ダウ90000のメンバー。(前列左から)中島百依子、蓮見翔、飯原僚也、(後列左から)吉原怜那、上原佑太、道上珠妃、忽那文香、園田祥太
昨年2021年の夏、東京のライブシーンを席巻している8人組がいると聞きつけ、インタビューを敢行したコントユニット・ダウ90000。1年あまりが経過した今、テレビにラジオに引っ張りだこになっているという。急速に変化した生活に仕事。そんな渦中の彼らの現在を再び直撃した!

■忙しくて5キロ減!

――1年ぶりの取材です!

園田 え、もうそんな経ちます?

道上 前回の取材日は9月22日でした!

――覚えてるのスゴ。

園田 ......確かに、あれは9月22日でしたね......。

蓮見 本当にちょうど1年なんですね。

――ズバリここ1年、どうでした? ちなみに昨年伺った目標は「全員がバイトを辞められるように」でした。

蓮見 僕は取材の1ヵ月後くらいにバイト辞めました! そのあたりに東京03さんのラジオコントを書かせてもらって、そこから順調に仕事がいただけるようになったので。おかげさまで1年前とは比べものにならないくらいの仕事量になりましたね。実はこの1年で5キロくらい痩せて(笑)。

――え、そんなに忙しくなったんですか!?

蓮見 個人でいえばJFNラジオ番組『AuDee CONNECT』の水曜日のパーソナリティを紗倉まなさんと担当させてもらったり、ほかの芸人さんにコントを描き下ろさせてもらったり。9月28日(水)にはフジテレビで冠ドラマ『ダウ90000 深夜1時の内風呂で』が放送されますし、10月5日(水)からHuluでダウ90000が出演する連続ショートドラマ「今日、ドイツ村は光らない」が配信されます。どちらも脚本を担当しています。

――スゴい活躍っぷりですね......! 前回「ドラマにも挑戦したい」とおっしゃっていましたが、まさかこんなに早く達成されるとは。ほかの皆さんはバイトどうですか?

蓮見 バイトしている人、だいぶ減ったよね。

中島 (全員がバイトを辞めるまで)もう少しです。

園田 かなり減ってきてますね。

中島 というのも、「辞めます」って言うヒマもないんですよね。

道上 スケジュール的にもバイトに入れられないですし......。

蓮見 公演がある月の、翌月くらいまではバイトしなくても大丈夫なくらいにはなるんですけど、隔月で公演があるワケではないので。公演がない月のために取っておかなくちゃいけないよねっていう状態ですね。

中島 いただいたものを何分割かして何か月生きれるかを考える、みたいな感じです(笑)。

飯原 俺はちょうどクビになりました。

――く、クビ!? 辞めるとかじゃなくですか?

飯原 辞めるとかじゃなく。居眠りとか、なんすかね、たぶん。いつの間にかLINEグループを追い出されてて。

園田 お前だけ違うんだよな。

蓮見 ダウ90000とかじゃなく、ただバイトできないやつじゃん。

上原 僕は1ヵ月くらい前に実家を出て、ひとり暮らしを始めまして。それと同時にダウ90000が忙しくなってきたので、今から面接いっても誰も雇ってくれないよな......と。

吉原 「週1入れるかわかりません」って言わなきゃいけないもんね。

上原 そう。なのでいっぱい節約してなんとかやってます。

蓮見 マジで今きわっきわの生々しい時期ですね(苦笑)。

■地方のお仕事と部屋割の決め方

蓮見 たぶん、これまでの活動歴の中でこの1年が一番会ってる時間が長いんですよね。

吉原 前から仲は良かったですけど、全員と1対1でしゃべれるようになりましたね。

蓮見 確かにそうかも! 去年はまだ演出を付けるとき、言い方とかを遠慮してたわ。あと、今年『ABCお笑いグランプリ』の決勝に進出させてもらって、その際に大阪に宿泊したんですけど、そういう遠征も増えましたね。

――そういうときって部屋割はどうしているんですか?

