映画『新聞記者』で数々の映画賞を受賞した藤井道人監督の最新作『ヤクザと家族 The Family』が1月29日(金)より全国公開される。

本作は、ヤクザという生き方を選んだ男たちが社会の変化に翻弄されつつも生きていく姿を、3つの時代に渡り描くヒューマンドラマで、ヤクザの道へと踏み込む青年・山本賢治を綾野剛、その賢治と親子の契りを交わす柴崎組の組長・柴咲博役を舘ひろしが演じている。

そんな本作で賢治の娘という重要なキャラクターを演じるのが、映画初出演となる小宮山莉渚(こみやま・りな)、15歳だ。「ソフトバンク」や「三井不動産」など多くのCMに起用され注目を集める新進女優は、いったいどんな女のコなのか? 彼女の魅力を探った。

――『ヤクザと家族 The Family』を拝見させていただいたのですが、本当に壮絶な作品でした。まずは、本作に出演が決まった経緯を教えてください。

小宮山 オーディションだったのですが、今回が初めての映画のオーディションで、すっごい緊張しました。なので、受かった直後はうれしさよりも先に、「本当に? え、私!?」っていう驚きでいっぱいで、そのあとにうれしさがやってきた感じです。

しかもこの作品は、すごく有名な方が多く出演する作品なので、迷惑をかけないように自分なりの精一杯を出そうと意気込んでいました。

――出演される俳優は、舘ひろしさんや綾野剛さんをはじめ錚々たる顔ぶれです。実際に現場でお会いしたのは?

小宮山 綾野剛さんと尾野真千子さん、磯村勇斗さんです。みなさん、緊張していた私に明るく話しかけてくださったりして、とても優しかったです。少しの間ですが、家族のような気持ちになれて幸せでした。


――舘さんとはお会いされていないんですか?

小宮山 撮影ではお会いできませんでしたが、そのあとに出演者の方々とお会いする機会がありました。舘さんが会場に来た時には、作品内で舘さんが組長を務める柴咲組のみなさんがダーって並んで、「おはようございます!」って頭を下げて挨拶をされていて、みんなのお父さんというか、本当に映画と同じようでした。

――さすが舘さんという貫禄ですね。今回の作品は、ヤクザ映画ということもあり、かなり大人な作品な印象です。15歳の小宮山さんが、最初に台本を読んだ時は、どのような感想を抱きました?

小宮山 もちろん、ヤクザの映画っていうのはあんまり見たことなかったんですけど(笑)、この作品は思っていたヤクザ映画と違って、ハードな中にも暖かさや、優しさを感じることができて、「演じてみたい」と思えるような作品でした。

――そんな作品の中でも小宮山さんが演じる彩は、主人公の娘で物語のキーともいえる役ですが、監督からはどのように演じてほしいと言われましたか?

小宮山 初めての映画出演だったので、演技というものがどういうものか最初は全然分からなかったんです。でも監督さんから、「演じているというよりは、自然にいるような感じでやってほしい」と言われて。そこからは、演じるということを考えず、素直に自分が思う彩の気持ちを表現するように心がけました。

――演じるうえで大変なことはありましたか?

小宮山 磯村さんが演じる翼を見つめるシーンがあるんですけど、目を合わせる時にどういう目をすればいいかわからなくて、そこはすごく大変でしたね。

――あのシーンは、この作品の中でもとても大事なシーンですよね。

小宮山 セリフがないからこそ、彩としての気持ちをどう伝えればいいのかっていうのがすごく難しかったです。

――ちなみにですが、小宮山さんは憧れていたり、参考にしている女優さんはいらっしゃいますか?

小宮山 清原果耶さんです。藤井監督の映画『デイアンドナイト』を観たんですが、その自然な演技がすごいなと思って、ずっと憧れています。ひとりの人生を本当に生きている感じが伝わってきました。

――そういう意味では今回、小宮山さんが演じられた役にも通ずるところがあるのかもしれないですね。

小宮山 監督さんからも、「その作品を観て参考にしてください」とアドバイスをいただきました。そこから、今回の演技の方向性を理解できた気がします。

――撮影を終え、完成した映画を見た時の感想は?

