人気小説家の燃え殻さんと爪切男さんが昨年12月の『キン肉マン』連載をレビュー! 人気小説家の燃え殻さんと爪切男さんが昨年12月の『キン肉マン』連載をレビュー!

『ボクたちはみんな大人になれなかった』の燃え殻、『死にたい夜にかぎって』の爪切男の意外な共通点、それは『キン肉マン』!!

希代のストーリーテラーのふたりが2021年12月分の『キン肉マン』連載を甘く、そして辛く批評。

●今回の「先月の肉トーク」テーマ

第367話 ネプチューンマンという男!!の巻(2021年12月6日分)
第368話 完璧超人の教え!!の巻(2021年12月20日分)

【あらすじ】バベルの塔、リアル・ディールズvs超神第2戦は、ネプチューンマンvsリヴァイアサン。試合開始直後からネプチューンマンを圧倒するリヴァイアサン。タッグ戦でのクセからロープに手を伸ばしてしまうなど醜態をさらすネプチューンマンだが、セコンドのロビンマスクのひと言で復活する。

●まずは、プロレス的お正月の話

燃え殻(以下、) この対談、前回はエル・デスペラード選手が参加してくれましたけれども。デスペ選手が高橋ヒロムとタイトルマッチをやった、新日本プロレスの1・4の東京ドーム、現場はどうでした? 僕、「NJPW WORLD」の配信でしか見られなくて。

爪切男(以下、) おもしろかったですよ。その後のNOAHとの対抗戦、1月8日の横浜アリーナも、おもしろかった、そっちはABEMAのペイパービューで見たんですけど。

 僕もそれで見た。おもしろかった。NOAHがおもしろい。

 前々から新日の鷹木信悟が「この対抗戦は新日本にはメリットがない」って言ってたけど、本当にそのとおりで、NOAHにメリットしかなかった。新日しか見てない女のコのファンとか、NOAHの選手を見てびっくりしたと思うんですよね。そうなると、新日のファンがNOAHの魅力に気づくことはあっても、その逆は少ないと思うんです。NOAHのファンは、新日の素晴らしさを知ってる人が多そうだから。NOAH、メインの清宮海斗&武藤敬司は、棚橋弘至&オカダ・カズチカに負けたけど......。

 思いきり名を上げましたよ。

 清宮の良さが新日ファンに気づかれた、って感じでしたよね。あと1・4でいえば、デスペさん、東京ドームのジュニアヘビー級タイトルマッチで、ライバルの高橋ヒロムを倒して。

 そう。初めて倒したの?

 タイトルマッチで勝ったのは、初めてじゃないかな。あの試合が良かったのは、技術もスゴかったですけど、ヒロムとデスペさんの関係性があるから。とはいえ、お互いの感情が行きすぎるぐらい行きすぎて、ちょうどいい感情の差し引き具合でぶつかれなかった感じもした。

 それ、いろんな人が言ってたね。

 だから、もう少し冷静に技の出し合いをすれば、わかりやすくおもしろい試合になったのかもしれない。でも、感情が行きすぎるからこそ、見ていて気持ちが伝わるというか。

 うん。なんか、ジュニアの枠を超えたような試合だったよね。

 そうなんですよ、序盤の激しい殴り合いとかね。

 デスペさんは、普段からそうだけど、特にあの日はそうだった。デスペさんって(獣神サンダー・)ライガーっぽいよね。

 ああ、そうですね。今、いないから、ライガーさんみたいなレスラーは。

 重いジュニアの感じ。かなりハードヒットだし、自分の受けも相当強いし。

あと思ったのが、NOAHと新日の横浜アリーナって、『キン肉マン』の今のシリーズっぽかった。

 どっちがNOAHですか?

 NOAHが超人側、リアル・ディールズで、超神側が新日。オカダとか棚橋って、神っぽかったよ?

