映画やドラマで輝きを放つ若手女優たちの中から、今年注目の4名をインタビュー。

第3回は、独特の存在感で心をギュッとつかむ女優・石川瑠華。2017年から数々の作品に出演し、昨年は『猿楽町で会いましょう』『うみべの女の子』と主演作の公開が続いた。今年も公開作を控え、配信中の映画『雨に叫べば』にも出演している。

同作は、内田英治監督の最新作。80年代後半の撮影所を舞台に、新人の女性監督(松本まりか)がエロ映画撮影のために奮闘する物語だ。

――80年代後半の映画撮影所の舞台裏や人間模様が描かれる今作で、石川さんが演じるのはメイク助手・神野幸子役。どんな役ですか?

石川 松本組のメイク部の助手役なので、映画作りの一スタッフです。殺伐とした撮影現場のなかでもあまり権力を持たないため、最初のほうは現状を見て諦めかけている人って感じですね。

――現場の雰囲気はどうでしたか?

石川 松本組のカメラがあって、その後ろに内田組のカメラがあって。誰がどちら側のスタッフかわからなくなるような不思議な空間でした。私もスタッフのつもりで撮影現場にいたんですけど、どっちのスタッフが呼ばれているのかもわからなくて(笑)。

――スタッフだらけですもんね。役作りは、身近なメイクさんを参考に?

石川 チーフのキャラによって助手のあり方が変わるだろうと思ったので、メイクさんというよりチーフ役の内田慈さんの動きをよく見るようにしていました。慈さんの人柄もあって、台本の印象よりもすごく優しいチーフだったんですよ。それなら私はおっちょこちょいのほうがいいかな、わちゃわちゃしているほうがいいかなって考えながら役を作っていきました。

――いつも役づくりはどうされてますか?

石川 私なりに役について考えてはいくんですけど、ひとりで考えても狭い視野になってしまって。結局は作品の世界でちゃんと立てることが一番なので、現場での感覚を大切にしたいと思っています。美術さんが作ってくれたセットの景色に入って、「ここで生きているんだな」と思うことで余計な力が抜けるというか......。スタッフやキャストの皆さんが作ってくださる世界に私はすごく助けられているんだなって、現場を重ねるごとに感じます。

――昨年は、映画『猿楽町で会いましょう』『うみべの女の子』と主演の2作品が公開。ご自身にとってどんな作品になりました?

石川 あまり自分のことを話すのが得意じゃないので、「この映画を観てもらえれば」と自己紹介になるような作品になったかなと思います。広い世界からしたらちっぽけなものかもしれないけど、自分にとってはどちらも本当に大きくて大切な作品になりました。

――石川さんが演じる女のコって、すぐ近くに実在しているかのような感じがありますよね。リアクションや仕草が生々しいというか......。

石川 生々しいって、うれしいです(笑)。

――ここ数年は映画の出演が続いてますが、今年の目標は?

石川 去年も映画の主演をやらせていたけたので、今後も1年に1回ペースで主演というものを背負って映画に出演できたらうれしいなと思います。

――演じてみたい役ってありますか?

石川 役はきっと待つものだと思うので、自分がこれをやりたいってエゴはよくないような気がして。映画を作る方々が求めているもの、わからないものに飛び込むってほうがいいと思うんですよ。

――自分に巡ってきたものを演じるってことですか?

石川 そうですね。それが運命的に課せられているものなのかなぁって。これは私が伝えなきゃいけいない、これは私しかできないって思うような使命感を感じる役はやりたいなって思います。

――では、プライベートでやってみたいことは?

石川 自分のことになると欲がないんですよ(笑)。ひとりだと行きたい場所もないので、大切な人とフランスとかどこか遠くに行きたいって思うぐらいです。

――休日は何をしてるんですか?

石川 本を買って読んだり、地味に図書館に行ったりして、どこかで何かを読んでいると思います。行きつけの場所もありますし、図書館ってすごく心地良い空間なんですよ。趣味を聞かれたら、読書ですかね。

――石川さんってどういう人なんですか? 『猿楽町で会いましょう』のワンシーンでも同じ質問ありましたけど。

石川 自分が言ったことと行動が相反していないこともあるので、軽はずみに「私はこういう人」ってあまり言いたくないんです。あえて言うなら、自分はどういう人ってことに対して、ずっと疑問を持っている人だと思います。何に対しても好きだけど嫌いみたいな感情もあるし、わりと面倒くさい人かもしれない(笑)。

――では、どんな人になりたいですか?

石川 私の尊敬する作家さんが「人と深く関わるなかで相手を傷つけないためには、知性が必要」だとおしゃっていて。最近、知性があれば人に優しくできるし余裕が持てることを実感するようになったので、ひたすら知性のある人になりたいと思って生きています!

(スタイリング/岩渕真希 ヘア&メイク/堀川知佳)

●石川瑠華(いしかわ・るか)
1997年3月22日生まれ、埼玉県出身。
○2021年公開の映画『猿楽町で会いましょう』『うみべの女の子』に主演。ドラマや舞台でも活躍し、出演中の映画フォーマットのオリジナル配信作品『雨に叫べば』はAmazonプライム・ビデオで配信中。
公式Instagram【@___rukaishikawa】
公式Twitter【@ishikawaruka322】