小宮山 もちろん血が出てきたりして、「ヒャッ」となったりもしましたけど、ヤクザ映画なのに見終わったあとは、あたたかい気持ちになって。とても不思議でした。

あと、私が一番思ったのは、彩は母子家庭で育っているのですが、常に前向きで、自分のペースを守っていたので、すごい強いコだなって。今回、ほかに登場する女性の方たちもすごく芯のある女性たちなので、この映画では女性の強さというところにも注目してほしいです。

――今作のテーマは、「家族」ですが、小宮山さんは家族とは、普段どういう過ごし方をしていますか?

小宮山 3姉弟なんですが、お姉ちゃんとは、よくケンカをします(笑)。

――お姉ちゃんとは、どんなことでケンカするんですか?

小宮山 洗面所の取り合いです。お姉ちゃんが受験生の時は、すごく疲れていたみたいなので、お姉ちゃんが洗面所を使う時間と自分が使う時間を分けてたんですけど、たまにお姉ちゃんが早く起きて私が使ってる時間と重なると、もうファイトって感じです!

――なんか、微笑ましいケンカです(笑)。ほかのご家族とは?

小宮山 弟とも、ちっちゃいことでケンカするんですけど、すぐに仲良くなってゲームを一緒にしたりします。

あと、私はお父さんコなので、お父さんにずっと甘えていますね。父は車を運転することが好きなので、よく一緒にドライブしたりも。前に山口県に住んでいた時は、山口県から宮城県まで、車でドライブしたこともありました! 

――えっ、相当距離遠いですよ!

小宮山 父は、思い立ったらすぐ行動しちゃうんですよ。宮城まで行った時も一日くらいかかりました。そんな家族のまとめ役が母という感じで、和気藹々(わきあいあい)のうるさい家族です(笑)。

――聞くだけでもほっこりする家族ですね。では、小宮山さんの趣味などについてもお聞かせください! 最近、ハマっていることなどありますか?

小宮山 パン作りと、最近はアニメを見ることと、音楽を聴くことです。


――パンはよく作られるんですか?

小宮山 けっこう作りますね。おばあちゃんとか、お母さんがパンとかお菓子を作るのが好きなので、その影響で作り始めました。生地がムニムニしていて、すごい気持ちいいんですよ!

――え、そこが好きなんですか?

小宮山 はい! あとは、パン生地のドライイーストと小麦が混ざった独特な香りもすごく好きで、発酵中もクンクンクンクン臭いを嗅いでます(笑)。

――なんか、想像していたパン好きと違いました(笑)。アニメは何が好きなんですか?

小宮山 アニメは、ジャンプ系が好きで。最近は、『呪術廻戦』にハマってます。術式を唱えるところとか、かっこいいし、男のコたちのギャップもすごい好きです。特に五条悟が大好きで。目隠しを取るじゃないですか? その、目隠しを取った時のきれいな瞳で胸がグっとなりました!

――目がキラキラ、乙女ですね~! ほかに、休日にされていることなどはありますか?

小宮山 あとは、特技の囲碁をやったりしています。

――囲碁!? え、囲碁できるんですか?

小宮山 できます! 小学1年生のころに山口県の田舎の方に住んでいたんですけど、そのころに地元の公民館みたいなところで始めました。最初は、囲碁は頭が良くなるからっていう理由でお母さんに勧められたんですけど、始めたらハマっちゃって、宮城に引っ越した今も続けています。最近は、なかなか行けてないんですが、以前は教室にも通っていて、大会に出たりもしていました。

――意外ですけど、本当に立派な特技ですね! ありがとうございました。最後となりますが、今年の目標を教えてください。

小宮山 今年は、宮城から東京に引っ越してくる予定なので、いろんなことに挑戦して自分を成長させていきたいです。春からは高校生なので、等身大の高校生の役とかにも挑戦してみたいですね。

(スタイリング/松尾正美 ヘア&メイク/HIROKO(セセッション) 衣装協力/ワンピース:MERCURYDUO ルミネエスト新宿店、靴:CAMILLE BIS RANDA)

●小宮山莉渚(こみやま・りな)
2005年7月14日生まれ 宮城県出身 身長168cm
趣味=お菓子作り、ゲーム 特技=囲碁
〇2018年デビュー。「三井に住んでいます。いい日の糸篇」(三井不動産)、「受験はおそろしい?」(早稲田アカデミー)、「5Gってドラえもん?」(ソフトバンク)と次々にCMに出演。今作『ヤクザと家族 The Family』で映画初出演を果たした。