 確かに、オカダはそうなんですよね。もし新日が全敗でも、オカダひとりを倒せなかったらダメ、でもオカダは負けないんだろうな、っていう。

 うん。ただ......この対談の前回、僕らは「ネプチューンマン、負けるかも」って予測してたよね(2021年12月27日号)。でも勝った。意外と神、負けるんだな、っていう(笑)。

 そう、超人のほうは、あらためて見ると、すげえメンバーだから、神が負けるのもわかるんですけど。でも、自分が物語を作る立場だったら、そろそろ超人に負けさせないとおかしい気もする。

 今のところ、神様、負けたらみんないい人になるじゃないですか? そうなると、この先、超人が負けたとすると、そのときは神が「ぐへへへへ!」ってなって、超人が八つ裂きにされる、みたいな。

爪 はははは!

 それだとさすがに、今までとの整合性が取れないよね。神様、感情の起伏がすごい、みたいになっちゃう(笑)。だからもう、超人が全員勝っていいんじゃない?

 それで、超人が全員勝ったら、次は超人同士の闘いになって、ロビンマスクが熱望した、キン肉マンとの再戦もある。バベルの塔決戦の目的である神様の椅子の、椅子取りゲームになるから。キン肉マンvsロビンマスク、見てみたいですもんね。

 うん。前回のこの対談までは、「超人の中で誰が負ける?」っていう予測をしていて、超人側の全勝って考えもしなかったけど、ジェロニモ戦、ネプチューンマン戦を終えた今は......。

 全勝の可能性、出てきましたよね。でもそうなると、全勝した後、超人同士の闘いにたどり着くまでの、超人が神と闘っていく回が、ちょっと間延びした感じになるかもしれない。1試合ずつ描かなきゃいけないし。

 ああ、そうか。じゃあ、3対3っていうのはどう?

 はははは!

 バッファローマンとウォーズマンとキン肉マンの3人タッグ。『キン肉マン』では、久々の6人タッグ、どうですか?

 ゆでたまご先生、描くの大変でしょうね。6人全員の持ち味を出して、見せ場をつくって。

 そうだね。でもよくない? 6人タッグが見たいなあ。

 1試合に2ヵ月以上かかるでしょうね。全員の持ち味を描くんだったら。でも、キン肉マン、早く試合してよ!っていうのもありますからね。今、ジェロニモが最上階で待ってますからね。

 ジェロニモが待ってる以上、キン肉マンが負けるわけにいかないので。6人タッグで勝って、早めに最上階に行く、っていうのがオススメです......。だから、超人が全勝して、キン肉マンがリアル・ディールズ以外の超人たちにも呼びかけて、みんなで最上階に行って、そこで超人オリンピックですよ。

 はははは。

 それが一番いい気がする。最終的に神を選ぶ、っていうことになってるのに、ソルジャーとか、いなくていいのか?ってあるじゃない?

 確かに。そういう人たちをキン肉マンが呼んで......。

 で、その最後に、キン肉マンがテリーマンとやればいい。

 ああ、キン肉マンvsテリーマンは見たいですね。

●超神側はロス・インゴ的になるべき!?

 例えば昔、7人の悪魔超人や悪魔六騎士の頃って、アトランティスもいて、ステカセキングもいる、みたいな。まったく統一性がないじゃない?

 そうですね。

 その統一性のなさが、ロス・インゴ(ベルナブレス・デ・ハポン。内藤哲也を中心とした新日のチーム)みたいじゃない? ロス・インゴ、まったく統一性ないのに、5人並んで出てきたときに、「うわあ、ロス・インゴだ!」っていう感じで。

 ああ、確かに。赤で統一してる金剛(拳王を中心としたNOAHのチーム)よりもオーラが半端なかった。

 全員キャラ立ちしていてチームとしても、むちゃくちゃカッコよかった。7人の悪魔超人とか悪魔六騎士のときの、みんなバラバラのキャラなんだけど、ひとつのチームとして考えたときにスゴくカッコよくて、キンケシ集めたくなる感じと同じで。

 そうそう。

 で、バッファローマンとスプリングマンとか......今考えたら異例すぎる、ギャグにもなりかねないのに、ちゃんとシリアスな試合になるじゃない? あれって、チームとして成立してたからだと思うんだよね。

爪 そう、七人の侍がそろったときみたいなドキドキ感、ありました。

 だから、キャラクターがバリエーションあってバラバラでも、チーム感は出せるんだよな。で、それは、ゆでたまご先生がやられてきたことなんだよね。

 うんうん。というのに比べると、神様側は、良くも悪くもまとまりがよくて、大人な感じですよね。バラバラだけど、そろったときは最高、っていうふうに、神様側がなれば、うれしいですけど。

