4月12日(月)発売の『週刊プレイボーイ17号』では、でんぱ組.incから小鳩りあ、空野青空、鹿目凛、根本凪の4名が表紙&巻頭グラビアに登場する。
2013年1月。でんぱ組.incは『W.W.D』を発表。「ずっと引きこもっていた」など、メンバー全員の暗い過去を隠さずに歌ったこの曲は、でんぱ組.incの象徴的な楽曲となった。2021年2月。10人へとパワーアップした彼女たちがでんぱ組.incにたどり着くまでのエピソード0をひもといてみよう。4人の少女の『W.W.D』物語!!
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でんぱ組.incに集まってくるメンバーには共通点がある。それは、「何かしらのオタクであること」。そして「過去に、さまざまな葛藤を繰り返してきたこと」だ。
今年2月に10人となった、新生でんぱ組。週プレの表紙にやって来た4人の"過去の物語"。葛藤と挫折を孕(はら)んだ少女たちのストーリーをここに。
■すべてメイドカフェで。小鳩りあの場合
小鳩りあは、福岡県出身。4人きょうだいの長女で、小さい頃からゲームばかりしている子供だった。そんな彼女が小学5年生のとき、テレビ番組の特集に目を引きつけられたという。
「秋葉原にあるコンセプトカフェ(執事やメイド、アニメや異世界モノなど、ひとつのテーマや世界観を追求したカフェ)の特集でした。『秋葉原ってすごいな!』って思いました」
小鳩は、小学、中学といわゆる"女子同士のいじめ"的なものに巻き込まれていた。
「カースト上位の女子の好きな男子が私のことをアダ名で呼んだとか、好きみたいだって理由で恨みを買ったんだと思います。『いやなら私を見ないでくれ。関わらないで。平和に生きたい』って思ってました」
アニメが大好きだった彼女は、つらい学校に耐え、学校外ではアニメショップや、オンラインゲームでオタクの友達と深夜までチャットをして遊んでいた。オタクの世界にまみれることが唯一の救いだった。
高校に入って、仲良くなったばかりの友達から「福岡にもメイドカフェがあるらしいよ。受けてみなよ」と声をかけられた。
「友達に背中を押された形で入ったら、そこで働いていたのはみんな私よりもお姉さんで。全員がオタクで何も隠してなかったんです。『私は腐女子だから』『この乙女ゲームが面白い』って。私は、すべてをメイドカフェで教わりました。
オタクの世界以外にも、『いやなことを言われたらスルーすればいい』とか、『お客さんの目線に立つことの大事さ』。それと、たくさんの人たちと話をしたことで、『私、今までの人生、うまく生きてこれなかったって思ってたけど、いろんな道があるんだ。きっと自分は大丈夫だ』って、自分を肯定できるようになりました」
メイドとしてお店のステージで歌うこともあった。
「でんぱ組の曲を歌ってました。お店に来たでんぱファンのお客さんにCDもらったり、ライブ映像を見せてもらって『でんぱ組ってすごい!』って。アイドルできたらいいなって思うようになったのはその頃です」
そこから、少女は東京を目指し始める。
「メイドカフェは居心地のいい場所でした。東京で成功するかわかんないのに福岡を出ていいんだろうかって。悩みました」
悩んだ末、小鳩は仲間たちに別れを告げ、憧れ続けた東京・秋葉原に向かった。彼女が叩いた門は、でんぱ組の所属する事務所、ディアステージだった。
「事務所に入って5年。アイドルユニットにも入れていただいたり解散したり、本当にいろいろありました。今回、でんぱ加入の話が来たとき、うれしかったけど少し悩みました。絶対に叩かれると思っていたから。でも恐れてやらないよりも、断って一生後悔するほうがつらいから立ち向かうことを選びました。......でも、ネットの反応は優しかった。私が思っていたよりも世界は怖くなかったんです」
小さい頃からオタクにまみれ、"メイドカフェ"に生きる道を教わった小鳩。彼女は今、新しい世界へと羽を広げた。
■普通だった"蒼い彗星"。空野青空の場合
