写真集『本心』を2月24日(木)に発売する比嘉愛未(まなみ)が、2月21日(月)発売の『週刊プレイボーイ10号』で表紙&巻頭グラビアに登場。

なぜ写真集なのか。なぜ今なのか。......なぜ、周囲が驚くほど"攻めた"のか。女優・比嘉愛未の矜持と、思い描く未来。彼女の「本心」に迫った。

■世間のイメージとのギャップがある

――写真集『本心』が発売間近です。35歳で刊行する写真集となりますが、周囲の反応はいかがでしたか?

比嘉 「攻めたね!」って、シンプルに驚かれました。「あそこまでやると思っていなかった」という、予想を超えてきたというか、そういう反応があったので、私としてはそれが楽しかったです。

最初から、プロデュースを担当してくださった(清川)あさみさんとも話して、「今までの私じゃないところを出そう」というのは一貫してあったので。タイトルの『本心』も彼女が提案してくださったんですけど、本来の自分と世間の皆さんが私に対して持っているイメージに少しギャップがあるんだろうな、というのは前々から感じていて。

――世間が抱いている比嘉愛未のイメージというのは、ご自身はどのようにとらえていますか?

比嘉 まじめそう、とはよく言われます。まじめはまじめなんですけど......清楚(せいそ)、と言ってもらえることも多かった。おとなしい、普段静かに読書をしてそうなイメージ。だから初めて会った方には、こんなにしゃべる人だったんだって驚かれます。私は、人を笑わせたりするのがけっこう好きなほうなので。

あとは、作品で演じるのがクールな役柄が多いので、そういうイメージだとか。ドライ、とか。学生時代も、普通に黙っているだけでちょっと怖い、と言われたりはしました(笑)。

――確かに、打ち合わせで初めてお会いしたときは驚きました。いい意味で「こんな人なんだ」と(笑)。

比嘉 だから、皆さんが思い描いている比嘉愛未像は、役者としてはとてもありがたいことでもあるんですけど、ちょっと遠い存在だと思われがちで、それは私にとってもそうだったりするんです。役者というのは役を通して自分の体と声を使って表現する仕事なので、それ自体は別に悪いことだとは思っていないんです。ただ、大人になるにつれて自分の内面的なもの、ありのままの部分を見てもらえたら、そこからまた広がるんじゃないかという思いが強くなってきて、それが今回の写真集につながっています。

――自分をさらけ出すことって、勇気がいることだと思うんですけど、不安はありませんか?

比嘉 まったくないと言ったら嘘になりますよね。受け取り方というのは人それぞれで。万人に好かれようと思ったらそれは正直怖いですけど、怖がって、うかがいながら過ごしているほうが自分自身も疲れてしまうし、相手も感覚的にわかってしまうと思うんですよね。だったら、さらけ出して委ねる。「こんな私ですけど」って、好きか嫌いか選んでもらうというか。

もちろんそれはとても難しいことで、自分の内面って家族にも見せるのが難しい部分もあると思うので。ただ私の場合は両親とも仲が良くて、そういう環境がもともとあったんですね。だから、「開いている自分」を、家族以外の人というか、もっと広く見せていけるといいなって。

■苦手だった「写真」に今ならどう向き合えるか

――今回の写真集のテーマとして、「自分を見せる」ということのほかに、「脱皮」という言葉もご自身でよく使っていらっしゃいました。そういう心境になったのはいつ頃なんですか?

比嘉 31歳頃から少しずつですが、昨年経験させていただいたふたつの主演ドラマも大きかったです。上京して15年たって、いろいろな作品に出させてもらうなかで、ある種のコツをつかんだ部分もあるというか、「こなせる」ようになってきたというのは確実にあるんですね。例えば、「看護師の役だったら、こういう動きだよな」とか、自分の引き出しの中にあるから、頭で考えなくても自然とできてしまう状態ですね。そういう状態が続いていくうちに、自分の中のお芝居に対する熱量というものが、最初の頃に比べて落ち着いてきてしまっているなというのはどこかで感じていて。それが大人になるということかもしれないし、経験値が上がったともいえるかもしれないけれど、このままでいいのかなって、思ったんです。

もうひとりの自分が俯瞰(ふかん)で自分を見ているとして、今の状況は"安定"で心地いいわけです。外に出たくない、守りに入っている自分がいる。そういうものを壊したいっていうジレンマはずっとあって、その最後のひと押しになったのが昨年出演した『にぶんのいち夫婦』と『推しの王子様』だったという感じです。

――それは主演作だったから? 比嘉さんは、主演のご経験もいろいろありますよね?

