場を魅了した。

豊永阿紀山崎亜美瑠谷口茉妃菜山内鈴蘭矢野帆夏

ファイナリスト進出→山内鈴蘭、矢野帆夏

第2組 峯吉愛梨沙(STU48)、坂本愛玲菜(HKT48)、三村妃乃(NGT48)、立仙愛理(AKB48)、秋吉優花(AKB48)

毎年元気なパフォーマンスで会場を沸かせる峯吉はBABYMETALの『イジメ、ダメ、ゼッタイ』。今年も楽しそうに歌っていた。HKTの歌姫・坂本はEVERY Little Thingの『Time goes by』。高音の部分もブレずに歌い上げる。昨年、映画の劇中歌を歌って話題となった三村は今回も『アナと雪の女王』から『生まれてはじめて』。演技力抜群だ! 立仙は映画『グレイテスト・ショーマン』の『Never Enough』。スタンドマイクに裸足という本気モード、「いい女が出せた」と感想を語った。そして予選1位の秋吉は小柳ゆきの『あなたのキスを数えましょう』。安定感ある歌声で期待通り。

峯吉愛梨沙坂本愛玲菜三村妃乃立仙愛理秋吉優花

ファイナリスト進出→三村妃乃、秋吉優花

第3組 浅井七海(AKB48)、岡田奈々(AKB48/STU48)、小田えりな(AKB48)、高柳明音(SKE48)、池田裕楽(STU48)

浅井は20歳という節目で選んだという96猫の『MOTHER』、ノビのある声。優勝候補の岡田はLISAの『炎』、演技力にも定評があるだけに、聞いていて感情を揺さぶられる。小田は去年迷って歌わなかったという尾崎豊の『I LOVE YOU』。卒業コンサートが延期となったことで、この大会に登場できたという高柳はAimerの『星層ビーナス』、相変わらず魅力的な歌声だ。まったく無名ながら予選2位で話題となった池田は一青窈の『かざぐるま』。とにかく歌がうまい! アイドルの枠を越えているのではないか。

浅井七海岡田奈々小田えりな高柳明音池田裕楽

ファイナリスト進出→岡田奈々、池田裕楽

第4組 古畑奈和(SKE48)、髙橋彩香(AKB48)、小島愛子(STU48)、野島樺乃(SKE48)

ソロでもライブを行なっている古畑、まるで何かが憑依しているように美波の『カワキヲアメク』を歌う。高橋はMay'n/中島愛の『ライオン』。音程を外さない見事な歌唱。緊張した様子を見せていた小島は、平井堅の『瞳をとじて』。第1回大会の優勝者、野島は2年ぶりの登場。ONE OK ROCKの『Wherever you are』を歌う。終了後、「楽しかったです」とふり返る。さすがの貫禄だ。

古畑奈和髙橋彩香小島愛子野島樺乃

ファイナリスト進出→古畑奈和、野島樺乃

【2曲目】

ファイナリスト1番手の岡田奈々が歌ったのは米津玄師の『アイネクライネ』。メッセージ性の強い曲だ。応援していた村山彩希は「感動しすぎた。優勝だよって言ってあげたい」とエールを送った。

続くは三村妃乃の『残酷な天使のテーゼ』。この日の審査員、高橋洋子が歌った大ヒット曲だ。歌唱曲は事前に選んでいたもので「運命を感じますね」と語りながらも本人の前で見事に歌いきる。

山内鈴蘭は中孝介の『サンサーラ』。「めちゃくちゃトイレに行きたいです」と笑わせながらも、1曲目以上にノッたパフォーマンスを見せた。

矢野帆夏は渡辺美里の『My Revolution』。歌唱後には「革命を起こせたと思います」とすがすがしい表情。

「ファンにパワーをもらってばかりなので、歌でお返しできたら」と意気込んだ秋吉優花は、MISIAの『アイノカタチ』。審査員のゴスペラーズ黒沢薫は「今までで一番いいテイクが歌えた」と評価していた。

野島樺乃は、お母さんが大切にしている歌という竹内まりやの『いのちの歌』。応援の大場美奈は「キラキラしていた」と感動で涙。

古畑奈和はSalyuの『to U』。圧倒的なパフォーマンスで会場を魅了。審査員の井上ヨシマサが「自分の歌じゃないのか?」と疑ってしまうほどの出来。

そしてラストの池田裕楽は、久保田早紀の『異邦人』を歌う。子供っぽい顔からはまったく想像できない圧倒的な歌唱力。応援の今村美月も「STUに入ってきてくれてありがとう」と感謝してしまうほどのレベルだった。

審査の結果、3位は岡田。審査員の高橋は「安定感があってスター性がある」と評した。2位は野島。1位を獲れなかった悔しさか、目には涙。ただ井上ヨシマサは「2位でいられるってことは、ちゃんと努力をしているということ」と毎年レベルが上がっている大会で、2位になったことを評価した。

そして1位は池田。今までこのイベントをテレビで見ていて、出場が夢だったそう。STUでもまだ研究生で出番は少ないためか「こうやって私の歌を聞いていただける機会があったのがうれしい」と謙虚に振り返った。

池田裕楽

2020年は総選挙やじゃんけん大会といった、48グループをまたぐイベントがまったくなく、そんななかで唯一のガチバトルは大いに盛り上がった。優勝した池田は、48グループファンからもほとんど知られていない存在。彼女が48グループの新たな起爆剤となってくれるか、大いに期待したい。

本大会の舞台裏に密着した特番は2021年1月にCS放送TBSチャンネル1で放送。またファイナル歌唱審査に進出した8人と審査員特別賞に選ばれた山崎が出演する「ファイナリストLIVE」も開催予定。

左から、ゴスペラーズ黒沢薫、野島樺乃、池田裕楽、岡田奈々