ゆでたまご両先生にコミックス77巻から選んでいただいた、思い入れの深い1枚

『週刊プレイボーイ』および『週プレNEWS』で連載中(毎週月曜発売、および更新)の漫画『キン肉マン』(ゆでたまご作)のジャンプコミックス(以下、JC)各巻の中から、ゆでたまご先生ご自身にお気に入りの原画を選んでご紹介いただくシリーズ企画"ゆで原画"第26回。

天へと続く神の試練の道・バベルの塔に突入した、地上屈指の8名の精鋭超人軍団"リアル・ディールズ"。その初戦を任された正義超人ジェロニモが見事、自身を超人に引き上げてくれた神との対決を制し、上層階への扉を開いた! 続く2戦目はロビンマスクと行動を共にする完璧超人ネプチューンマンが登場。だがそこに姿を見せた新たな超神は、見慣れた防具を着けていて......!? 注目の試合のゴングが打ち鳴らされる『キン肉マン』最新JC78巻が4月4日(月)発売に

4月4日に発売となる『キン肉マン』78巻

そんな最新刊を読む前におさらいを兼ねて......その前巻JC77巻から作者・ゆでたまごの両先生に、思い入れの深い漫画原稿一枚をそれぞれ理由も添えて選んでもらった。

まずは原作シナリオ担当・嶋田隆司先生に選んでいただいたのがこの1枚(JC77巻/85ページより)。

嶋田先生の1枚(JC77巻/85ページより)

体格差の大きな巨漢超神ジ・エクスキューショナーに奮闘を見せるジェロニモだが、なかなか決め手になる一打を出せないまま、とうとう神の必殺の一撃・エクスキューショナーシックルバスターを被弾。リング上で天井から崩れた瓦礫に埋もれるが......それでもジェロニモは死なず。心は折れていないとばかりに自身に覆いかぶさる大岩を担ぎ上げ、持ち前の根性を示して闘いの続行を宣言した!

――嶋田隆司先生(ゆでたまご・原作担当)コメント

ジェロニモは今回のシリーズでこそなんとかしたいと、この超神との闘いに突入する前から課題としてずっと考えていたんです。僕としては冷遇してきたつもりなんてなかったんですけど、かと言ってなかなか活躍の場面を与えてやることも実際にはできなくて......。そのせいで読者からも、ジェロニモは弱い、頼りにならない、みたいなイメージを持たれているフシがあるのは僕自身も感じていたんですが、それは僕が本来、目指してたところじゃなかったんですよね。そもそも彼は人間=読者の代表として作品に出したのが最初の狙いで、人間だって頑張れば超人みたいに活躍できる、というのを見せたいがために作ったキャラでした。最初に彼に込めたはずのそんな思いが、もしかしたらいつの間にか僕の中でも消えてしまってたのかもしれません。

だから最初に僕が彼に込めた気持ちを思い出すためにも、初登場させた時のサンシャインとの試合を読み返したんですね。そしたらやっぱり結構頑張ってる(笑)。特に自分でもよく頑張らせたなと思ったのが、ウォーズマンの体内で全試合を終えた後、崩れかけた五重のリングをひとり支えてみんなを守ったシーン。彼の使命感や責任感がそこに凝縮されてると思って、そういうところをもう一回、再評価したいと思いました。それで中井君に描いてもらったのが今回のこのシーンです。ここはあの時と同じポーズで......って念を押して(笑)。今回の闘いで、みんなの彼に対する信頼度もちょっとは回復してくれていたら嬉しいですけど、どうでしょうね

そして作画担当・中井義則先生に選んでいただいたページはこの1枚(JC77巻/143ページより)。

中井先生の1枚(JC77巻/143ページより)

ジェロニモとの一戦を終えて彼に試練の突破を伝えた"進化の神"ジ・エクスキューショナーは、他の超人たちが次の闘いへと進む前に、神々の思惑の一部を明かし始めた。そこで語られた衝撃の事実、神が超人を生み出すことになった"超人"の始まりのエピソード。その回想シーンに描かれたのはかつて神だった頃のザ・マンが育てるふたりの赤子の様子なのだが......それはなんと、幼き日のゴールドマンとシルバーマンの姿であった!

――中井義則先生(ゆでたまご・作画担当)コメント

毎週、相棒から原作が届いて、僕の最初の仕事はまずそれを読むこと。そして今週の一番の見せ場はどこで、それをどういう風に描こうかと考えるところから始まります。そこで頭を悩ませることも多いんですが、この回に関しては即決でしたね。「それが"超人"の始まりだった」というナレーションのセリフを見て、僕も本当にゾクッと鳥肌が立つほど痺れてしまいまして。これは1ページまるまる使って描くべきシーンだなと思って描いたのが、今回選んだこのページです。

この金と銀のマスクふたりの、しかも赤ん坊の姿を描くというのはもちろん初めてで、それをよちよち歩きの姿で描くのか、それとも抱っこされてる感じがいいのか、描き方は僕に一任されていたのでそこから考えることになるんですが、籠の中で寝てるという様子にしたのは、実はこれ、僕自身の思い出でもあるんですよね。

最初に生まれた僕の子供は長女でしたが、その子をまさにこういう籠のベッドに入れて寝かしつけてたんです。時期は「週刊少年ジャンプ」での連載時代、キン肉星王位争奪編を描いてた頃の話ですね。あの頃はもちろん仕事も大変でしたけど、それでも僕も連載しながら家内と一緒にちゃんと子育てしてたんですよ(笑)。そういうのを思い出してると、ザ・マンがこういうベビー用品を揃えて世話してるのも彼の父性のようなものが見えて面白いかなとか、色んなシーンがどんどん頭の中に湧き上がってきました。

もちろんみんな大事なキャラなんで、描き方は実際に形にする前に相棒とも詳しく確認の相談をしましたけど、このふたりは兄弟ということだけど双子の兄弟という描き方でいいんじゃないかとか、これを描くにあたって改めて曖昧だった彼らの素性がさらに補完されていった感もありまして、そういうところも非常に面白い作業でした

ジ・エクスキューショナーの言葉を受け、上層階に分かれて進むことになった"リアル・ディールズ"の面々。そこに立ちはだかる次の超神が纏いし防具に秘められた"意味"とは? さらにそこに挑むタッグ戦の名手・ネプチューンマンは、久々のシングルマッチでどのような闘いを見せるのか!?

今回ゆでたまご先生におさらいしてもらったJC77巻の続き、JC『キン肉マン』78巻はまもなく4月4日(月)発売! 乞うご期待!

最新JC78巻の詳細はこちらまで!

★次回“ゆで原画”第27回はJC『キン肉マン』79巻(2022年8月初旬頃発売予定)の発売直前にお届けいたします。お楽しみに!