事実、仮面ライダーとスーパー戦隊。両シリーズで変身した女優は、工藤美桜(くどう・みお)のほかには存在しない――。

『仮面ライダーゴースト』の深海カノン役で女優デビュー。そして『魔進戦隊キラメイジャー』の大治小夜(おおはる・さよ)/キラメイピンク役に結実。スーパー戦隊を卒業し、再び仮面ライダーの舞台へ。配信限定のオリジナル作品『仮面ライダースペクター×ブレイズ』で変身を遂げた彼女が、9月13日(月)発売『週刊プレイボーイ39・40合併号』のグラビアに登場。

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■宝物みたいなゴーストの経験

――『魔進戦隊キラメイジャー』(2020~21年)の大治小夜/キラメイピンク役の印象が強い工藤さんですが、女優としての原点はまた別にあって。

工藤 はい。『仮面ライダーゴースト』(2015~16年)の深海カノン役がスタートラインです。初めて役をもらって、レギュラーとして参加した思い出深い作品。もう必死でしたね。お芝居のことを考えるというより、セリフを覚えて合わせるのにいっぱいいっぱいで。

学校が終わって制服のまま撮影に行ったり、逆に撮影してから登校したり、合間に宿題やテスト勉強をしたり。一番年下だったので、周りのお兄ちゃんたちに助けてもらうばかりでした。

――当時は16歳でした。

工藤 そうそう、16歳の誕生日を現場で祝ってもらったんですよ。そのときはまだ声だけの出演なのに、大きなホールケーキが出てきて。ふふふ。こんなに豪華でいいの!?ってビックリしましたね。

カノンは作品の設定で「眼魔(ガンマ)アイコン」に閉じ込められ、実体化できるか当初はわかりませんでした。無事にそれが叶(かな)って最終回まで出演できたのは、私にとって宝物みたいな経験です。

――調べると、カノンの「眼魔アイコン」はグッズとして商品化されたんですね。

工藤 (商品画像を見て)懐かしい! プレミアムバンダイ限定でネット販売されました。グッズ用にもアフレコしたなぁ。基本はストーリーに沿ったセリフがメインで、「おはよう~」「おやすみ~」とか全然関係ないオリジナルボイスもたくさん録りました。オリジナル、めっちゃ多いやん!って心の中でツッコミを入れた記憶があります(笑)。

――仮面ライダーとスーパー戦隊の両シリーズを経験されて、違いを感じました?

工藤 感覚的に仮面ライダーのほうが重いイメージがあります。戦隊は割とほのぼのしていて、特にキラメイはコメディ要素が強いので明るくて前向きな話が多かったです。

逆にゴーストは死について深く向き合うこともあって、ストーリーが複雑で一話も見逃せない緊張感がありました。役柄的にも正反対。ゴーストは妹キャラで、キラメイはお姉さん的な存在です。

自分では妹のほうが似合うと思っていましたけど、キラメイの小夜を一年間演じると抜け切らなくて。今ではしっかり者のお姉さんがしっくりきます。

――今年の6月に配信されたスピンオフ作品『仮面ライダースペクター×ブレイズ』では、仮面ライダーへの変身も実現しました。両シリーズに出演して、しかも共に変身している女優は長い歴史の中で工藤さんが初めてです。

工藤 ゴーストの現場でずっと話していたんです。いつかは仮面ライダーに変身したいって。その夢が5年越しに実現したのは、やっぱりキラメイに出演したのが大きいはずです。

仮面ライダーへの変身はとにかく緊張で胸がバクバクでした。キラメイはみんなと心を通わせるチームプレイみたいな感覚でしたけど、仮面ライダーはひとりきり。背負うものがまた違うというか、ヒーローの責任をより強く感じました。

――今あらためて、ゴーストの現場を振り返って?

工藤 あの経験がなかったら、私はきっと芸能界にはいなかったはずです。実はオーディションを受けたとき、この仕事を諦めようと本気で考えていました。でも、奇跡的に役をいただけて、だったらもう少しだけ頑張ってみようと覚悟を決めたんです。だから先ほども話したとおり、ゴーストはスタートラインです。

もちろん、次も狙っています。残すは悪役。最後まで生き残る強めの女幹部じゃなくて、憎めないキャラで序盤に死んでしまうようなヘタレな役で(笑)。そしていつか、私の使命として。両シリーズからもらった恩を、次の世代にちゃんと返していきたいですね。

(スタイリング/上野 珠 ヘア&メイク/mahiro) 

●工藤美桜(くどう・みお) 
1999年10月8日生まれ 東京都出身 身長165cm 特技=日本舞踊 
○TBS日曜劇場『TOKYO MER~走る緊急救命室~』に出演して話題に。また現在、ファッション誌『with』のレギュラーモデルとしても活躍中です。
公式Twitter【@p_miokudo】 
公式Instagram【@mmio_kudo】

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