新垣結衣さんが星野源さんと結婚し、世間では「ガッキーロス」が叫ばれているが、"音楽界のガッキー"新垣隆(にいがき・たかし)さんは今、何を思うのか。
■ひとりのファンとしてお祝いしたい
――新垣結衣さんが星野源さんと結婚されるタイミングで、"ガッキー"つながりということで新垣隆さんにインタビューを申し込んだところ、まさかまさかご快諾いただきまして。今回はむちゃなお願いにもかかわらず、ありがとうございます。
新垣 いえいえ。とてもおめでたいニュースなので、ひとりのファンとしてお祝いしたい気持ちはあります。ただ、新垣結衣さんとは面識がないので、あまり出しゃばるのもよくないなという気持ちもあります。
――おふたりの結婚のニュースはどこで知ったんですか?
新垣 今、大学の非常勤講師をやっていまして、授業終わりにスマートフォンを見たら、速報のニュースが飛び込んできたのでびっくりしました。
――バンド「ジェニーハイ」のメンバーでもある小籔千豊(こやぶ・かずとよ)さんは「ガッキーがネットニュースになっている」とスタッフから聞いて心配していたけど、話題になっているのは新垣結衣さんのほうだったことがわかり、「ガッキー違いでした」とSNSにアップしていましたよね。
新垣 そういうのもうれしいですね。いつも私は新垣結衣さんの人気にあやかっていますから。
――星野源さんと面識はありますか?
新垣 面識はないですね。星野さんは昨年の緊急事態宣言下で、皆さんのために曲を提供していましたよね。同じ音楽家として、とてもすてきだなと思い尊敬します。
――『うちで踊ろう』は「コロナ禍を乗り越えよう」といったメッセージソングでしたが、新垣さんもそういった曲を作ったりするんですか?
新垣 ええ。メッセージを曲にしてプレゼントすることもありますよ。
――「結婚のお祝いソングを作ってください」という依頼もあったりするんですか?
新垣 正式に作るわけではないですが、知人の結婚パーティでピアノを弾いてお祝いの気持ちを伝えることはよくあります。新郎新婦のイメージをもとに即興で弾くんです。
――ちなみに、新垣結衣さんと星野源さんをイメージしたお祝いソングを即興でお願いしてもいいですか?
新垣 ええ。もちろん。
――ありがとうございます!
新垣 こんな感じですね。(*演奏の模様はYouTubeチャンネル『週プレTV【公式】』にて配信中)
――すてきな曲ですね。どんなイメージで弾かれましたか?
新垣 おふたりはそよ風が吹く爽やかなイメージがありますから、前半はそういった感じで。リスペクトを込めて、途中で『うちで踊ろう』も入れてみました。後半は「結婚して幸せだけど、これから夫婦になって大変なことがあっても頑張ってほしい」という応援の思いを表現しています。
■バンドは楽しいけどラップだけはつらい
――そもそも、新垣さんはいつから"ガッキー"と呼ばれるようになったんですか?
新垣 ジェニーハイを組んでから小籔さんが呼んでくれるようになって。私もそれを否定することなく、「はい」と受け入れてました(笑)。
――学生時代はガッキーと呼ばれたりしなかったんですか?
新垣 高校時代はニイガキのニイから、「新(ニイ)ちゃん」と呼ばれていましたね。
――なるほど。ジェニーハイがきっかけでガッキーが浸透していったんですね。ちなみに、ジェニーハイの楽曲は川谷絵音(えのん)さんが作っていますが、どんな印象を持っていますか?
新垣 川谷さんが作る曲はロックもあれば、ポップスもあります。ポップスはどちらかといえばダンスミュージックで、歌って踊っての世界ですね。川谷さんは楽器が持つ音の組み合わせの遊びが絶妙で、楽曲の構成も工夫があって面白いです。
――具体的にどう面白いんですか?
新垣 例えば、A+Bという組み合わせのときに、ちょっとはぐらかしてCを持ってくるみたいな。そういう仕掛けを作るのがうまいんですけど、クラシック音楽と通ずるところがすごくあって私は好きなんです。
――バンド活動は順調そうですね。
新垣 ええ、楽しいです。でも、今、ラップをやらされていまして......。あれだけはつらいんです(笑)。川谷さんはそれを知っているのに、「ラップを3曲作りました」って言ってくるんですよ......。最近は少し上達してきましたけど。
――上達したことを川谷さんにホメられたんですか?
新垣 いや、ホメられたことはないんです(笑)。ホメられようと頑張っているんですが、あんまりホメてくれなくて。ラップに関しては厳しいです。
――ピアノ演奏に関してはどうですか?
