M-1史上最年長チャンピオン、錦鯉の長谷川雅紀(左)と渡辺隆 M-1史上最年長チャンピオン、錦鯉の長谷川雅紀(左)と渡辺隆

50歳と43歳。M-1決勝の大舞台で「ライフ・イズ・ビューティフル」を体現した錦鯉(にしきごい)。今、日本でいちばんノッてるおじさんふたりを直撃!

■長谷川さんはジャガイモじゃない

――優勝おめでとうございます!

長谷川雅紀 ありがとうございます!

渡辺隆 ありがとうございます。まさかですね。

――昨年1月の取材時には「優勝する!」と言っていましたもんね。

渡辺 口では言ってましたけど、本当に獲(と)れるとは(笑)。

――優勝後はハードスケジュールですよね。長谷川さんは50歳なので心配ですが......。

長谷川 皆さんに言われます。「体調は大丈夫? 寝てんの?」って。たぶん僕は見た目が50歳以上なので、もうおじいちゃんに見えるんでしょうね。でも大丈夫です。

――前回大会は4位でしたが、今大会に向けてどのように調整してきたんですか?

渡辺 ライブは年間で10本ぐらいしか出てなかったです。新ネタも作ってなくて。過去のネタをブラッシュアップさせた感じです。

――前回大会では「登場するときの階段が怖いからリハーサルで降りる練習をした」と言ってましたよね。

渡辺 今年も本番前に1回練習しました(笑)。

――体調面はどうでしたか? 渡辺さんは持病の痛風がありますが。

渡辺 大丈夫でした。とりあえず当日に出なければと思ってて。前日に軽く痛くなるぐらいなら、乗り越えられるなと考えてました。

長谷川 僕はいつも頭をT字カミソリで剃(そ)っているんですけど、M-1の数日前に2ヵ所切っちゃいました。

渡辺 頭を剃るときのスピードが速くて、見てて怖いんですよ。何回も注意してるんですけど。

長谷川 ジャガイモの皮をむくピーラーみたいにやってたら、皮がめくれちゃって。

――ダメじゃないですか。ジャガイモだったらいいですけど、長谷川さんはジャガイモじゃないですよね?

長谷川 ちょっと待ってくださいね。(手で自分の顔を触って確認)人間です。

――じゃあ、ゆっくり剃ってください(笑)。

■後輩芸人たちが起こす「俺たちも連れてけ」運動

――長谷川さんは数年前まで、同じアパートに住んでいる後輩芸人たちからお金を借りたりしていたんですよね?

長谷川 僕の住んでるアパートに後輩が引っ越してきた初日に、「ちょっと俺の部屋に来て」って言って。引っ越し祝いを期待していた後輩に対して、僕は「ごめん。1000円貸してくんない?」って言いました。

渡辺 最低ですよ。

長谷川 今回のM-1も後輩たちみんなで見てくれたらしいんです。僕らが優勝したのを見て、抱き合って泣いてくれて。後輩たちが見てたテレビは僕があげたやつなんですよ。だから、思うところがありましたね。

渡辺 そのテレビも雅紀さんが人からもらったやつです(笑)。

――(笑)。

長谷川 今年は引っ越しを考えているんですけど、僕がお金に困っているときに借りていたということもあって、後輩たちは「お金を持ったら出ていくのか! 裏切り者! 出ていくなら俺たちも一緒に連れてけ!」ってなんか運動みたいなことを起こしてるんですよ。

――「蜘蛛(くも)の糸」じゃないですか。

長谷川 だから、僕はその糸を切ろうと思ってます(笑)。

――切るんですか! かわいそうに(笑)。引っ越しといえば、長谷川さんが昔住んでいたアパートもなかなか古めのところだったそうですね。

長谷川 築60年の風呂ナシアパートで、石の流し台でした。そこで頭を洗おうと思って、蛇口の下に顔を突っ込んだら、挟まって取れなくなったんです。そしたら、頭からスプリンクラーみたいに水が飛び散って。

――大ピンチじゃないですか(笑)。

長谷川 危なかったです。だから、それからはカップ焼きそばの容器に水を入れて、湯切り口をシャワーみたいにして洗うようにしていました。

――水の量少ないでしょ(笑)。

築60年のアパートの石の流し台で髪を洗おうと頭を突っ込んだら、その流し台と蛇口の間に頭が挟まってしまったときの再現 築60年のアパートの石の流し台で髪を洗おうと頭を突っ込んだら、その流し台と蛇口の間に頭が挟まってしまったときの再現

■あのセリフの考案者はバイきんぐ小峠

――所属するSMA(ソニー・ミュージック・アーティスツ)では、バイきんぐさんがキングオブコント王者、ハリウッドザコシショウさんとアキラ100%さんがR-1王者に輝きましたが、M-1王者は錦鯉さんが初めてなんですよね。

