役者を貫いて、生きる――。Netflixの『愛なき森で叫べ』でヒロインを務め、映画を中心に活躍する女優・鎌滝恵利(かまたき・えり)が4月19日(月)発売の『週刊プレイボーイ18号』でグラビア初撮り下ろし。
「普通にグラビアやっても、意味ないでしょ?」
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■「普通のグラビアはやりたくないです」
――撮影前の打ち合わせで聞いた、この言葉が印象的でした。
鎌滝 グラビア映えする豊満な体形をしているわけではないし、やっぱり役者の自覚があるので。爽やかできれいなイメージより、人間くさいドロッとしたものを表現したかったんです。この気持ちは20歳で役者を志してから、自分の中にずっと核としてあるものです。
――掲載グラビアのラスト、一糸まとわぬ写真が強烈です。
鎌滝 初めてのグラビア撮影で、ここまで出しちゃっていいのかなって、一瞬だけ悩みました。でも、あの写真が私の人間性を真っすぐに表していると思えました。体の肉づきも、過ごしてきた時間や悩み、考えてきたことがしっかり写っている。そう心から実感できたので、もう迷いはありません。
――普通じゃいられない、という考え方は昔から?
鎌滝 小さい頃は"いい子"でした。感情をそのまま表現する怪獣みたいな姉がいたので、私は真逆というか。姉妹でよくあるパターンです。大人の顔色をうかがって、うまく場に対応するタイプでした。小学生の低学年までは......。
――詳しく聞かせてください。
鎌滝 4年生になってから、学校を休みがちになりました。大きなきっかけがあったわけじゃなくて、徐々に。いまどきの言葉を使うなら、ちょっと「病(や)んでる」状態だったかもしれません。結局、中学を卒業するまでほとんど学校には行きませんでした。
――引きこもり状態ですか?
鎌滝 外には出ていました。そうそう、当時、安室奈美恵さんがコーラのCMに出演されていて、自販機に彼女のシールがよく貼ってあったんです。それをひたすら探して、街中の自販機を渡り歩いていました。完全に変ですね(笑)。
――家での生活は?
鎌滝 よく詩を書いてました。国語だけは得意で、教科書で覚えた宮沢賢治の『やまなし』という作品にすごく影響を受けたんです。蟹の兄弟が得体の知れない「クラムボン」について語る内容で、奇妙な擬音が連続します。言葉だけを追ったらかわいい詩なんですけど、死のにおいがする不穏な感じが忘れられなくて。
――じゃあ、そのとき鎌滝さんが書かれた詩も......?
鎌滝 不穏です(笑)。「生きるとは?」「人間とは?」みたいな内容でした。いま考えると危ないですね。暗闇を脱することができたのは、レースクイーンをやっていた姉が手を引っ張ってくれたから。15歳の頃、姉の所属事務所の方が誘ってくれたんです。
――15歳のレースクイーンなんて、かなり珍しい存在です。
鎌滝 だから、フジテレビが番組で取り上げてくれたんです。このとき、初めて人に必要とされた気がして、芸能界で頑張ってみようと決意しました。
それからモデルのコンテストを受けて賞をもらったり、下着メーカーのイメージガールとして活動したり。外見の華やかさを競うような仕事が続きました。充実感はあったんです。でも、20歳になる手前から違和感を覚えるようになって。
――それで役者を?
鎌滝 はい。演技の学校に1年通って、卒業してからは履歴書を書いてオーディションを受け続ける日々でした。
なかなか結果が出ないなかで、園子温監督の『愛なき森で叫べ』(2019年。Netflix配信)のヒロイン役を演じるチャンスをいただきました。私の実質的なデビュー作で、忘れられない大切な記憶です。クランクアップ後は、絞り切ってカラカラに乾いた雑巾みたいな状態でした。
――まさに「人間のドロッとしたもの」を演じ切ったわけですね。
鎌滝 演じている瞬間って、無敵状態になれるんです。自分をさらけ出して、現実の外の世界を生きていられるから。今回、グラビアを通じても同じような感覚を知ることができました。機会があればまた、写真の表現にもチャレンジしてみたいです。
(スタイリング/木村美希子 ヘア&メイク/mahiro)
●鎌滝恵利(かまたき・えり)
1995年4月7日生まれ 東京都出身
特技=手話 趣味=銭湯、昭和歌謡、DIY
○15歳でレースクイーンデビュー。2012年に開催されたミス・ティーン・ジャパンで準グランプリを受賞、15年には第23代トリンプ・イメージガールに就任した。以後、女優として活動し、園子温が手がけたNetflixの話題作『愛なき森で叫べ』(19年)のヒロインに抜擢。昨年公開された映画『子どもたちをよろしく』『おかあさんの被爆ピアノ』に出演するなど、今、最も飛躍が期待される女優のひとり。
公式Instagram【@erikamataki】
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