昨年は7本もの出演映画が公開され、若手女優としての存在感を示す萩原みのりさん。

今年も映画『花束みたいな恋をした』や『街の上で』、ドラマ『お茶にごす。』『RISKY』『賭グルイ双』など出演作が続くが、役ごとに「気持ちの切り替えを意識したことはない」という。

萩原 家に帰ればオフの状態になるので、別の現場に行ってもまたスイッチを入れるだけなんです。メイクや衣装で別人にしてもらい、スタッフの方々がつくった空間に立てば違う世界。切り替えるとか考えなくても、勝手に切り替えてもらえる感覚ですね。

――この春も出演作が多いなか、ドラマ『お茶にごす。』の先行配信がスタート。撮影で苦労された点は?

萩原 茶道は初めてだったので、撮影に入る前の事前準備が一番大変でした。練習したものを自分なりに落とし込めればいいんですけど、茶道の場面ではそれが通用しない。ミリ単位で失敗できないというか、手の位置や作法がきっちり決まっているので自由に演じられる隙がないんです。

――茶道にふれるだけでも大変ですが、今作はヤンキーの主人公が茶道部に入るというコメディドラマ。曲がったことが許せない強気な茶道部員、浅川夏帆役を演じています。

萩原 原作のすべてが脚本の文字になるわけではないので、漫画で描かれる夏帆の要素をどう落とし込んでいけるかを考えてました。たとえば、夏帆は人を睨むシーンが多いのですが、ただ睨んでいるわけではなく、人をちゃんと見てるんですよね。そこを大事にすれば夏帆という人間になれるのかなと思っていて。怒るようなシーンでも、誰に対しても愛を持って言葉をかけるように意識しました。

――自分と夏帆との共通点はありますか?

萩原 周りの人をすごい見ているところ。ただ、私の場合は人間観察ではなく、警戒心が強いんだと思います。ビビリでもあるんですけど、人見知りが激しくて......。お仕事で不特定多数の人と会うようになって、世界が広がれば広がるほどちゃんと相手を見るようになりました。人が好きだからこそ、警戒している部分もありますね。

――2013年の女優デビューから世界が広がり、さまざまな映画やドラマに出演。これまでの作品で監督等から言われた印象的な言葉はありますか?

萩原 初めて出演した映画『ルームメイト』で監督から言われた「君は向いてるからやめちゃダメだ」って言葉がなんとなくずっと残っていて。当時は、役者を続けていくとは思ってなかったので、「褒めてもらえた」くらいの気持ちだったんです。

――最初から才能を見出してくれる人がいるってすごいですね。

萩原 その監督というのが『お茶にごす。』の古澤健監督なんですけど、久しぶりにご一緒できてすごく喜んでくださったんですよ。私が役者を続けていること、ステップアップしていることをちゃんと認めてくださる方々がいるので、「久しぶりー」と喜んでもらえるような再会は励みになりますね。ずっと好いてもらえるような役者でいたいなと思います。

――役者として、挑戦してみたい役は?

萩原 アクションに特化した作品はやってみたいです。最近、少しだけやってるんですけど、アクション部の方々が「初めてなのによく飛び込めるね」って褒めてくださって。殺陣だと相手の方が怪我しないか心配でビビってしまうんですけど、自分が飛び込む分には全然大丈夫なんです。

――恐怖心はないんですか?

萩原 怖いもの知らずというか、なんとかなるだろうなって。新体操をやっていたので、ジャンプして飛び込むとか回転するとか散々やってきるんですよ。ちゃんと練習したら、もっといろいろなアクションができるようになるのかなって興味はすごいあります。

――アクションをやるならどんなシーン? ジャッキーチェンみたいな?

萩原 武器を持って攻めたいわけじゃないので、強い女性の役よりも逃げながら戦う側の役がいいですね。戦いの中での受け身のアクションがすごい楽しくて。「ここにぶつかったあと、あっちに逃げて」とかその場でバーっと言われたアクションをリズムで覚えて、自分なりに動作を入れる。新体操の振り付けをやるような感覚なんですよね。

――そんなアクションの捉え方、聞いたことないですよ。

萩原 本番までに自分の動きの練習をするというより、流れを覚えるんです。「カウント何秒で立ち上がるとこうなるから」とか、自分なりに考えるのがすごい好きで。ワンカットの長回しでバーっと撮るアクションとか、勢いあって楽しいそうですね!

――プライベートでもそんなにアクティブなんですか? 趣味は?

萩原 2年くらい前から銭湯とサウナにハマってます。電車に乗って遠出することもあって、週に3、4回は行ってました。今はこの状況なので行けないんですけど。

――プライベートでも"サ道"ですか。銭湯の良さは?

萩原 その町に住んでいる人たちが利用するので、土地柄によってお客さんの雰囲気も内装も違うんですよ。昔ながらのレトロな銭湯とか、壁に富士山とパンダが描いてある上野の銭湯とか。「今日は高温であったまりたい」「今日はきれいなお風呂に入りたい」とか、その日の気分に合わせて行き先を決めますね。

――サウナは自分流の楽しみ方とかありますか?

萩原 テレビがついていないサウナがいいんですけど、ケータイも何もない状態でゆっくり過ごします。サウナで汗がバーっと出たら水風呂に入って、それを繰り返す作業もすごい好きですね。すべてが浄化されて頭の中がいつもとは別の働きをするというか、「この役はこうだったなぁ」ってまた違う角度から考えることができて。今年は行けるといいですね。

――ありがとうございました。最後に、お仕事での目標を教えてください。

萩原 「萩原みのり」という存在を知ってもらうことですかね。こういう役者がいるんだということをもう少し広げていきたいなって思います。

(スタイリング/田畑アリサ ヘア&メイク/石川奈緒記 衣装協力/ハイムクンフト)

■萩原みのり(はぎわら・みのり)
1997年3月6日生まれ。愛知県出身。
○2013年に女優デビュー。Amazon Prime Videoにて先行配信のドラマ『お茶にごす。』にレギュラー出演中。3月25日(木)放送スタートのドラマ『RISKY』(MBS、毎週木曜24:50~)で地上波の連ドラ初主演。3月26日(金)よりAmazon Prime Videoにて独占配信されるドラマ『賭グルイ双』、『やっぱりおしい刑事』(NHK BSプレミアム・BS4K、毎週日曜22:00~)にも出演。映画『街の上で』は、4月9日(金)より公開。
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