『さんまのスーパーからくりTV』『中居正広の金曜日のスマたちへ』など、数多くの人気番組を手がけてきたバラエティプロデューサー角田陽一郎氏が聞き手となり、著名人の映画体験をひもとく『週刊プレイボーイ』の連載『角田陽一郎のMoving Movies~その映画が人生を動かす~』。

11月5日より全国公開予定の『シノノメ色の週末』に出演する女優・岡崎紗絵さんが大好きな映画への思いを語り尽くします。

■『ハリポタ』シリーズのイチオシは『炎のゴブレット』

――子供の頃に見た映画で印象に残っているものは?

岡崎 大好きだったのは『ハリー・ポッター』(2001~11年)です。

――特に好きなのは何作目ですか?

岡崎 うーん、難しいですね......。でも、4作目の『炎のゴブレット』(2005年)は派手ですごく好きでした。留学生が来て、敵同士だけど友情もあり、海の中とか迷路とかシーンもいろいろありましたよね。見ていて楽しかった記憶があります。

――見たときに「出てみたい」と思いました? それとも単純に楽しんだ感じですか?

岡崎 私は「役として出てみたい」というよりも、「その世界に迷い込みたい」っていう感じでした。もう本当に行きたいだけ、というか。

――では、クラスメイトのひとりでもいい的な?

岡崎 あ、でも、魔法学校だったら勉強をがんばれると思うので、ハーマイオニーになりたいですね。現世では無理でしたけど、魔法界では、私やれると思います(笑)。

――(笑)。では、思春期に見た作品で印象的なものは?

岡崎 『ROOKIES-卒業-』(2009年)です! 映画館で号泣して、「安仁屋(あにや)~!」「若菜~!」みたいな(笑)。野球は全然わからなかったんですけど、でも『ROOKIES』はドラマから見ていて大好きでした。キャラの中では平塚(平)くんがいちばん好きで。桐谷健太さんの独特なフォームが好きでした。青春時代に見た思い出として自分の中で残っていますね。

――このお仕事をされるようになってから見て、印象に残った作品ってあります?

岡崎 最近になっちゃうんですけど、『グレイテスト・ショーマン』(2018年)。ミュージカルはあまり見てこなかったんですけど、もうハマりすぎてしまって。

映画館で同じ作品を見たことはなかったのに、この作品は3回も見に行きました。大きなスクリーンで、あの音楽を大音量で聴くのがすごく良くて。いまでもよくサントラを聴いていますし、ストーリーも好きでDVDも買っちゃいました。

『最強のふたり』(2012年)も好きです。3、4年ぐらい前に見たんですけど、主人公たちの関係性が本当にすてきだなって。ラストシーンで、とんでもなく泣いたんですよ。

――感動的な作品ですよね。

岡崎 あとは『トガニ 幼き瞳の告発』(2011年)。もともとコン・ユさんが好きで見た作品なんです。

――いま話題の配信ドラマ『イカゲーム』(2021年)にも、メンコ勝負を仕掛ける男役で出演している俳優さんですよね。

岡崎 私はドラマ『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』(2016~17年)から好きになったんですけど。作品の雰囲気も好きでした。

――『ハリポタ』とはまた違うけど、いいファンタジー作品ですよね。

岡崎 ファンタジー大好きなんですよ。『トガニ』は本当に衝撃すぎて、見終わった後も30分くらいソファから立ち上がれませんでした。泣きすぎて。

――衝撃的な作品ですもんね。では、実際に出演して影響を受けた作品はありますか?

岡崎 ドラマ『教場Ⅱ』(フジテレビ、2021年)ですね。

――木村拓哉さんが警察学校の教官を演じて話題になった作品ですね。

岡崎 あの現場の空気感はいままでに経験したことがないものでしたし、舞台が警察学校ということで、撮影が始まる1ヵ月ぐらい前からみっちり訓練したんです。初めから終わりまで、本当にすごい緊張感でした。

木村さんとも芝居をさせていただけて、すごく貴重な時間でしたね。もちろん、(演出を手がけた)中江功監督との出会いもすごく大きかったです。

――監督から言われて印象に残ってることってあります?

岡崎 ありすぎるんですけど、例えば「自分というものを、もっと知っていくことが大事だよ」というお話とか。私はほかの人より声が低めなんですけど、「そういうものを武器にすることをもっと覚えていくといい」って言っていただいて。

――そういう気づきがあると、演技って変わるものなんですか?

岡崎 そうですね。例えば、私みたいな声のコは、ちょっと高い、上ずった声を出すと嘘っぽく聞こえてしまうので、そういうことも意識して演じるようになりました。

――木村さんとの共演はやはり緊張しましたか?

岡崎 それはもう緊張しすぎて......(笑)。

――僕は『金スマ』で中居(正広)くんとは仕事してたんですけど、木村さんとは2、3回しか仕事したことなくて。なので、その緊張感わかります(笑)。

岡崎 あとは"鬼教官"と呼ばれるキャラクターだったのもあったと思います。バラエティ番組で拝見する木村さんではなくて、もう本当にその教官でしかなかった。撮影の合間にお話しさせてもらったときも、ものすごく緊張してしまいましたね。

でも、フランクにお話しいただける時間もあったりして。何度も共演できる方ではないので、のぞき見というか、ずっと盗み見していました。

■女子あるあるを描く『シノノメ色の週末』

――今回の『シノノメ色の週末』の撮影はどうでしたか?

岡崎 雰囲気がものすごく優しくて、とても温かい空気感のなかで撮影していました。

――映画そのものも、とても優しい作品ですよね。

岡崎 そうなんです。衝突はあるんですけど、女子ならではの衝突というか、大きな波風が立つかって言われると、始まりから終わりまでそうではないんですけど。

――むしろ些細(ささい)なことしかないですもんね。

岡崎 そうなんです。でも、女子の中だと「あるよね!」ってことばっかり起こるので。

――男性から見ると、仲がいいのか悪いのかって距離感なんですよね。

岡崎 たぶん男子だったらあまり起こらないような問題だったり距離感だったりするんですけど、女子はあるんですよね。だからこそ、現場では自然体な感じでいられたのも良かったです。勉強にもなりました。誰かが出すぎるとバランスが崩れる......みたいな。

――その出すぎない感じ、映像にも出てました。

岡崎 そこのバランスとかもすごくいい雰囲気で、楽しかったです。

●岡崎紗絵(おかざき・さえ)
1995年生まれ、愛知県出身。ファッション誌『Seventeen』の「ミスセブンティーン2012」でグランプリを受賞し、専属モデルとしてデビュー。2016年より、ファッション誌『Ray』の専属モデルを務める。今夏、フジテレビの月9ドラマ『ナイト・ドクター』の高岡幸保役で話題に。コント番組『新しいカギ』(フジテレビ系)のレギュラーとしても活躍中

■『シノノメ色の週末』11月5日(金)より全国公開予定
配給:イオンエンターテイメント
©2021映画「シノノメ色の週末」製作委員会

【★『角田陽一郎のMoving Movies』は毎週水曜日配信!★】