今年は『仮面ライダー生誕50周年』。そこで9月13日に発売された『週刊プレイボーイ39&40合併号』では「仮面ライダーヒロイン集結」と題し、歴代の仮面ライダーヒロインたちが登場。最新水着グラビアをはじめ、インタビューなどで仮面ライダーシリーズへの愛を見せてくれている。
そんな特集から、歴代ヒロイン5名のインタビューを最新撮り下ろしとともに連続掲載。今回は『仮面ライダーウィザード』(2012~2013)で、警視庁鳥居坂署の新米刑事・大門凛子を演じた高山侑子さんが登場。大門凛子は、ファントム(怪人)に襲われていたところを主人公・操真晴人(そうま・はると)に助けられ、それ以降、彼のサポート役として活躍した。作品から得たものや当時の気持ち、そして仮面ライダーシリーズの魅力を語る。
* * *
――大門凛子役が決まったときはどんな心境だったんですか?
高山 すごくうれしかったですね。オーディションが3次まであって、特に最終審査は実際に役を演じるんですけど、それが半日くらいで長かったんです。なので、頑張った甲斐があったなって。
――そのオーディションではどんな役を?
高山 明るくて気が強くて、おせっかいな女性の新米刑事。まさに凛子でした。私自身も明るさや気の強さに加え、おせっかいなところがあるんです。なので自然体で演じました。それがよかったのかもしれませんね。
――では撮影に向けて特別な役作りはせずに?
高山 そうですね。ただ、甲高い声を出さないようにしようって。新米とはいえ刑事だし、カッコいい女性のイメージがあったんです。甲高い声だと、どうしても弱く見えてしまう。アクションで受け身をとる時も「きゃあ!」じゃなくて、「うわっ!」って言うよう常に意識していました。
――高山さんは、その頃すでに女優として5年のキャリアがありました。ライダーの撮影現場はいかがでした?
高山 それまでは年齢が下のほうだったので、先輩方に引っ張ってもらってたんですけど、ライダーの現場は同世代の若い俳優さんが圧倒的に多かったですね。なかにはこれがデビュー作だという方もいて。おせっかいな性格なので、「自分が引っ張っていかなきゃ」という気持ちになったり(笑)。その一方で同世代が多いからこそ、負けたくないって気持ちにもなりました。私自身はもともと、台本を完璧に演じたいと考えるタイプなんです。でも、自分からセリフやお芝居の提案をするようになりましたね。特に主人公・操真晴人役の白石隼也君はキャリアも近いし、自分から発信していくタイプ。彼の存在は大きな刺激になりました。
――特に印象に残っているエピソードはありますか?
高山 物語の後半で、指名手配中の放火犯の無実を信じ、一緒に逃走劇を繰り広げるエピソード(第36~37話)かな。私と晴人の助手・瞬平がメインの回なんですけど、瞬平役の戸塚純貴君と面白くしようっていろいろ話し合って。
――ふたりの掛け合いが楽しい、コメディタッチの2話でしたね。
高山 そう。特に下水管をくぐるシーンは気持ちが入りました。びしょ濡れで、泥まみれにもなって。カッコつけず、自分をさらけ出すように演じました。それまで映像を見返して自分の気持ちがお芝居に伝わり切れてないなって感じることがあったんです。でもそのときはいつもより必死だったので、吹っ切れたというか、満足いくお芝居ができました。ただ、ひとつ後悔してることがあって。
ラストショットは私と瞬平がカメラに向かって、「え~!」って驚いて終わるんですけど、そこで思い切り「ブサイク」な変顔を披露したんです。あれはあれで面白くてよかったけど、さすがにちょっと......。あ、これ、言うと探されちゃうかな(笑)。あと印象に残ったといえば、やはり変身したことですね。
――『映画版 仮面ライダーウィザード イン マジックランド』で(2013)で、凛子は女性ライダーに変身しています。
高山 そうそう。変身は、恥ずかしさを抑えながらやったんですよ。
――恥ずかしかった? でも女性はセーラームーンに憧れたり、変身したいってよく言いません?
高山 私も小学生の高学年まで魔法少女になれると思い込むくらい、変身願望がありました。でも自分の気持ちを素直に出せない性格なんですよ。なので、照れくさくて(苦笑)。
その後『劇場版 仮面ライダーゴースト100の眼魂とゴースト運命の瞬間』(2016)でもライダーになったんですけど、2度変身した女性は、私だけだとか。後で知ったんですが、ちょっとうれしかったです(笑)。
――どちらも左手を横に差し出す、ウィザードの変身ポーズでした。
高山 『ウィザード』の映画では、何人かが一斉に変身するんですけど、私が最初なのでオーソドックスなものがいいだろうと。『ゴースト』の時は『ウィザードの人』だとわかるようにしようということで結局、同じポーズになりました。
――せっかくなら"凜子ポーズ"があればよかったですね。
高山 本当に。映画のイベントでは、趣味のよさこい踊りの振り付けを取り入れ、オリジナルの変身ポーズを作って披露してましたよ。
――変身の楽しさを覚えたと。
高山 そうですね。変身後にアクションシーンに声を当てるのも楽しくて。台本には「(やられる)」って書いてあるだけで難しいんですけど、その分やり甲斐があるんです。白石君や仮面ライダービースト役の永瀬(匡)くんは、セリフがないのに掛け合いがぴったりで、カッコいいと思いましたよ。ちなみに『宇宙戦隊キュウレンジャーVSスペース・スクワッド』(2018)ってOV作品では悪の怪人に変身しています。いつか戦隊ヒロイン役をやって、変身コンプリートしたいです(笑)。
――『仮面ライダー』シリーズを『ウィザード』後に観ることは?
高山 何本かは。特に『仮面ライダードライブ』(2014~2015)はしっかり観ました。主人公が警察官ということで「凛子は出ないの?」っていろんな人に言われたんですよ。「もしかしたら......」なんて、ちょっと期待もしたし(笑)。
――大門凛子と詩島霧子(内田理央)の共演! いつか実現してほしいですね(笑)。仮面ライダーは今年、生誕50周年を迎えましたが、ここまで続いた魅力はどこにあると思います?
高山 人って誰かの成長を見守りたいじゃないですか。仮面ライダーって作品は、よく「役者の登龍門」と言われますけど、1年を通して、役柄も役者もすごく成長する番組だと思うんです。視聴者は物語だけでなく、そんな役柄や役者を応援したくて、観ている気がします。その「登竜門」の部分が一貫しているので、50年も愛されているんじゃないですかね。
――高山さんは『仮面ライダーウィザード』を見返しますか?
高山 たまに(笑)。でも観ると「ああすればよかった」って思いすぎて、「うわ~」ってなっちゃいますからね。
――エピソードを重ね、高山さんも大門凛子も成長を重ねてきたと。
高山 すごくそう思います。『仮面ライダーウィザード』は私を大きく変えてくれました。そして大門凛子は撮影を重ねて、新しい部分を加えているうち、成長しながら私自身に寄ってきた気がします。オンエアから10年近くたちましたが、彼女へのいとおしさは今も変わりません。
■高山侑子(たかやま・ゆうこ)
1992年10月13日生まれ 新潟県出身
〇2007年、モデル、女優としてデビュー。2016年『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS)で新垣結衣の義姉役を演じ話題に。公式Instagram【@takayamayuko_stardust】