お笑いサークルに所属する学生芸人の年間スケジュール。授業やバイト以外に、ネタ作りやイベントも多く、かなりハードだ

第1回目第2回目の配信記事で、大学お笑いサークルで実力がつくカラクリは見えてきたが、サークルに所属する現役メンバーの雰囲気や日々の活動、昔から行なわれている伝統のイベントはあるのか? などなど、7つのサークルの代表に協力いただき、生の声を聞いた。(全3回/第3回目)

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■多くのサークルは3年生が代表

――まずは皆さんの自己紹介からお願いします。

早大・福田(以下、) 早稲田大学お笑い工房LUDO(ルード)で演者をしてます福田です。3年です。

慶大・半谷(以下、) 慶應義塾大学お笑い道場O-keis(オーケイズ)演者の半谷です。3年です。

明大・河原(以下、) 明治大学お笑いサークル木曜会Zの演者、3年の河原です。

法大・中原(以下、) 法政大学お笑いサークルHOS(ホス)で演者をやってます中原です。3年生です。

青学・河田(以下、) 青山学院大学ナショグルお笑い愛好会で演者をしてます3年の河田です。

上智・尾崎(以下、) 上智大学お笑いサークルSCSの尾崎です。3年で演者です。

東大・郡司(以下、) 東京大学落語研究会2年の郡司です。演者兼スタッフです。

――4年生が代表をやるわけではないのですね。

 秋の学園祭終わりで2年生が代表になる場合が多いですね。代表の役割を終えた学年の演者は残りの1年半、大会へ向けてネタ作りをします。

 東大の郡司さんは1年生の秋から代表に?

 そうです。サークルに入ってから半年で代表に。

 1年間の大まかな流れもわからないうちに代表なんて、いろいろ大変でしょう。

 大学への申請とか事務的なことをまじめにやってくれそうという感じで、先輩が私を指名したのだと思います。

 それわかる! うちもそんな感じで決まりました。

 うちは代表を担当する学年全員がメンバーの前で面白いことをやって、一番票を集めた人が代表をやるシステム。過去にはメンバー全員におすしを振る舞い代表になった人もいる変なサークルです。

■東大落語研究会が漫才もやる理由は?

 先輩のラランドさんの活躍のおかげで、今年の新歓ライブでうちのサークルに興味を持ってくれた人が増えましたが、皆さんはどうですか?

 うちもOBの皆さんのおかげでメンバーは増えてますね。総勢で今300人以上います。演者200人、スタッフ100人ぐらいですね。

 HOSは100人弱。スタッフは30人ほどです。

 すごい! うちは50人弱なので、全員がスタッフも演者も担当します。

 明大はお笑いサークルと落語研究会が分かれているけど、東大は一緒ですよね。学園祭ではコントも漫才も落語も一緒にやるの?

 そうですね。ほかにもナナペーハーという10人以上でグループを組んで集団コントをやる企画もあったりします。

 あの企画はいいですよね。伝統的な落語だけじゃなく、いろんなお笑いを受け入れる。そんなサークルの伝統があるから、ほかにはない文化が生まれたのかも。

 歴史が長いから、どのような経緯で生まれたのかはわかりませんが、ナナペーハーのネタ作りは、サークルの中でも一番大きなイベントです。

 伝統や上下関係を重んじる落語研究会に対し、お笑いサークルはライトな関係と今の笑いというイメージ。だからサークルも別になる大学が多いのに、東大はすごい。

 いえいえ。人数が少ないから一緒になっただけだと思いますよ。皆さんの新歓ライブの話題やメンバーの数を聞くとうらやましい。活動費も豊富なんだろうなって。

■かけ持ち、招聘、なんでもあり

――お笑いサークルの1年間ってどんな流れなんですか?

 まずはカップリングイベントでコンビやトリオを決めて、サークルの発表会へ向けネタ作りをします。

 三大大会も大きいですけど、学園祭も力が入る。

 演者、スタッフ総出でライブを作り上げますから。

 ライブではコンビを何組かかけ持ちする人もいます。

――かけ持ち!?

 いろんな相手とコンビを組む人、けっこういるんです。

 3月に行なわれたNOROSHIで、うちのサークルの永田音楽大学という人が決勝でオペラ芸を披露したのですが、彼は大会のためにお笑いサークルに入ってもらった東京音楽大学の人です。

 面白ければなんでもありなのがお笑いサークル。明治では毎年春と夏の合宿で、初日に演者、スタッフ関係なくランダムでコンビを結成。最終日にネタを披露するということをやっています。これがきっかけでスタッフから演者になる人もいます。

■恋は芽生える?

慶應義塾大学O-keisのカップリングイベント。去年、おととしはリモート開催だったが今年は3年ぶりに対面方式で実施

――各大学ともOB芸人の活躍が目立ちますが、実際プロを目指す人はどのくらいいるのですか?

 数としては、そんなに多くはないですね。

 うちも毎年数名といったところでしょうか。

 最近は、社会人お笑いなんてジャンルもあって、アマチュアお笑い活動の場が広がっています。就職してもネタを磨くチャンスがあるので、卒業後はプロで勝負と考える人が少ないのかも。

――大学のサークルといえば、恋愛関係も気になるのですが。

上 恋愛の話が大好きなキラキラした感じの人って、毎年何人かは入ってくるんですけど、少しずつ辞めていって、気づいたら人の目を見て話をするのが苦手なようなタイプの人ばかりが残るんですよね。

早稲田大学お笑い工房LUDOの学園祭での一枚。これが撮影されてから50日ほど後に、クリスマス会が開催された 

――LUDOさん(早大)にはクリスマスにイベントがあるんですよね。

 毎年、女子と男子がそれぞれデートしたい人を3人ずつ挙げて、カップリングが成立した人同士でデートするクリスマス会を行なっています。

 これぞサークルって感じのイベントです。

 うちの1年生もキラキラした人が徐々に抜けていくので、クリスマス会が近くなる頃には「チャラついたイベントをやる必要があるのか」と感じる人は増えます。でも、終わるとみんな「楽しかったね」となる。はたから見るとチャラい企画ですが、中身は慰安会みたいなもので......。

――恋愛の話になった途端、皆さんの目から急に輝きが......。大丈夫ですか~?

全員 ......(苦笑)。

――皆さま、ありがとうございました!