「富山県には、"蒼(あお)い彗星(すいせい)"と呼ばれる、底抜けに明るいオタクのアイドルがいる」
ライブアイドル界に詳しい人々の中で、そう呼ばれていたのが空野青空(そらの・あおぞら)だ。「テンションが高く、いつでもポジティブ。インパクトのある存在感」。そんなイメージを持たれていた。しかし、彼女自身は、そのイメージを否定する。
「私、本当に"マジで普通"なんです。昔から普通コンプレックスが強くて。成績が良かったわけでもなく、友達もそんなに多かったわけでもない。そんな自分を『普通って面白くないよな』ってずっと思ってました」
そんな彼女の高校時代には、大きな問題が襲いかかる。
「高校1年のとき。ある先生が心労からかうつみたいな状態になったんです。私、クラス委員をやっていたんですけど、その先生と接するタイミングが多かったんです。そうしたら、そのオーラに引っ張られてしまって、
自分も沈んでしまったんです。体調も悪くなるし、気力が湧いてこない。結局、学校をやめてしまいました」
高1でドロップアウトしてしまった空野は、それからは家でニート生活に入る。「ひたすらアニメを見続け、同時にアニメに救われていた」と空野は言う。
「でも、いつまでもひきこもっててもしょうがない。ウチって家庭的に裕福じゃなかったし、お母さんに負担をかけたくなかったんです。それに学校はやめちゃったけど、通信でも勉強できるから。そのための学費を自分で稼ぎたいって」
そこから空野は、家から近いカレー屋でバイトを始める。
「そこで出会った人たちが本当にいい人たちで。なかでも同じバイトで、25歳のすごくパワーのあるギャルママが自分の優先順位で生きている人で。『私はまじめに生きてきたけど、ハッピーに生きられればまじめでなくてもいいじゃん』って思えたんです。今の自分をつくれたのは、カレー屋とギャルママですね」
それからしばらくして、仲が良かったパートの主婦が「富山のご当地アイドルのオーディションがあるらしいよ」と教えてくれた。
「そこからアイドルの世界に入りました。最初はグループだったんですけど、その後、卒業してソロに。"北陸の蒼い彗星"として活動していました」
2019年。そんな彼女に「ディアステージがアニソンユニットをつくる」という話が飛び込んできた。「人生を救ってくれたアニメの歌を歌いたい」という思いからオーディションを受け、見事合格。「ARCANAPROJECT」のメンバーになる。
そして、2021年。でんぱ組.incに加入。
「でんぱ組、大好きだからこそ悩みました。これまで先輩方が作り上げてきたでんぱ。その新しい旅立ちに自分なんかが参加していいのか?って。でも、メンバーや、スタッフさんが『全員で頑張ろう!』って背中を押し合う姿にものすごい勇気をもらえました。その姿を見て、『ここで仲間と頑張りたい』って思ったんです」
結婚してもアイドルを続けるメンバーのいる、でんぱ組。そんな型破りなグループだからこそ、抱いている夢もあった。
「自分は人生をかけてずっとアイドルとして戦っていきたいから。でんぱ組は、それが叶かなえられる場所だと思っています。ここからのでんぱ組の歴史を仲間とファンの皆さんと、ずっと一緒に作っていきたいです!」
■学校から逃げ出した少女。鹿目凛の場合
「小学生時代は、アイドルが好きじゃなかった。偏見ですね。『ただ歌って踊ってちやほやされて、なんなの?』みたいな」
そう語る鹿目(かなめ)凛は、学校から逃げ出した少女だった。
「朝、起きれなくて遅刻をするんですよ。遅刻するとクラスの子たちにからかわれるんですね。それが気まずくて休みがちでした。親も優しくしてみたり、引っ張り出してでも行かせようとしたり、いろいろ試してはくれたんですけどね。玄関に行くとおなかが痛くなっちゃう。なんとか週に何日かは行ってたんですけど。行っても授業中は絵を描いてました。学校に行かない日は、家でインターネット、でしたね」