新垣 川谷さんは一流のギタリストですから、やっぱり厳しいですね。ものすごく厳密さを要求されるので、そこをしくじっちゃたりすると、「ちょっと何やってるんですか」って。
――厳しいですね。
新垣 呼び出されて、「そこに立ってろ」みたいな(笑)。
――それはないでしょ(笑)。川谷さんは20歳近く年下ですよ。
新垣 あ、そこまでは言わないですね。すいません。
■音楽仲間と「人生最大の恋」
――新垣さんは独身ですが、結婚は考えてますか?
新垣 今のところないですね。
――星野源さんと新垣結衣さんはドラマ共演がきっかけなので、いわゆる職場結婚です。新垣さんは職場での出会いはどうですか?
新垣 音楽の世界でも多いんです。ですから若い頃はそれなりにいろいろと......(笑)。でも最近はないですね。恋愛はさっぱりです。
――若い頃というのは?
新垣 30代の頃です。6年ほど付き合った彼女がいました。一番本気でしたね。
――それは職場の方ですか?
新垣 はい。音楽仲間でした。うまく付き合っていたんですが、その女性が海外に留学してしまって。私は「待ってるね」って言って、その後も手紙を書いたりしたんですが、海外ですからだんだん連絡が途切れていって......。
――そのまま自然消滅してしまったんですか。
新垣 はい。そこからは例の騒動もあり、自分のことで精いっぱいでしたね。でも、今ではバンドを組んで仲間に恵まれて幸せに暮らしているので、「それで十分じゃないか」と思っています。
■吉岡里帆、松岡茉優と共演でドッキドキ
――騒動後は仕事の幅も広がりましたが、会えてうれしかった人はいましたか?
新垣 吉岡里帆さんです。CM撮影でご一緒させていただきました。とても誠実にお仕事に取り組まれるすてきな方で、好感が持てました。
――その現場はほかにどんな人がいましたか?
新垣 芦田愛菜(まな)さんもいました。あっ、でも未成年の方なので、週プレさんでは名前を挙げないほうがいいですよね。
――いやいや、なんの自粛ですか!(笑)
新垣 一応、忖度(そんたく)を(笑)。ほかにはX JAPANのToshl(龍玄とし)さんがいらっしゃいましたね。Toshlさんがボーカル、吉岡里帆さんがギター、私はピアノでバンドを組んでいる設定でした。
――吉岡里帆さんとバンドを組んでいたとは。
新垣 そうです。吉岡さんはバンド仲間です(笑)。
――すごいじゃないですか。映画『騙(だま)し絵の牙』で役者デビューもされてますよね。
新垣 新垣隆本人の役で出ました。私は割と本人役で映画に出てるんですよ。佐村河内(さむらごうち)守氏の映画『FAKE』(2016年公開)がスクリーンデビューです。
――それはドキュメンタリーでしょ(笑)。『騙し絵の牙』では誰と共演したんですか?
新垣 松岡茉優(まゆ)さんです。松岡さんは編集者の役で、私は劇中で彼女からインタビューを受けました。いやあ、本当にすてきな人でしたよ(笑)。
――思い出してめっちゃ笑ってますやん(笑)。
新垣 ドキドキしましたから。吉岡さんも松岡さんもテレビのイメージそのままで素晴らしかったです。マネジャーを呼びつけて、「コーヒー持ってこい!」みたいな裏の顔があるのかと思っていました。
――女優に相当悪いイメージを持っていたんですね(笑)。
新垣 大女優ですから。でも、おふたりともまじめで誠実で、スタッフさんから自然に慕われている感じがしました。
■音楽家としてコロナ禍でもコンサートをやりたい
――本業の音楽家としての活動は現在いかがですか?
新垣 コロナ禍ですが、少しずつコンサートを始めようかと。7月2日に「ピアノスキーのピアノ協奏曲」という私のプロデュース公演を行なう予定です。緊急事態宣言など、まだ読めない部分もありますが、音楽家としてできる範囲でやりたいと思っています。
――「シブヤ音楽大学」の学長もされているそうですが、これはいったい?
新垣 学校法人ではないですが、「シブヤ音楽大学」という名前をつけてオンラインの音楽サービスをやっています。私はクラシック音楽の曲作りについての講座を持っています。専門的なこともやりますが、その一方でなるべく多くの人に届く内容にしたいと思っています。
――本業も順風満帆ですね。
新垣 いやあ、もう何も思い残すことはないです。はい。
――いやいや、まだ50歳ですから! これからですよ(笑)。
●新垣 隆(にいがき・たかし)
1970年生まれ、東京都出身。作曲家、ピアニスト。川谷絵音プロデュースによる超個性派バンド「ジェニーハイ」のキーボード担当。桐朋学園講師、富山桐朋学園大学院大学特任教授、大阪音楽大学客員教授、シブヤ音楽大学学長などを兼務
・7月2日(金) シブヤ音楽大学新垣学長プロデュース公演『ピアノスキーのピアノ協奏曲』東京・めぐろパーシモンホール大ホール
・9月25日(土) ジェニーハイ『アリーナジェニー』横浜・ぴあアリーナMM