あらゆるギャンブルに精通し、どんな場面でも貪欲に勝ちを狙う男・じゃい。馬券でマンションを買ったという芸能界屈指のギャンブラーが、人生を勝ち抜く極意を教えます。

【今週のお悩み・第11回】麻雀の話です。最初に負けが続くと、取り返したいという気持ちが強くなり熱くなってしまいます。序盤で何回か細かい手で上がっておいて、余裕を持って残りの半荘に臨めれば、大きな手を狙えたり親のリーチにも素直に降りることができるので、勝率が高いです。

その一方、序盤で勝てないとどんどん追い込まれて、負けが込んでしまうことがほとんどです。スタートダッシュに失敗した場合、どうやって取り返せばいいでしょうか?

熱くなり、突っかかって振り込むというパターンにはもう飽き飽きです。平常心で勝負に挑むコツ、じゃいさんのジンクスや意識していることなどあれば教えてください(30代・会社員)

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まず、「取り返したい」という気持ちは麻雀だけではなく、ギャンブルにおいて1番の落とし穴です。なぜかというと、ゲームに勝つための思考が、負けたくないという焦りによってズレてしまうからに他なりません。

もし「取り返す」という考え方で勝てるのなら、最初からその考えで臨めばいいわけで、それを最初からしないということは、「取り返したい」という気持ちは、勝ちからはるか遠いところにあるといえます。

「結果的に取り返した」というのなら問題ありませんが、負けを取り返すためにゲームに臨むのは根本的に違います。序盤で細かい手をあがり、心に余裕があるときは勝率が高いとのことですが、序盤で点数的にアドバンテージがあるなら、勝率も高くなるのは当たり前ですが、今回それは置いておきましょう。

ギャンブルで勝つために必要なのは心の余裕です。僕はギャンブルで1番必要なものはメンタルだと思っております。勝率を上げるためには、まずメンタルを安定させるのが1番です。

僕の尊敬する雀鬼、20年間無敗といわれた桜井章一さんは、麻雀をこう例えました。

全員が洗面器の中に顔を埋めて、誰が1番最後まで顔を上げずに、その苦しさに耐えられるかの戦い」であると。

麻雀は技術もさることながら、メンタルも同じくらい必要です。

これも桜井章一さんの言葉ですが、「麻雀の失点は将棋の駒得みたいなものだ」と。駒得とは、対局開始時より駒が増えていたり、あるいは失った駒よりも手にした駒の方が価値が高い状態のこと。プロの棋士でも駒を1枚も取られずに勝つなんてことはありません。中には飛車を捨てて王を取りに行くことも少なくありません。

駒を失ったことで得られるものも多い。つまり、満貫を振ったら跳満を上がればいいわけで、いくらでも逆転なんて可能なのです。最初の失点にしても、ハンデを与えるくらいに思っていれば熱くなることもなく、実際に勝率がいいときの心に余裕を持った状態で挑めるのではないでしょうか?

今週のギャンブル格言【何も失わずに勝利は得られない】 今週のギャンブル格言【何も失わずに勝利は得られない】

僕自身も、最初に失点することは少なくありませんが、それでメンタルをやられることはありません。運だけで勝つよりも、工夫して逆転した方が喜びは大きいと知っているからです。

ジンクスは特にないので、細かい話になりますが、失点の仕方によってそのときの自分の状態が分かることがあります。

これは「流れ」というちょっとオカルト的な話になりますので、完全デジタル派の方はスルーしてもらって大丈夫ですが、僕自身は「流れ」を考えながら打ちます。波が来てるのか、そうではないのか。

もちろんそれがすべて当たるわけではありませんが、単純にそういうことを考えながら打つのが楽しいのかもしれません。

恐らくですが、相談者が失点を気にせず、心に余裕をもって打てるようになったときにもっと強くなって勝率も上がると思っています。

最初に失点したときこそ、余裕を持つこと。是非実践してみてください。

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じゃい
1972年生まれ、神奈川県出身。97年にお笑いトリオ「インスタントジョンソン」を結成し、ネタ作りを担当。芸能界随一のギャンブラーとして知られ、過去には4432万円の馬券を的中させたことも。「稼ぐギャンブル」(太田出版)など著書も多数

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