『さんまのスーパーからくりTV』『中居正広の金曜日のスマたちへ』など、数多くの人気番組を手がけてきたバラエティプロデューサー角田陽一郎氏が聞き手となり、著名人の映画体験をひもとく『週刊プレイボーイ』の連載『角田陽一郎のMoving Movies~その映画が人生を動かす~』。

今回は、新曲『どうにか今日まで生きてきた feat.藤巻亮太』を配信リリースしたばかりのシンガー・ソングライターの川嶋あいさんが登場!

■意外!? 子供の頃からアクション映画好き

――子供の頃に見て記憶に残っている作品は?

川嶋 『トイ・ソルジャー』(1991年)ですね。テロリストとの戦いを描いた作品なんですけど、めっちゃ面白くて、楽しかったのを覚えています。子供の頃からずっとアクション映画が好きで。私、緊張感のある作品が好きなんですよね。

――あ、川嶋さんのイメージと違いますね。アクションがお好きだったとは!

川嶋 アクション映画は後味がいいので。最後に救われる作品が好きなんですよ。

――では、青春時代はどうですか?

川嶋 日本映画も見るようになりました。山田洋次監督の作品も好きなんですけど、そのなかでも『学校』シリーズ(1993年~2000年)が好きで。

――少し川嶋あいワールドに近づいてきましたね。

川嶋 でも、すみません。山田洋次監督も好きなんですけど、日本映画の中で一番ハマったのは『夏の庭 The Friends』(1994年)なんです。

――相米慎二(そうまい・しんじ)監督が手がけた、児童文学が原作の作品ですね。

川嶋 最初に見たのは15歳の頃でしたね。小説から入る人がほとんどで、映画から入る人はあまりいないんですけど。

――では、今のご自身に影響を与えている作品はなんでしょう?

川嶋 それはもう圧倒的に『ショーシャンクの空に』(1995年)ですね。もう大好きで大好きで。17歳のときに初めて見ましたけど、すべてのシーンが今でも忘れられないんですよね。気持ちいいんですよ、最後のあの色が出る感じが。好きすぎて、影響を受けまくった曲も作りましたね。

――え、曲を!? ちなみにどの曲ですか?

川嶋 ソロデビュー曲の『天使たちのメロディー』です。「絶望の中のひと筋の希望」がテーマの曲なんですけど。映画を見て曲にするみたいなことはあんまりしないタイプなので、そういうふうに作ったのは最初で最後かもしれないですね。それくらい、主人公のアンディーの生きざまに感動したんです。

――では、大人になってから面白かった作品は?

川嶋 最近だと『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』『ライオン・キング』(共に2019年)。どちらもすごくよかったですね。特に前者は印象に残っていて、「やっぱり女性は強いな」って思いました。

――ああ、わかります。川嶋さんご自身も強い人だなと僕は思ってるんですけど。

川嶋 どうですかね? 私は自分がないというか、周りに応えたいタイプなんですよね。周りが喜んでくれるんだったら、いくらでも自分の考えを変えられるタイプというか。

――それもわかります! 15、16年前に『金スマ』の「波瀾万丈」で川嶋さんを取り上げさせてもらったときに、「彼女ってどんな人なんだろう?」ってスタッフとかなり話し込みましたもん。なかなか素が見えなくて、VTRをけっこう直した記憶があります(笑)。

川嶋 すごく密着してくださっていましたよね。担当のディレクターさんが地元の福岡まで来てくださったのを今でも覚えています。

■新曲は藤巻亮太との長電話から生まれた

――新曲『どうにか今日まで生きてきた feat.藤巻亮太』のお話も伺いたいです。藤巻亮太さんとのコラボですが、そもそもどうやって曲を作ったんですか?

川嶋 コロナの影響で直接会えなかったので、ずっと電話でやりとりしてました。毎回1時間くらい話して出来上がった曲です。なので、ちょっと特殊ですけど。

――電話しつつ、「ちょっと弾いてみるね」とか?

川嶋 それもありましたけど、でも音楽と全然関係ない雑談をして生まれた曲という感覚ですね。お互いの人生観とか、今の日本の情勢じゃないですけど、「どんなことを考えてみんな過ごしているんだろう?」とか、そういうことをディスカッションしたんです。

――藤巻さんって、川嶋さん的にどんな方でした?

川嶋 すごくロックで骨太な堅い人というイメージがあったんですけど、実際はコットンとか毛布のようにやわらかで、女性的な方だなと思いました。と同時に思ったのが、「おしゃべり好きな方なんだな」ってことで。男性って何時間もとりとめもないことを話すのが好きじゃない人が多いと思うんですけど、藤巻さんはそうじゃなくて。

だからこそ、この曲が生まれたんだと思います。藤巻さんが私のことを考えて、いろんなご提案をしてくださって、対話によって私自身もどんどん藤巻さんに導かれて、歌詞もいっぱい書き直して。藤巻さんに応えたいという気持ちがどんどん強くなりましたよね。藤巻さんは本当にプロデューサーだなって思いました。

――この曲でどんなことを伝えたいですか?

川嶋 書き終わって思ったことなんですけど、やっぱり生きざまとか生き方って人から奪えないと思うんですよね。特に今は、みんなそれぞれ失ったものがたくさんある時代になっていると思うんですけど、それでも奪えないものって絶対にあると思うんです。それを感じていただけたら、すごくうれしいです。

――『ショーシャンクの空に』と同じですね。

川嶋 確かに! つながってきましたね。いまだに影響受けまくりですね(笑)。

●川嶋あい(かわしま・あい)
1986年生まれ、福岡県出身。2003年に「I WiSH」のaiとして『明日への扉』でメジャーデビュー。2006年から本格的にソロ活動をスタート。代表曲は『My Love』『compass』『大丈夫だよ』『とびら』など

■『どうにか今日まで生きてきた feat.藤巻亮太』
作詞:川嶋あい 作曲:藤巻亮太

【★『角田陽一郎のMoving Movies』は隔週水曜日配信!★】