角田陽一郎氏(左)がファーストサマーウイカさんの映画体験や音楽について聞く

『さんまのスーパーからくりTV』『中居正広の金曜日のスマたちへ』など、数多くの人気番組を手がけてきたバラエティプロデューサー角田陽一郎氏が聞き手となり、著名人の映画体験をひもとく『週刊プレイボーイ』の連載『角田陽一郎のMoving Movies~その映画が人生を動かす~』。

前回に引き続き、ソロデビュー曲『カメレオン』が配信リリースされたファーストサマーウイカさんが登場!

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――小さい頃から芸能の世界に興味があったんですか?

ウイカ ステージに立つのが好きでしたね。学芸会でイキって仕切りだす女いたじゃないですか? まさにそれです。「シンデレラやりましょー!」って言って、自分で台本を書きだしたり(笑)。

――いましたね(笑)。

ウイカ 中学で吹奏楽部に入って、ドラムとか打楽器に触れました。だから、『ブルース・ブラザース』(1980年)にグッと心をつかまれたんだと思います。私、エンターテインメントを外側から撮っている、二重構造の作品が好きなんですよ。

音楽映画だと、『ドラムライン』や『スクール・オブ・ロック』(共に2004年)『シング・ストリート 未来へのうた』(2016年)も好きだし。ほかには『ラヂオの時間』(1997年)や『カメラを止めるな!』(2017年)。

あとは『ラ・ラ・ランド』(2017年)も好きでした。色恋とかは二の次というか正直どうでもよくて、それよりも主人公たちが上り詰めていくさまを見るのが好きですね。

――今回、アーティストとしてソロデビューされますが、心境は?

ウイカ やっぱり音楽が好きで、ファンの方にまた音楽を届けられるんだという喜びが一番ですが、仕事的な心境で言えば、「ジャッジされない仕事ができる」という思いが強いですね。

映画だと監督、バラエティだとプロデューサーに審査されてから世に出ていきますが、音楽は大会とかじゃない限り、正しいとか間違っているとかがない。答えはお客さん側にあって、お客さんがいいと言えばそれでいい。だから、聴くのもやるのも最高なんです、音楽って。

――『カメレオン』というタイトルですが、これはどこから?

ウイカ 阿部真央さんに曲を作っていただいたんですけど、初めてお会いしたときに「いろんな私がいてどれも本当の私だけど、どれも100%の自分じゃない」という話をしたんです。

カメレオン女優みたいに、私は出る番組やお仕事によってキャラがいろいろと変わるわけですよ。私的にはどれもウソじゃないし、取り繕ってるわけでもない。その都度、オーダーメイドで合わせていく感じなんです。でも、見てる人は真実の姿を知ろうとするし、逆にちょっとしたことでレッテルを貼ったりするので......。

――ウイカさんは自分を出したい?

ウイカ 出したいというか、出してるんですよ、もう。そういう意味では器用ゆえの悩みだと思います。いつもこの話をたとえるときに「私は孫悟空じゃない」って言うんです。孫悟空は誰と接しても孫悟空で、周りに合わせることを考えたりもしない。だからせめてクリリンになりたいんですよね。

――誰に聞いてほしいですか?

ウイカ 曲をいただいたとき、真央さんは「自分のことを書いた」って言ってたんですけど、私は「あ、これ私の歌だ」って思って涙が出たんです。同じように「これ、自分のこと歌ってる」って感じる人がきっといると思うんですよ。

私はその人の力になりたいと思うし、深く刺さる人がいたら私と似ている部分があるということだと思うので、これから注目してもらえたらうれしいです。

●ファーストサマーウイカ(FIRST SUMMER UIKA)
1990年生まれ、大阪府出身。アイドルグループ「BiS」、ガールズユニット「BILLIE IDLE」を経て、タレントとしてバラエティ番組でブレイク。現在は映画、テレビ、ラジオ、舞台などマルチに活躍

■『カメレオン』配信中

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