ドラマ『24 JAPAN』(2020年)などに出演し、注目を集める若手女優・森マリア。彼女の初出演映画『太陽とボレロ』が6月3日(金)より全国公開される。アマチュア交響楽団を舞台に、解散へのラストコンサートに向けた人間模様を描いた今作。監督の水谷豊をはじめたとしたベテラン俳優たちとの撮影を振り返った。

――映画初出演ということですが、出演決定の際の感想は?

 今回オーディションも何もなく、マネージャーさんから知らされたときは、寝耳に水でした。しかも、たまに出てくる女のコの役だろうなと思ってたんですけど、確認したらまさかの大役で驚きました。「本当に私で大丈夫ですか?」って何度も確認しちゃいました(笑)。

――森さんが演じる宮園あかりは、交響楽団のバイオリン奏者で、森さん自身、バイオリン経験があるそうですね。

 そうなんです、5歳から15歳までやっていて、プロのように演奏出来ることが条件だったそうで、やっていたからこそ決まった役です。バイオリンを始めたのも、祖母の言葉がきっかけだったので、本当に祖母には感謝しています。

――言葉とは?

 祖母は私が3歳の時に亡くなったんですけど、亡くなる前に「マリアはきっとバイオリンが似合うはず」っていう言葉を残していたそうなんです。その後、たまたま幼稚園で開かれていたバイオリン教室を見たときに、私が「あれやりたい」って言って、母がおばあちゃんの言葉を思い出して、これは習わせるべきだと。


――お母さんのおかげでもありますね。それだけ長くバイオリンをやっていたら、演奏シーンは自信があったのでは?

 それがブランクもあって指が動かなくて。それに10年やってたので、逆にプロらしく見えない癖がついていたんですよ。水谷監督は本物を見せたいって仰っていたので、その矯正も必要で大変でした。水谷さんは普通のシーンでも、自ら実際に演じてイメージを共有してくださっていたので、演奏シーンもその期待に応えなきゃと思って。

――丘の上での演奏シーンはとても印象的でした。

 本当ですか!? あのシーンは私も大好きなシーンなんです! 撮影場所の松本市を一望できる丘で、夕日が差すなか演奏するのはめちゃくちゃ気持ち良かったです。それにあれが最初に撮影した演奏シーンで、あれがあったからこそやっとあかりになれたような実感がありました。

――あかりとの共通点や共感する部分はありましたか?

 あかりは、プロになる夢を諦めながらも、音楽への思いを捨てきれず、弥生交響楽団に入団したんです。私自身は、ちょうど大学を卒業してこの仕事1本でやっていくと決めたところで、周りの同級生が安定した職に就くのを見てきて、どうしても不安定な部分や、他の仕事にはない苦労や、そこに共感してもらえない辛さとかあるだろうと考えていました。だからあかりも同じように悩んでいたんだろうなと思いました。


――交響楽団の他のメンバーの苦悩も描かれていましたよね。

 アマチュア交響楽団では働きながら演奏するので、仕事を休まないといけないなど、どうしても周りからの理解が得にくいんですよね。なので、夢を追いかけていくというのは何かしら手放す、犠牲にしないといけないものはあるんじゃないかなと思います。

――あかりは交響楽団の最年少で、周りはベテラン陣ばかりでしたが、撮影での思い出は?

 田中要次さん、六平直政さん、高瀬哲朗さんのコミカルなシーンですね。ベテランの方の笑いの演技が、渋い顔してても面白いっていうのがツボで、3人の掛け合いが好きでした。私自身、すぐにはできないだろうけど、今後のための勉強にもなりました。

あと、主演の壇れいさんはお芝居をしていないときも温かい関係性を築いてくださって、壇さんの目を見るだけであかりの気持ちになりました。壇さんの気品だったり、お芝居に対する優雅さだったり、身近で実感しました。憧れの人でありながら自分のことを理解してくれる、お姉さんですね。

――みなさんとかなり打ち解けていたんですね。

 私のありのままを受け入れてくれたので。私がテーブルゲーム好きで、オセロとか色々持って行ったんですよ。大丈夫だろうと軽いノリで「一緒にやってください」って言ったら普通にやってくれました(笑)。それから昔の撮影はどうだったかとか、色んなお話も聞けて勉強になることがたくさんあって楽しかったです。


――世代もバラバラなのに物怖じしないんですね。

 幼い頃から考えても上の年代の方と接する事が多かったので身構えることはなかったですね。今も『ぐるり東京 江戸散歩』(TOKYO MX)という番組で、江戸時代から続く伝統工芸の職人さんや茶道の先生など、年配の方にお会いする機会も多いですし。

――ちなみに本作では、あかりと圭介(町田啓太)の恋を予感させるロマンチックな場面写真も解禁されましたけど、ご自身の理想のタイプやプロポーズはありますか?

 タイプはなんだろうな......でも、理想のプロポーズはあります。日常生活の中でさらっと不意打ちがいいです。家でジャージ姿でゴロゴロしているときとか。レストランでかしこまってとかは嫌ですね。気が強い部分があるので、やり直しさせると思います(笑)。

――あまり気が強そうに見えないので意外ですね。最後に映画の見どころをお願いします。

 舞台はクラシック音楽の世界と特殊ですけど、それぞれが抱える人間関係だったり、一致団結する一体感など、どんな方でも共感できる部分はたくさんあります。音楽も実際にみんな頑張って練習したので、ぜひ楽しんでもらえたらうれしいです。

●森マリア
2000年3月16日生まれ 兵庫県出身
◯2017年、『神戸美少女図鑑』をきっかけに芸能界入り。ドラマ『ヤヌスの鏡』や『24 JAPAN』等に出演。現在は『ぐるり東京 江戸散歩』(TOKYO MX)のMCを務める。
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(ヘアメイク/伴まどか スタイリング/津野真吾[impiger] 衣装協力/Aunt Marie's、OBLI、LA BELLE ETUDE)