そんな生活をしていたある日。彼女は、ある動画を目にした。それは、でんぱ組が歌う『W. W.D』。メンバーが、でんぱ組にやって来るまでの過去の言葉を紡(つむ)いだ曲だった。動画の中のメンバーは、「いじめられて部屋にひきこもってた」「学校なんて行きたくなかった」「生きる場所なんてどこにもなかった」。そんな自分たちの闇と、「マイナスからのスタート、舐(な)めんな!」という、目指す未来をポップに歌い上げていた。
「それまではアイドルに対して否定的だったんですけど、『この人たちアイドルも自分と同じようにつらい思いをして、苦労しながらも乗り越えようとしている"人間"なんだ!』って思えて。そこでアイドルになりたいって考えだしたんですよ」
そこから鹿目は、「原宿で歩いていればスカウトされる」と、原宿に向かう。結果、スカウトマンから数枚の名刺をもらうことに成功。
「そのときに声をかけてもらったひとつの事務所に入りました。それが前のグループに入ったきっかけです」
とうとう目標だったアイドルに。しかし現実は残酷だった。
「ゼロからのスタートだったから、私たち目当てのお客さんより、メンバーのほうが人数多かったことも普通にありました。でもそこで現実を知って、『何かやらなきゃダメだ』って思うようになったんです」
それは、ある日メンバーと話していたときのことだった。
「『こんなことがあってね』って、あるファンの話をしてたときに、メンバーに『それ、イラストにしてみたら?』って言われて。ノリで描いてツイッターにあげたんですよ。そしたら、いつもあげていた自撮り(の画像)よりも3倍近くのいいねがついて。『じゃあ、続けてみようかな』って思ったんです」
そこからアイドルオタクのイラストを描き続けた結果、アイドル業界で大バズリする。
「起きたらフォロワーが3000人増えてたり、指原莉乃さんにリツイートされたり。それまでのライブの規模からすると信じられないくらいなことが起きて。それまで努力した経験がなかったから、自分で頑張って結果が出たことがものすごくうれしかったんです。フォロワーが10万人を超えたときには、景色が変わった気がしました」
ひきこもっていた少女は、アイドルになり。自分の努力で自分を認めることができた。そんな彼女は、2017年12月30日に、あの日から憧れていたでんぱ組に加入することになる。
「自分がでんぱに入るなんて、こんな世界線があるなんて思ってなかったです。小学生の頃、布団から出て学校に行くことはできなかったけど、今は弱い自分から少しずつ強くなれてるのかなって思います。いろんなことに挑戦できている今の自分と、あの日、くじけなかった自分に感謝してます」
■限界アイドル生活。根本凪の場合
根本凪は、鹿目凛とふたりで"ねもぺろ"というユニットを組んでいる。同じタイミングででんぱ組に加入した、いわば同期。実は根本も鹿目と同じ理由でアイドルへの道を踏み出した。
「中学生のときにひきこもっていたんです。その頃に『W.W.D』を聴いて、『こんなカッコいい生き方をしてるんだ!』って思ったんですよ。その前から夢眠(ゆめみ)ねむさん(卒業生)が好きだったんですけど、『W.W.D』でねむさんが『絵の道を目指してたんだけど夢破れた』って歌ってたのを聴いて初めて知って。自分も絵を描くの好きだったけど諦めてたから......。
こうやって頑張ってる人がいるんなら、私も頑張れるかもしれないって。そこからでんぱ組のプロデューサーのもふく(福嶋麻衣子)さんが関わっているオーディションに応募しました。それがはじまりです。とにかく、もふくさんに会ってみたかったんです」
当時の根本は、家から出ると体調が悪くなる状態だった。しかし、オーディションを受けるために東京を目指した。
「姉と母に駅までついてきてもらって、なんとか電車に乗って。実際、死ぬかと思いました」
そんな状態で受けたオーディションに、なんと合格。晴れてアイドルになった。
「アイドルになっても、人と話せませんでした。ずっと吐き気があって。ご飯も食べれなくて。すぐにやめたくなりました」