比嘉 主演を張らせてもらうという立場もそうですけど、やったことのない役柄だったというのが一番大きいです。『にぶんのいち夫婦』はラブストーリーなんですけど、不倫だったりとか、ストレートな話・役柄じゃない。今まで私がやってきた役って比較的クリーンな役が多かったので、人間の弱さだったり醜さだったり、本来人に見せたくない部分を描いている作品に正面から挑む、そういう経験は初めてだったので。『推しの王子様』も自分でも驚くくらいの展開で、あまりなじみのないラブストーリー、そういう作品が立て続けに来て、引き出しにない、それまでの"安定"じゃいられない局面に立たされたときに、役者業を始めたばかりの頃のがむしゃらさを思い出せたような気がしたんです。

それまでは、あんまり合っていないのかなとか、自分自身で私にはできないかもと決めつけていた部分があって、だから仕事が来なかったのかもしれないし――引き出しにない経験をしたときに、すごくわくわくして楽しかったんですね。未知なところに挑戦すると、人は自分でも知らないエネルギーが湧き上がってくるんだなって。

――自分自身で、自分を縛っているものから解き放ちたかった、その手段のひとつが、写真集だった、と。

比嘉 そうです。固まっている自分が、周りや出来事のせいではなく、自分自身のせいだったということに気づいたので、なるべくそれをやめたくて、一生懸命トライしています。今は、その解放していっている過程を、自分で楽しんでいる段階です。

写真って、実は最初の頃は苦手だったんですよ。映像の場合、動きでごまかせるときもあるけれど、写真ではそうはいかないから。そういう苦手だった表現に、今の自分ならどう向き合えるのか。役を演じる責任だとか、作品に携わっている責任だとかを全部横に置いて、ありのままの自分で臨めるのが写真集という手段で、それを、私が変わっていく段階をずっとそばで見てくれていたあさみさんに委ねて、見てみようと思いました。

■安定した自分でいるのではなく 

――現在、主演映画『吟(ぎん)ずる者たち』が西日本の各都市で先行上映中、3月25日からは東京ほか全国でも順次公開されます。ここでも"脱皮"した、今までとは異なる比嘉さんが見られるのでしょうか?

比嘉 『吟ずる者たち』は、三浦仙三郎さんという吟醸酒を生み出した方の実話を元にした作品で、私の演じた役柄は仙三郎に影響を受けて自分自身本当にやりたいこと、本来の自分に戻っていく、そういう感情の流れがあったので、等身大に近い部分は出ていると思います。

作品としては、ゼロから開拓していく大変さ......ともすれば、便利になりすぎた現代で私たちが忘れてしまっているような苦悩や奮闘といったものを描いているので、特定の誰かではなくみんなが大変な状況にあるこのコロナの時代にも合ったものなのかなと。すごく、学ぶものが多かったです。

――3月からは3年ぶりの舞台『怖い絵』への出演も控えています。比嘉さんというと映像作品のイメージが強いですが、舞台はお好きなんですか?

比嘉 実は苦手意識があります(笑)。苦手というか、難しいフィールドというか。私にとって、舞台は"戦い"なんです。撮り直しはできない、始まったら止められない。舞台を中心にやられている役者さんとご一緒すると、自分の技量がまだまだだと痛感することも多々あります。そういう不安や恐怖や緊張感のなかにあえて自分を置くことで、どんどん成長できると思うので。安定した自分でいるのではなく、刺激を与え続けて新しい自分を模索していきたいです。

■比嘉愛未(Manami HIGA)
1986年6月14日生まれ、沖縄県出身。07年NHK連続テレビ小説『どんど晴れ』でヒロインを演じる。主な出演作に、映画『飛べ!ダコタ』(13年)、『カノン』(16年)、『先生!、、、好きになってもいいですか?』(17年)、『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(18年)、『大綱引の恋』(21年)、ドラマ『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』シリーズ(フジテレビ、08~17年)、『天地人』(NHK、09年)、『マルモのおきて』(フジテレビ、11年)、『DOCTORS~最強の名医~』シリーズ(テレビ朝日、11~18年)、『恋愛時代』(読売テレビ、15年)、『バカボンのパパよりバカなパパ』(NHK、18年)、『盤上のアルファ~約束の将棋~』(NHK、19年)、NHK連続テレビ小説『なつぞら』(19年)、『にぶんのいち夫婦』(テレビ東京、21年)、『推しの王子様』(フジテレビ、21年)、『日本沈没―希望のひと―』(TBS、21年)など。現在、主演映画『吟(ぎん)ずる者たち』が西日本の各都市で先行上映中、3月25日(金)より東京ほか全国で順次公開予定。出演舞台『怖い絵』が3月4日(金)より公演開始

★比嘉愛未写真集『本心』2022年2月24日(木)発売!
プロデュース・クリエイティブディレクション/清川あさみ 撮影/藤代冥砂
定価:2750円(税込) B5判・ソフトカバー・112ページ 集英社

★写真集発売記念オンラインサイン会を開催!
閲覧方法は下記サイトでご確認ください。
https://muvus.jp/muvus/cmdtyList.php?cat=766sDLXr5gQj

★誌面には載せきれなかった秘蔵グラビアや撮り下ろしムービーは『週プレ プラス!』をチェック!【https://www.grajapa.shueisha.co.jp/plus