年越し特番で強烈なインパクトを残した45歳のピン芸人、野田ちゃん

今ノリにノッている「おじさん芸人」のインタビュー3連弾! おいでやすこが錦鯉に続く第3弾は、年越し特番で強烈なインパクトを残した45歳のピン芸人、野田ちゃん。バイト熱心で芸人仲間への感謝を忘れない、とにかく前向きな「おじさんの星」です!

■お母さんが年賀状で親戚一同に息子自慢

――年越し特番の『おもしろ荘』の放送後、反響はいかがですか?

野田 放送直後のネットの検索ワードで「野田ちゃん」がトレンド第3位になりました。

――それは快挙ですね。

野田 放送が年越しのタイミングだったので、トレンド1位が「あけおめ」、2位が「あけましておめでとうございます」、3位が「野田ちゃん」で4位が「謹賀新年」。謹賀新年に勝っちゃいましたわ!(笑)

――挨拶ワードの中に唯一、「野田ちゃん」が食い込んだと。番組で「野田ちゃん売れましたわ!」と言ってましたが、本当に売れましたね(笑)。

野田 売れましたわ~!(笑)

――ネタの中に親御さんの話も出てきますが、喜んでくれたんじゃないですか?

野田 そうですね。僕は今、お母さんとふたりで暮らしてるんですよ。まぁお母さんといっても、もう老婆なんですけど。

――老婆って言わないでくださいよ(笑)。

野田 (笑)。お母さんが親戚一同に送った年賀状に「息子はもう芸能界で大成功した!」って書いてました。

――もう成功ですか。

野田 僕もお母さんに「売れたよ」って言いましたから。そしたら、「息子が芸能界で大成功した!」ってさらに飛躍していって。浮かれちゃうところは血筋ですね(笑)。

■芸歴2年目の後輩がくれたアドバイス

――『おもしろ荘』に一緒に出ていたやす子さんは野田さんと同じ事務所なんですよね。

野田 はい。僕は芸歴22年なんですが、やす子ちゃんは22歳なんですよ(笑)。

――野田さんが芸人になった年にやす子さんが生まれた(笑)。

野田 それでやす子ちゃんのお母さんが45歳で僕と同い年なんです。

――親子でもおかしくないと(笑)。

野田 はい。『おもしろ荘』の収録前に僕が緊張してたら、「大丈夫ですよ。いつもどおりやれば」って感じで、芸歴2年目のやす子ちゃんに励ましてもらいました。やす子ちゃんは堂々としたもんでしたね(笑)。

――放送後に事務所のほかの芸人仲間からも声をかけてもらいましたか?

野田 『M-1グランプリ』で活躍した錦鯉にみんな意識がいっちゃって。錦鯉には「売れたね」って言うんですが、僕には声かけが少なかったような気がするんですよ......。この取材も僕だけ記事が小さいとかないでしょうね?

――錦鯉さんも野田さんも平等に掲載します(笑)。

野田 本当ですか! ありがとうございます! 野田ちゃん、売れましたわ!

■バイトを続けて23年。"永年勤続表彰"もされた!

――野田さんは芸歴22年だそうですが、ここまで苦労してきたんじゃないですか?

野田 はい。去年の12月の給料は1000円ちょっとでしたから。もうずっとアルバイトしながら芸人やってる感じです。

――おいでやす小田さんや錦鯉の長谷川雅紀さんと同じバイト先なんですよね。

野田 はい。水道メーターの検針のバイトなんですが、僕はそこで23年間働いてます。芸人を始める前からやっていて、2年前に勤続20年の表彰をされました(笑)。

――今はもう、さすがにバイトには行ってないですか?

野田 いえ、まだ行ってます。今日もバイトしてから、ここに来ましたよ。

――え! そうなんですか。じゃあ、今度はバイトの卒業証書をもらいたいですね。

野田 学校じゃないんですからくれないでしょ(笑)。

――(笑)。バイト先にはほかにも芸人さんがいるんですか?

野田 僕がいちばん最初に入って、芸人仲間をどんどん紹介したんです。これまでに100人ぐらい入ったと思います。

――100人! 過去にはどんな人がバイトしてたんですか?

野田 ハリウッドザコシショウさんも『R-1ぐらんぷり』(フジテレビ系)で優勝するまではそこでバイトしてました。ロビンフットのおぐさんもそうなんですが、『キングオブコント』のファイナリストになって、R-1ぐらんぷりでも3位になったから、バイト先の社員さんは「すごいな!」って喜んでたんですよ。

でも、おぐさんはバイトを一切辞めてないから、「お笑い界はどうなってるんだ!」って(笑)。僕もまだバイトに行ってるので、社員の皆さんは驚いてましたね。

■SMAはおじさん芸人専門事務所になる!?

――野田さんは「チャーミング」というコンビを14年間も組んでいたのに、2年前に解散しています。なぜ解散したんですか?

野田 笑いの方向性は一緒だったんですが、性格が合わなくて。バンドマンのよくある解散理由の逆ですね(笑)。

――そこからピン芸人になって、「野田ちゃん」というキャラはどうやって誕生したんですか?

野田 自分の前向きな性格がキャラに出せたらいいなと思って。「ピン芸人になって、こっから売れるっしょ。余裕すわ」みたいなマンガのキャラクターをイメージしたしゃべり方にして、ネタを作っていきました。でも、初めてライブでネタをやったら、まあスベって。

そこから周りの芸人みんなにアドバイスをもらいましたね。衣装も最初は白じゃなくて普通の黒のスーツにおしゃれなネクタイをつけてたので、「ネタに合ってない」と言われて。あとは「音をつけたほうがいいよ」とか。だから、あのネタはみんなからのアドバイスの寄せ集めです。

――22年間続けてきて、芸人を辞めようと思ったことはありませんでしたか?

野田 これが1回もないんですよ。たまに同級生と飲んだときに「今年こそは売れるから」って言うじゃないですか。そしたら、同級生に「おまえ、去年も同じこと言ってたし、毎年言ってるぞ」って言われて。でも本当に毎年そういう気持ちなんですよ。「今年は売れるんじゃないか」って思い込んでるんです。

――野田さんは本当に前向きでいいですね。松岡修造さんやぺこぱさんのような日めくりカレンダーを発売しましょうよ。

野田 いいですね。タイトルは「野田ちゃんの毎日余裕すわ!」でお願いします(笑)。

――今後やりたいことは?

野田 おじさん芸人で第7世代みたいなムーブメントをつくりたいですね。ウチの事務所(ソニー・ミュージックアーティスツ、SMA)には、まだ世に出てないおじさん芸人がいっぱいいるんですよ。

――何人ぐらいいますか?

野田 いや、ほとんどおじさんですよ。よくライブが終わった後にあるのが出演メンバーの中で38歳が一番若かったとか(笑)。20代なんていないですよ。ウチは38歳が使い走りしてますから。こうなったら、ウチの事務所は「40歳以上じゃないと入れない」というカラーを打ち出さないと。SMAは40歳以上すわ!(笑)

●野田ちゃん
1975年8月31日生まれ、東京都出身