そんなある日、PVで水着になる機会があった。それまで人前で水着になったことがない根本だったが、それが大きなタイミングとなった。
「尊敬する、もふくさんに『いい乳してんじゃん!』って言われたんですよ。それまでの人生でホメられたことなんてなかったから。生きることで精いっぱいだったから。武器が見つかった気がしてうれしかったんです。そこからグラビアのお仕事が入るようになって。人が求めることに応えられるのが幸せでした。
あと、幸せといえば、やっぱりでんぱ組に入れたことです。憧れのねむさんとLINE交換して話したり。『夢小説なのか?』『われながらシンデレラストーリーだな』って。でも、調子に乗っちゃダメだ、って思いつつ毎日を生きてます(笑)」
2020年、11月。根本はツイッターで「パニック障害・不安障害の治療を受けている」と公表した。
「正直、怖かったし、悩みました。でも公表したことで『私も同じ症状だった。でも、ねもちゃんも同じなんだって思って、勇気出して病院に行ってみたよ』『ねもちゃんのおかげだよ。ありがとう』って言葉が届いて。私はねむさん、でんぱ組に救ってもらったから。こうやって正直に言うことで、あの日の自分みたいに、ひとりで苦しんでる子の支えになれればいいなって、おこがましくも思いました。直接助けてはあげられないけど、共感できる人がそこにいるって安心するから。深夜に明かりがついているコンビニのような存在になれればって思うんです」
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うまく生きられなかったひきこもり少女たちは、過去の自分を乗り越え、アイドルとなった。
でんぱ組.incに集まった10人の個性が今、集まったところだ。夢の舞台に立てたら、そこでハッピーエンド、ではない。さあ、新しい世界の扉を彼女たちと今、開こう。
■鹿目 凛(Rin KANAME)
9月21日生まれ 埼玉県出身
身長160㎝ 血液型=A型
nickname=ぺろりん 担当色=たまご色 得意技=漫画
公式Twitter【@peroperorinko01】公式Instagram【@kaname_rin】
■根本 凪(Nagi NEMOTO)
3月15日生まれ 茨城県出身
身長150㎝ 血液型=B型
nickname=ねも 担当色=ミントグリーン 得意技=歌と絵
公式Twitter【@nemoto_nagi】公式Instagram【@nemonagi】
■空野青空(Aozora SORANO)
10月16日生まれ 富山県出身
身長162㎝ 血液型=A型
nickname=あおにゃん 担当色=スカイブルー 得意技=ガンダム
公式Twitter&Instagram【@ao__sky】
■小鳩りあ(Ria KOBATO)
4月4日生まれ 福岡県出身
身長150㎝ 血液型=O型
nickname=りあぴ 担当色=パウダーピンク
得意技=ゲーム実況・メイド
公式Twitter【@kobato_ria】公式Instagram【@kobatoriapipi】
●でんぱ組.inc(Dempagumi.inc)
"自分の趣味に特化したコアなオタクのメンバー"が集い2007年に結成されたアイドルグループ。今年2月、新メンバー5名が加入し10人組に。4月23日(金)、最新曲『プリンセスでんぱパワー!シャインオン!』をストリーミング&ダウンロード配信リリース予定。最新情報は公式サイトへ!
★『週刊プレイボーイ17号』(4月12日発売)に、特別付録DVD(44分)付き。撮影中の様子から本音の詰まったインタビューまで収録した完全保存版!
★でんぱ組.incデジタル写真集『New!!!!! Game!!!!!』
本誌のアザーカットをパッケージしたデジタル写真集が『週プレ グラジャパ!』ほか主要電子書店で12日(月)~配信! 価格880円(税込)
★誌面には載せきれなかった秘蔵グラビアや撮り下ろしムービーは『週プレ プラス!』をチェック! 【https://www.grajapa.shueisha.co.jp/plus】