あらゆるギャンブルに精通し、どんな場面でも貪欲に勝ちを狙う男・じゃい。馬券でマンションを買ったという芸能界屈指のギャンブラーが、人生を勝ち抜く極意を教えます。

【今週のお悩み・第8回】40歳近い夫がいて、ミュージシャンとして働いていますが、正直夫婦2人が生活できるほどの収入はありません。私が働いてギリギリなんとかなっていますが、歳も歳ですしミュージシャンをやめて安定収入を得られる職につくには、ラストチャンスかなと思っています。夫を応援したい気持ちもありますが、どうするべきでしょうか。夫も将来に不安を感じていることは間違いありません。(30代・自営業・女性)

* * *

僕もお笑い芸人ですから気持ちは分かります。公務員のように安定している職業と比べ、芸人、ミュージシャン、俳優などの職業に安定という言葉はありません。ある瞬間に爆発的に売れる場合もあれば、いつまで経っても芽が出ないこともあります。むしろ後者の方が多いでしょう。

その中で、夢半ばで諦める人も少なくありません。中には錦鯉のように50歳でM-1グランプリで優勝し、やっと稼げるようになる人もいます。

つまり、いつ売れるか分からないから、簡単に諦めることができないのです。僕の後輩でも40歳を越えて、本業で食べていくことが出来ずにバイトをしている芸人がわんさかいます。まあ大抵は独身ですが。

まず、ミュージシャンの旦那さんがどう考えているのかが夫婦にとって大事だと思います。

「俺はいつか売れる!」「夢は諦めない!」

そう思うのは自由ですが、自分が愛した女性を悲しませていることに何も感じないとしたら、それは問題です

お金がないことが不幸とは思いません。裕福な暮らしをしていても2人の関係が冷めきっていたら不幸かもしれません。ギリギリの暮らしをしていても、生活を楽しめていたら幸せかもしれません。

今週のギャンブル格言【ピンチを楽しめ!】

恋愛や結婚もギャンブルです

許嫁(いいなずけ)というシステムもありますが、現代では自分で相手を選ぶパターンが多いように思います。お互いに選び選ばれ、恋愛や結婚にたどりつきます。

「私、男運がないの」と言っている人は、運の要素も少なからずありますが、幸せを得るためのギャンブルに失敗しているともいえます。ピッタリの相手をちゃんと選べなかったのだと思います。

僕がこれまでで1番勝ったギャンブルは、今の奥さんを選べたことだと思っています。僕はこの人としか付き合ったことがありませんが、幸せだと思っています。ちょっとのろけみたいになってしまいましたね。でも、嫁は離婚したいと言ってます(苦笑)。

相談者の旦那さんは、出会ったころからミュージシャンだったのでしょうか? そうであれば、きっと売れて成功する未来を想像したことでしょう。しかし逆に言えば、今のような未来も予想できたと思います。

現状は、お互いに不安を抱えている状態です。ただ、「まだ40歳」ともいえます。未来はまだまだあります。旦那さんがミュージシャンとして食べていけるようになるかどうかは僕には分かりませんが、2人が幸せになれることはできると信じています。

大切なのは、自分達が幸せになるためにどうすべきなのか、2人で話し合うことではないでしょうか。2人が幸せになれる未来を、2人で設計していけばいいと思います。

貧乏生活を続けるなら、それを楽しむ方法だってあるし、生活水準を上げるための工夫さえも楽しめばいいと思います。

ミュージシャンの夢を諦めることになったとしても、もしかしたらミュージシャンとして生きてきたことが何かの役に立つかもしれません。

未来なんて読めないから面白い。苦しいときこそ夫婦2人で力を合わせて、楽しんでほしいと思っています。


☆じゃいさんに相談したい悩み事を募集します! ペンネーム・性別、相談に必要な情報(年齢や職業など)があればそれも明記し、以下アドレスまで相談内容をメールでお送りください。じゃいさんが「ギャンブル的思考」でアドバイスします!

【jay_sodan@shueisha.co.jp】まで!

じゃい
1972年生まれ、神奈川県出身。97年にお笑いトリオ「インスタントジョンソン」を結成し、ネタ作りを担当。芸能界随一のギャンブラーとして知られ、過去には4432万円の馬券を的中させたことも。「稼ぐギャンブル」(太田出版)など著書も多数

インスタントジョンソン・じゃいの人生相談は毎週火曜日更新!