2001年に始まった『M-1グランプリ』。そこから17回連続で予選MCを務める「はりけ~んず」(前田登・新井義幸)と、2015年の"新生M-1"から7回連続で予選MCを務める「レギュラー」(松本康太・西川晃啓)のふた組が本日開催の決勝戦を大展望!
聞き手は、今大会で芸人に復帰して3回戦進出を果たしたインタビューマン山下です。
■ラランド効果で男女コンビが増えた!
――今大会も例年どおり、予選のMCを務めたおふた組ですが、何か印象に残っていることはありますか?
新井 ラランドが最近活躍し始めたからか、今年は男女コンビがめっちゃ増えたね。
前田 あとはニューヨークの屋敷(裕政)っぽいツッコミも増えた。屋敷のトーンやタイミングを勉強してんねんなって。
西川 僕らが参加していた頃は前のコンビがウケてたら、ドキドキして出にくかったんです。でも、今のコらは前のコンビがウケてたら、舞台袖で「よう頑張った」って感じで拍手してて。競ってる感じがないんです。
松本 漫才のパターンて、やり尽くされてきてるじゃないですか。だから、誰もやってない"穴"を探している芸人さんが増えてきてると思いました。
――例えば誰ですか?
松本 えっと、急に言われると思いつかないです。
――いや、思いついてくださいよ(笑)。
松本 追いつめすぎですよ(笑)。
――「増えてきてる」と言うからひと組ぐらい具体的なコンビ名を聞きたいんですよ。
松本 ............。
――出ないですね(笑)。
■ランジャタイは2016年のザコシ級
――ファイナリストで注目してるコンビを教えてください。
前田 ランジャタイみたいなタイプをまだ決勝で見てないので、どんな結果になるのかは楽しみやね。
――ランジャタイは予選ではどうでしたか?
西川 2回戦では、ボケの国崎(和也)君がワァーって言っただけでお客さんが「来た!」って感じでした。今年ちょこちょこテレビに出てたんで、お客さんもランジャタイのキャラを認識できてたんでしょうね。
――ランジャタイは去年の敗者復活戦放送後にメディアの仕事が増えましたから。
新井 準決勝も一緒で、そのままトントントンとウケていってました。
前田『R-1ぐらんぷり2016』で優勝したときのハリウッドザコシショウにちょっと似てたね。これまでと同じテイストのネタなのに、あの年は1回戦からドーンとウケて、お客さんの期待感が続いていって優勝したから。
松本 ロングコートダディも『キングオブコント2020』のファイナリストになったので、ちゃんとお客さんがボケの堂前(透)君のしゃべり方とかキャラをわかってくれてました。だから準々決勝のウケ方がすごかった。
西川 彼らは大阪吉本なんですが、コロナ感染の影響で東京の会場になったんですよ。不利かなと思いましたが、ウケてました。
松本 準々決勝でオズワルドが出てきたときのお客さんの拍手もすごかったです。期待値が高かったけど、最初のボケでバァーンとウケて、お客さんの期待に応えてましたよ。
前田 前評判がすごいし、占いの番組でも「優勝の願いは叶(かな)う」と言われてたから。
――『M-1』の前哨戦といわれる『ABCお笑いグランプリ』でも今年優勝してるので、オズワルドが本命でしょうね。
■"あの八木さん"が「当確」を出したコンビは?
新井 個人的に注目しているのは錦鯉。僕と同じ年の50歳で決勝進出ってすごいなと。
西川 確かにニューヨークとかを見に来てるお客さんを相手に戦っているわけですから。
――しかも2年連続決勝進出。
前田 去年の準決勝よりウケてたような気がしたな。普通キャラが強いと連続で決勝に行くのは難しいけど、「あそこまでウケたら残るわ」って感じだった。たいしたもんやわ。
松本 僕が予選のときに袖で見てて、盛り上がってたのがモグライダー。ひとつの笑いをきっかけに増幅していって。でも一個ミスしたら一気に沈んでしまうリスクがあるネタで、その賭けに勝ってました。彼らはどっちに転ぶかわからんネタで勝負をする人なんで、それが決勝でもハマればすごいことになるんちゃうかなと。
前田 モグライダーは準決勝のネタ順が錦鯉のすぐ後だったのよ。錦鯉とはおバカキャラでかぶるから、直後にやりたくないはず。それでもあれだけ笑いを取ったのはすごい。
――インディアンスが予選からずっとウケてると各所で聞きますが、どうですか?
西川 準決勝の前日に「ルミネtheよしもと」の出番が一緒やったんです。インディアンスのネタを舞台袖で見てたら、横にいたサバンナのあの八木(真澄)さんが「仕上がってんな! 当確やで」って言ってました(笑)。
新井 「あの」ってなんやねん(笑)。
――"あの八木さん"が言うなら仕上がってますね(笑)。
西川 変化球のコンビがいっぱいいるなかで、インディアンスはわかりやすい漫才なんで得やと思うんです。アンタッチャブルさんは変化球の漫才が多かったなかで、いきなり正統派のストレートでドカンとウケて優勝しましたから。
■真空ジェシカの憧れは「あるある探検隊」?
――世間の認知度が一番低い、ももはいかがですか?
前田 僕も知らなくて今回初めて準決勝で見たけど、ウケてたよ。『M-1』は知名度が低いほうが有利といわれるしね。
新井 あとはあのパターンがめちゃハマるというのもある。
――ミルクボーイの漫才みたいに、強い型がありますよね。
前田 準決勝のつかみ(最初のボケ)が一番ウケてたのはゆにばーすやった。
――川瀬名人は「優勝したら芸人を辞める」と宣言してるので引退もありえますね(笑)。
新井 優勝してホンマに辞めるのか、ちょっと見届けたい。
松本 いっぱい入ってくる仕事をどうやって断るのか。
――リアルなのが、優勝直後じゃなくて、来年の3月末に引退すると言ってるんですよ。
西川 へ~、面白いですね。
――真空ジェシカの川北茂澄(しげと)さんはレギュラーの「あるある探検隊」を人前でマネたことがきっかけで芸人を志したそうですよ。
松本 うれしいですけど、ネタのスタイルを見たらまったく違うんで(笑)。彼らは変わった実験的なネタをライブでやってます。だから決勝で新しい漫才を見せてくれるかも。
新井 毎年準々決勝ぐらいまでは行って、ウケてるのに落ちてたんで。だから過去のウケたネタも持ってるから、決勝でどれをやるか楽しみ。
前田 敗者復活組はニューヨークかな。忙しいのにネタを仕上げてきてウケてたのよ。でも、準決勝は爆発せんかったな。だから本気の逆襲を見てみたい。