蓮見 男子2:2、女子2:2ですね。最初は蓮見・園田、飯原・上原って分けられ方だったんですけど、俺がイヤがりました。園田とふたりは照れちゃうな、と(笑)。

園田 大学生の頃は一緒に住んだりしてたんですけど、約束して外に出て飲みに行くとかは照れちゃうんですよね。飯もふたりで行ったことないし。だから急にふたりきりにされたときに、「何しゃべったらいいんだろう」ってなっちゃうんですよね(笑)。

蓮見 お互いのことをわかってるから、同じ部屋にいて相性がいいワケないっていうのもわかってるんですよね。俺はめっちゃちらかすし、それを全部片づけてくれるから。俺は楽で園田も別に平気なんだろうけど、俺がイヤになっちゃうんですよ。やらせちゃってるって。だから俺は(飯原)僚也と同じ部屋がいいんです。

飯原 ふたり一緒になると部屋がすぐ「泥棒入ったのかな」みたいになるもんね。

蓮見 散らかし放題。部屋に入る度に「うぇ!?」ってなるもんね。で、すぐ「あ、俺らのせいか」って気づく。

飯原 帰ってきたら全部電気ついてたし(笑)。

蓮見 部屋がキンッキンに冷えてたしね(笑)。

園田 うわあ......、絶対イヤだわそんなん。

蓮見 普通に考えて相性はその2:2のほうがよくない?

園田 確かに、俺も上原がひとり暮らし始めてからめちゃくちゃ家に行ってるもん。昨日も一緒に秋葉原に遊びに行ったし。

上原 今日も一緒の部屋で起きましたね。

園田 寝てる(上原)佑太に「帰るねー」って声をかけてきました。

蓮見 そういえば女子部屋はどう決めてるの?

道上 決められていることが多いけど、大体は私と(中島)百依子、忽那と(吉原)怜那ちゃん。

蓮見 あ、そうなんだ。

忽那 女子は全然誰と一緒でも大丈夫。

道上 私、怜那ちゃんと同じ部屋だと片付けたがるかも。

吉原 ひぃ!

道上 すぐに自分の物を広げるから。

中島 楽屋でも怜那ちゃんの場所だけすぐわかる。「あ、ここに怜那ちゃんいるんだ」って。

蓮見 マッジで汚いっしょ。

吉原 汚くはないですよ! 汚くはない!

蓮見 汚いよ!

吉原 物を出してるだけ。マジで汚くはない。でも確かに、くっちゃん(忽那)はあんまり言ってこないけど、たまちゃん(道上)は「しまって!」ってなるかあ。

蓮見 え、(中島)百依子は?

道上 百依子も散らかしがちだね。

中島 でも私は同じ部屋になった人に必ずウェルカムアイマスクをあげるって決めてるの。

園田 なんでウェルカムなんだよ。一緒に部屋に入ってってるのに。

中島 私と同じ部屋になった特権をあげたくて。「うれしいでしょ?」っていう。だから毎回たまちゃんにあげてる。

道上 もらった! なんか百依子と同じ部屋だとリラックスしちゃって、実家にいるみたいな気持ちになれるんだよね。

中島 なんかすっごいしゃべってくるの(笑)。

蓮見 すっごいしゃべってくるって言ってやんなよ。

吉原 私とくっちゃん(忽那)の部屋はお互いひとり部屋の感覚でずっと寝てるし、すごい楽。

忽那 お互い干渉し合わないからね。

道上 女子も良い2:2かもね。

中島 私が忽那と一緒だと私がしゃべりすぎて忽那イヤがりそう。

忽那 でも私が聞きながら寝ちゃうかもしれない。だから全然、百依子が――。

蓮見 もういいけどな!! 部屋割りの話!!

■大人の人たち

――切り替えて(笑)、お仕事面での変化はどうですか?