 でもほんと、リアル・ディールズと神様の闘い、NOAHと新日の対抗戦感があるよね。神様の技を受ける姿勢も含めて、試合として成立している感じと、NOAHのほうも勝つ、っていうのも含めて。あと、見てるほうが、だんだんNOAHを応援したくなるっていうのも、今回のリアル・ディールズvs神様に似てるような気がした。

爪 まあ、新日がNOAHをガッツリ受け止められるからこその対抗戦ですよね。

 コロナ禍っていうのもあったのかもね。外国人レスラーが来れないから。

 コロナのなかで夢を見せる、っていうのもあったのかも。サイバーフェスで、DDTとNOAHが絡んだりする(昨年6月6日)ことはあったけど、新日は鎖国してたから。その鎖国を解いた、というのは、すごく......デスペさんはうれしいでしょうね。

 そうだろうね。そういう意味では、この間のデスペさん「タイトルマッチに勝った後に、さらに他団体の選手と試合をしたい」って言ってたじゃない? そういう、かき混ぜるみたいなこと、あったほうがおもしろいよね。そういう意味でも、ほんとにプロだなあと思った、デスペさん。

爪 うん、確かにね。

燃 あれが実現しようが実現しまいが、みんなうれしいもん。名前を予想された選手がツイッターで反応してて、みんな盛り上がって、トレンドに上がってた。

 そうですね、うん。

 っていう、誰も損しないことを、ちゃんとやっていて。そこがすごい、デスペさん。

爪 たぶん今って、メジャーもインディーも、プロレスラーとしての技術はそんなに変わらないかもしれないですもんね。高いと思います、NOAHも新日もDDTもそのほかも。だから、その上で、デスペさんみたいなプロデュース能力も必要なんでしょうね。

燃 そうだよね。

 はい。あとはほんと、今年はキン肉マンの試合、見たいなあ。

 (笑)、そうだよね。

 何度も言うけど。だいぶ引っ張られてますからね。

 夏終わりぐらいに登場かな?

 しかし、ベテランの漫画家で、こんなキツい連載をやってる人、ほかにいないんじゃないですか? 普通のマンガと違うのは、『キン肉マン』はこの調子なら、先生に何か不都合がない限り、最後まで描き切れそうじゃないですか。描き切れるって怖いですよね、描き切らなきゃいけないってことだから。

 そうだよね。確かにすごいな、それは。

 俺らとかが、作家として書いている連載は、「この時点でおしまい」っていうのが、当たり前にあるから。それがない、先生が「やめたい」って言わない限り続く。って、とんでもないことですよね、考えたら。

 毎週の連載をしかと見守っていかないとだね。

●燃え殻(MOEGARA
1973年生まれ、神奈川県出身。テレビ美術制作会社に勤めながら始めたツイッターでの発言に注目が集まり、2016年、90年代の若者を描いた『ボクたちはみんな大人になれなかった』(新潮社)で小説家デビュー。本年、同作が森山未來主演でNetflixより全世界同時配信予定。最新著『これはただの夏』(新潮社)も好評発売中。燃え殻が原作、おかざき真里が漫画を担当している『あなたに聴かせたい歌があるんだ』(『週刊SPA!』連載中)が22年5月に「Huluオリジナルドラマ」として配信

●爪切男(TSUMEKIRIO)
1979年生まれ、香川県出身。2018年『死にたい夜にかぎって』(扶桑社)で小説家デビュー。昨年、同作が賀来賢人主演でドラマ化。本年2月より『もはや僕は人間じゃない』(中央公論新社)、3月『働きアリに花束を』(扶桑社)、4月『クラスメイトの女子、全員好きでした』(集英社)、の3ヵ月連続のエッセイ集刊行でも話題となった

●2月28日(月)発売『週刊プレイボーイ』11号では、
『キン肉マン』休載特別コラムを掲載!!

「ゆでたまご中井先生の『キン肉マン』368話執筆作業動画」を公開中!

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