加藤歩とのコンビ「ザブングル」で芸人として活動し、2021年に引退した松尾陽介の対談シリーズ。対談のテーマは「40代からのセカンドキャリア」について。40代ならではの仕事や家庭、健康の悩みから、今後の人生の歩み方を考える。

2組目のゲストは、「流れ星☆」のふたり。破天荒な芸人タイプのちゅうえいと、副業もしている堅実タイプの瀧上。同世代3名による、ハチャメチャ対談スタート!(全3回の3回目/2回目を読む

★この対談の様子は、前編を週刊プレイボーイの公式YouTubeチャンネル(配信中)、後編をOMATSURIチャンネル(後日配信)で配信!

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■先の見えない芸人の「先」

ちゅうえい これだけ言わせて。早くマッツン、俺らに仕事振って(笑)。

瀧上 マッツンに聞きたいのは、売れてる人ほどいい意味で頭おかしくて常識離れしてるというか、飲み方とかもすごいじゃん? ただ、それって一般常識とはズレていて、すごく堅実な先輩とか、周りにいなかったじゃん?

松尾 あ~、いなかったかもね。

瀧上 僕らの直系だと、浅井企画の「ずん」さんとか。飯尾さんも、飲み会の時は芸人30人ぐらい全員に奢ったりとか、そういう人なの。

松尾 浅井企画と言えば、ウドさんもすごいよね。会ったら1万円くれるじゃん、あれ何なの?(笑)スゴすぎない?

瀧上 あれはそういう病気。

ちゅうえい 1万渡さないと死んじゃう奇病だと思う(笑)。そんなウドさんと飯尾さんが揃うと、支払いの場でケンカが始まるんだけど、「お前が払えよ」じゃなくて「俺が払う」でケンカするの。

瀧上 そういう先輩を見てるから、後輩には奢らなきゃっていうのは分かるんだけど。でも、「将来のためにこういうことやっておいたほうがいいよ」って、例えば金融リテラシーを教えてくれる先輩はいなかったじゃん。

松尾 なになに? 金融何? 芸人辞めてから、こういういろんなカタカナ聞くんだけど、大体知ってるフリして後で調べる。

ちゅうえい ヤダよ、いま教えて。俺、知らないもん。金融リテラシー?

松尾 リテラシーって何?

ちゅうえい カタカナで知ってるの「スロット」ぐらいだよ。

松尾 「パチンコ」と?

ちゅうえい あと「カナダ」(笑)。

瀧上 ちゅうえいって『少年ジャンプ』に載ってる情報しか知らないから(笑)。

ちゅうえい 努力、友情、勝利!

瀧上 資産形成とか投資とか、そういうことは一切知らないと思う。

ちゅうえい 4×3(しさん)=12ね。

瀧上 あ、すごい(笑)。でも野球選手とか、今あるお金を今のうちにこうしておいたほうがいいよって指導が入るんだってね。今までは良かったけど、これからそういうのもやらなきゃいけないよってこと。

松尾 すごくいい話なんだけど、瀧上の風貌で言われるといかがわしいよね。

ちゅうえい 青汁王子みたいだから。

瀧上 脱税したろか、ほんとに(笑)。

松尾 でも、偉いよね。そういうことも考えなきゃっていうの、僕は最近気づいたから。

瀧上 リアルな話、芸人で年金払ってないやつとか結構いたよね。

松尾 特に昔は。そういうのうちの加藤君、メチャクチャ怒るからね。

ちゅうえい 加藤君とアンガの田中君はすっごい怒る。

松尾 そういう奴には「年金も払ってないくせに偉そうにツッコむな!」って言ってたから。すごい返しだよね。

瀧上 芸人は麻痺してるけど、年金払ってないってこれはダメですよね。俺もこの20何年芸人だけで来ちゃったから、常識の基準が芸人になってるけど......。

松尾 でも、今の芸人さんはそういうとこもちゃんとしてそうだよね。

瀧上 「FIRE」って知ってる?

松尾 火でしょ?

ちゅうえい 違うよ、缶コーヒーだよ。

瀧上 なんで缶コーヒーの話しなきゃいけないの(笑)。FIREっていって、早期リタイヤして悠々自適に老後を暮らすことを目標にしてる30代、40代の人が増えてるんだって。その資産形成のために株とかやったりしようっていうのが、ブームになってるんだって。だからこそ、老後2000万円足りませんよとかいう問題が......。

松尾 ちょっと待って。え? 芸人辞めた側の人?(笑)

ちゅうえい 俺は......ごめん。この話、何も入ってこない。

松尾 ちゅうえいはザ・芸人だからね。

瀧上 ザ・芸人だからいいんです。20年後、俺が金持ちになって、ちゅうえいがメチャクチャ貧乏になって、それで流れ星☆やってるのは面白いなと思って。

松尾 それはそれで面白いね。

瀧上 マッツンは今どうしたいの?