蓮見 今年1月に『ネタパレ』(フジテレビ系)で初めてテレビに出させてもらって、そこからテレビにもちょくちょく出していただけて。さっき言った冠番組や連続ドラマも、ついこの前撮影を終わってきて。この1年で大人との会議がかなり増えましたね。ようやく最近、自分の意見をハッキリ口にしないと、あとで現場で後悔するってことがわかってきたんですけど、自分の意見を言うのは生意気に映るよな、って気持ちと葛藤してます。リモート会議の写ってないところで太ももつねりながら「ちょっとこのままだと面白くならないと思うんで」って言ったり(苦笑)。生意気に見られたくないっていうのをすっごい意識してるのに、(園田を見ながら)ナメた挨拶とかで入ってきたりするんで。

園田 え、俺? でも確かに、この1年で蓮見に「ちゃんとしろよ」って怒られることが増えましたね。

蓮見 若い男女でこんなことやってたら生意気だと思われがちじゃないですか。だから「必要以上にニコニコして、ちゃんと人の話を聞いて、しっかり返事をするっていうのを当たり前だけど徹底しないと、すぐ天狗になってると思われちゃうよ」っていうのを今年は何回も言いましたね。園田は生意気とかではないんですけど、毎回同じ返事するんですよ。「ハイ」っていう。これがムカつくんですよね。

園田 違う違う。「ハイ!」だよ。

一同 違う違う。

中島 園田さんが再現するとき、いっつも違うよ。それをやればいいのにって思う。

蓮見 体感はそれなのかもしれないけどさ。

園田 バスケ部だったしさ。「ハイ!」って。

蓮見 すぐ辞めただろ。

園田 ヘタすぎて辞めたけど。

蓮見 まあ、これまでは小さい劇場で自分たちだけでやってこれたんですけど、テレビという大きい場所でやることが増えて、大人と関わる回数が増えたんですよね。だから、皆も今年は社会に出たんだって気持ちが強いと思います。

吉原 この8人でコントや演劇をやる、という軸の部分は去年とは変わっていないんですけど、規模が大きくなってる感じはありますね。

飯原 今年1月から2月にかけて上演した第3回本公演の『ずっと正月』の時にも大人が多くて度肝抜かれましたもん。

蓮見 大道具さんと美術さんに入ってもらって、舞台上に街の一角を作ってもらったんですよ。

中島 あれはテンション上がったね~。去年はプロの大人の人たちと出会っただけで関係を築くにはいたらなかったけど、この1年は大人の人たちともしっかり関わるようになって、信頼関係も育まれてきた気がします。

蓮見 スゴい人っていっぱいいるんだなあ、というのに気づかされましたね。テレビプロデューサーの佐久間(宣行)さんとか日本テレビの橋本(和明)さんとか。有名な大人たちはやっぱりなるべくして有名になっているんだって体感しましたね。

園田 プロデューサーさんもそうですけど、カメラマンさんとかメイクさん衣装さんとかと出会うようになって、本当に「全員いい人!」って思います。しゃべってくれるし、面白い人たちだし。だから最近、撮影が終わって「お疲れ様でした」「ありがとうございました」でもう関わらなくなっちゃうのが悲しくてしょうがなくて......。

吉原 私たちは演劇をやってきたから、稽古期間をしっかり取ってっていうのが多かったけど、今回のドラマは撮影期間が3日とかで、終わったらあっさり「さようなら」ってなるので。

園田 打ち上げもないし......。

蓮見 だからこうして1年ぶりに取材してもらえてうれしいです。毎年9月の恒例行事にしましょう、これ。

■来年に向けての目標は?

――では来年も来るとして、来年の9月に向けて、皆さんの次の1年の目標は?

蓮見 ダウンタウンさんとか爆笑問題さんとか南原さんに会えたのもこの1年なんですけど、まだダウンタウンさんの前でネタはできてないんですよ。なんなら8人組っていうのも覚えてもらえてるかわからないので、次の目標はまずそこですね。

園田 最近、YouTubeチャンネルにも企画動画を出したりと力を入れ始めたので、それを頑張りたいです。企画を考えたりするのが楽しいので!

――企画は皆さんで考えてるんですか?