長谷川 実は今大会前、ハリウッドザコシショウとバイきんぐの小峠(英二)にわざわざ日を空けてもらって、ネタのアドバイスをいただきました。ありがたかったです。

渡辺 2本目の最後のセリフの「ライフ・イズ・ビューティフル」は小峠さんが考えてくれました。それまでは何も言わないで終わってたんですよ。それを小峠さんが「あそこでひと言なんか言ったほうがいいな......『ライフ・イズ・ビューティフル』は?」って。

――そうだったんですか! 最高のセリフでしたよね。

渡辺 そうなんですよ。拍手をもらえていい感じで終われたなと思って。それで優勝してタクシーでホテルに帰っているときに、雅紀さんが「『ライフ・イズ・ビューティフル』ってどういう意味?」って。意味わかってなかったのかよと思って(笑)。

■優勝賞金で買うのは弟のパソコン?

――渡辺さんの同居中のお父さんは喜んでくれましたか?

渡辺 はい。僕らの漫才を「何回見てんだろう」ってぐらい繰り返し見てますよ。毎回、初見の感じで笑ってるんでボケたのかなと(笑)。

――錦鯉が優勝した瞬間に長谷川さんのお母さんが喜んでいる映像を見ましたよ。

長谷川 優勝直後、お母さんの第一声が「隆君、ありがとう」ですよ。「おかしいだろ、まずはわが息子だろ」って思いましたけど(笑)。

渡辺 いいお母さんですよね。先に僕のことを言うなんて。

長谷川 あの動画の再生回数知ってます? もう150万回再生ですよ。

渡辺 その収益はお母さんに入るようにしてほしいですね。

――そういえば、長谷川さんは20代の頃、弟さんのデスクトップパソコンを勝手に売ったことがあるんですよね?

長谷川 いや、売ったんじゃないです。質屋に持っていったんです。

渡辺 一緒だよ。

長谷川 身内だから。

渡辺 身内でもダメだよ。しかも、そのパソコンを自分の車に積んで持っていきましたから。まず自分の車を売れよ。

長谷川 いやいや、僕の車は売らないですよ。

――身勝手ですね(笑)。弟さんにめちゃくちゃ怒られたのでは?

長谷川 土下座して謝りましたけど、「出てけ! 泥棒!」って蹴っとばされました。でも母親からお金を借りてパソコンは弟に返しました。だから大丈夫です。

――大丈夫ではないですよ(笑)。弟さんとの関係性は現在どうなんですか?

長谷川 今はそれも水に流してくれて。僕が出てる北海道の番組を全部録画するほど応援してくれてます。

渡辺 弟さんにパソコン買ってやれよ。

長谷川 買います!

優勝決定直後に抱き合い、渡辺さんのドーランが長谷川さんの白スーツにびっしりとついたらしい 優勝決定直後に抱き合い、渡辺さんのドーランが長谷川さんの白スーツにびっしりとついたらしい

■長谷川さんは今年、髪を生やす?

――最後に、新年らしく、今年の抱負をお願いします!

長谷川 これからのテーマは「50歳からの伸びしろ」ですっ! 歯もそうですが、体も全部メンテナンスして若返ろうとしてます。

――長谷川さんと同い年の新庄剛志さんも、アンチエイジングのメンテナンスを心がけてますから、考えが一緒じゃないですか。

長谷川 はぁ~、一緒ですね。

渡辺 一緒ではないよ(笑)。僕は逆に僕らの老いていく姿を楽しんでもらいたいです。僕はそっちのほうが武器だと思っているんで。

長谷川 僕、10㎏太って、10年ぶりに身長を測ったら1.2㎝縮んでたんです。

渡辺 もうじいさんですよ(笑)。

長谷川 あと、髪の毛を生やすことも考えています。薄毛の治療をして治ったら、一気に生やしてみんなをびっくりさせようかなと。話題がなくなったときにそれをやろうかな。

渡辺 そうなると雅紀さんのキャラを殺すことになるよ。そのまんまでいろよ!

●渡辺隆(わたなべ・たかし)
1978年東京都生まれ。東京NSC5期生。2001年「ガスマスク」でデビュー。解散後、「桜前線」を経て長谷川と「錦鯉」結成。「好きな女性のタイプ」遍歴は南野陽子、広末涼子、内田有紀、最近だと壇蜜。「結果、なんかエロい人が好きですね。しぐさとか」

●長谷川雅紀(はせがわ・まさのり)
1971年北海道生まれ。吉本興業札幌事務所1期。94年「まさまさきのり」でデビュー。「マッサジル」への改名を経て解散後、2012年「錦鯉」結成。「好きな女性のタイプ」遍歴は武田久美子、斉藤由貴、GO-BANG'S森若香織、最近はKARAのハン・スンヨン。「目が大きくてはっきりした顔立ちが好きですね」