松尾 そのコンサルみたいな感じの聞き方やめてもらっていい?(笑) 

瀧上 俺はその「FIRE」っていうのをしたいの。別に引退するんじゃなくて、そうやって芸人を続けたい。

松尾 一番理想だよね。お金も稼げたうえで、やりたいこともやれるっていうことでしょう?

瀧上 そうそう。

ちゅうえい でも芸人理想論の立場で言わせてもらうと、芸人の世界って「この先どうするんだろうな」の連続じゃん?

松尾 まあね。

ちゅうえい 「どうするんだろうな」の門から入って「どうするんだろうな」をやり続けてきたけど、大人になって知識とか常識が増えて、その「どうするんだろうな」に心が折れちゃったわけでしょ?

瀧上 こいつと20何年付き合ってるけど、流れ星の将来とか俺が不安になって、ちゅうえいに「不安だからこうしよう」っていろいろ提案して。

松尾 そういうのでぶつかってケンカしたりするわけでしょう?

瀧上 そうそう。

松尾 みんなの前でケンカできる芸人あんま見たことないけど、すげえケンカしてたよね。

ちゅうえい ケンカの末期だなと思ったのが、ロフトプラスワンっていうライブ会場で漫才をやったのね。瀧上のツッコミは当時ビンタだったんだけど、俺にビンタでツッコんできた時に、アドリブでビンタし返したの。そうしたら、こいつ怒ってビンタしてきて。で、俺もイラついてまたビンタして。

瀧上 プロレスみたいなものですよ。

ちゅうえい 気づいたら10分間ビンタし合ってたことがある。

瀧上 10年ぐらい前かな。それを見て、目の前でおっさんが1人だけゲラゲラ笑ってたの。気づいたら、それ酔っ払ったゆでたまご先生で(笑)。

ちゅうえい 「いいぞ~、流れ星!」って。

瀧上 ゆでたまご先生、プロレス好きだから。

ちゅうえい ゆでたまご先生にお会いする機会があってその話をしたら、全然覚えてなかった(笑)。

瀧上 ベロベロだったからね。

ちゅうえい 話飛んだけど。まあ、芸人さんは不器用な人が多いから、副業って理屈では分かってても、何したら良いか分からない人が多い。語弊があったらアレだけど、何したらいいか分からずに、例えばとりあえず漫才協会に入って浅草の寄席に出たりっていうのも、それは副業じゃないけど、今までやってなかったフィールドに飛び込むっていうのは、何か焦りがあるんだろうなと思う。

松尾 芸人業界も時代が変わってきてるよね。でも今20代の芸人さんとかは、そういう知識があるじゃん? 40代から50代の我々、そういう勉強を何もしてこなかった。

ちゅうえい 俺らは夢しか見てこなかった。

松尾 だから40代で芸人辞めるっていう決断ができないで残ってる方もいるんじゃないかなと。

ちゅうえい この世界には多いでしょう。

松尾 芸人続ける図も見えなきゃ、辞めた後の図も見えない人が、40代には結構いるだろうね。

ちゅうえい 家のお仕事とか家業を継ぐとかはあるかも知れないけど、そうじゃなく「芸人から放り出されました」ってなった時に、何していいか分からない人は多いと思う。

松尾 僕はたまたま教えてくれる人がいたから。

瀧上 それはすごい大事だよね。

松尾 だから、なるべくそういう迷える40代達を応援したい。何かできたらいいなと思ってるんだよね。

★この対談の様子は、前編を週刊プレイボーイの公式YouTubeチャンネル(配信中)、後編をOMATSURIチャンネル(後日配信)で配信!

■松尾陽介(まつお・ようすけ) 
1977年1月28日生まれ。1999年に加藤歩と「ザブングル」を結成。『アメトーーク!』の「運動神経悪い芸人」では「ガチ王」「水神さま」の異名を持つ。2021年に芸人を引退。現在は(株)OMATSURIの代表取締役社長

■流れ星☆
ちゅうえい(43歳)と瀧上伸一郎のコンビ。2017、2018年 に『THE MANZAI』でたけし賞を受賞。高校の同級生だったふたりが、2000年に結成。
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