蓮見 YouTubeに関しては、俺は一切考えてなくて、皆にやってもらってます。

園田 せっかく始めたし、中途半端に終わらないように続けていきたいですね。

上原 今更って感じかもしれないんですけど、この1年で僕はグループの中で自分をどう出すかについて全然考えられてないっていうのがわかってきて。ダウ90000の中で自分がどういう存在で、どういうことができるのかがもう少しわかったら、自分でやりたいこともちゃんとわかるのかなっていうところです。

中島 私は、演技の仕事がやっぱり楽しくて仕方がなくて、もっと演技がしたいなって思います。あと、(上原)佑太さんと近いですが、ダウ90000でもっと私を出していきたいなって。個々が今よりも輝いたら、ダウ90000も今より輝くのかなって思います。

飯原 ドラマとかの映像の仕事がスゴい楽しくて。それをやるにあたって、家で「ここはこうで」って考えたりする準備が大事なんだなってわかってきて。でも、家でひとりでやるのも好きなんだなって思ったんです。「これ一生続けたい仕事だな」と。続けていくために、目の前の仕事のひとつひとつを後悔しないようにしっかり準備して挑みたいです。

忽那 私はまずこういうときに普通にしゃべれるように......。

一同 (笑)

蓮見 本当そうだよね(笑)。

忽那 人前で話さなきゃいけない時に、なんか「あ......」ってなっちゃうんですよ。なんていうんだろ、今も、なんか、あ、もうダメだ。1年前とかは、ただしゃべってるだけで、何も考えてなかったんですけど、こういう時とかに、自分が何をしゃべっているのかっていうのも注目されてきて、変なことを、しゃべっちゃいそうってなっちゃうんで――。

蓮見 早く終わらねえかな。

忽那 で、あの――。

蓮見 終わらないんだ。

忽那 つまり、ペラペラしゃべれるようになりたいです。来年までに。

道上 単独公演で全国回りたいっていうのはもちろん掲げてはいるんですけど、この1年で掲げているだけってことに気づいて。そこに行くにあたって、どういう準備や努力をすべきなのかをちゃんと考え始めて。就活じゃないですけど、自己分析を頑張りたいなと。8人いる中で、確立したキャラクターが自分にないのがしんどいなって思うので、まずはメンバーの皆に自分をアピールして、どういう人間なのかをわかってもらおうと思います。

吉原 私も面白い本公演とか単独ライブやるっていうのは前提にあるんですけど、一番問題意識があるのは蓮見さんがすぐ結婚したがることで。

蓮見 相手がいないのにね(笑)。

吉原 この1年で生活ががらりと変わったし、何があるかわからないし、本当に結婚しちゃうかもしれない。家族ができてもダウ90000の仕事はやるとは思うんですけど、子供が生まれたりしたらやっぱりそっちに割く時間が増えたりすると思うんですよ。それを見据えて、とっとと個で売れなきゃいけないなって思います。

蓮見 めちゃくちゃリアルなことを言うと、去年は俺が頑張ったんです、正直。皆も各々頑張ってはいたと思うんですけど、「頑張る」のハードルの低さに気付いてない状態だったんですよね。じゃあ具体的に何をやってるの?って聞いたらひとつも言えない、みたいな。

でも、ここ1、2ヵ月ぐらいで皆が動き始めてくれてる。仕事も増えてきて、このままじゃダメだなっていうのに全員気付いたのかなと。だからか最近、稽古が楽しいんですよ。これがこの先続いてくれたら、こっからの1年は去年の1年よりも楽しくなるだろうなって思います。

役者は売れるのに時間がかかるものなので、今年1年で誰かがパンッて売れるのは多分ないと思うんですけど、各々が「あの時期に頑張ったからだな」ってあとあと思い出すような1年にしてくれたらと思います。あとは俺が圧倒的なおもしろさで売れ続けていくので(笑)。

●ダウ90000
2020年9月に日本大学藝術学部出身のメンバーを中心に蓮見翔が旗揚げした8人組。21年1月に第1回本公演『フローリングならでは』、9月に第2回本公演『旅館じゃないんだからさ』、22年1月に第3回本公演『ずっと正月』を上演。YouTubeではコントのほかエチュード、ラジオ、企画動画も配信中