トイメーカーのメディコム・トイが、2022年7月23日~28日に「表参道ヒルズ スペース オー」にて、新製品と貴重なアーカイブを展示する「MEDICOM TOY EXHIBITION'22」を開催した。
トイメーカーのメディコム・トイは1996年に創立し、トイやソフビ、アートなどを発売、多くのファンを獲得してきた。さらにアーティストや企業などとのコラボレーションでも知られるクマ型ブロックタイプフィギュア「BE@RBRICK」をはじめ、アクションフィギュア「MAFEX(マフェックス)」、手の平サイズのフィギュアが人気の「ULTRA DETAIL FIGURE(ウルトラディテールフィギュア)」、「FABRICK」(ファブリック)によるアパレルや雑貨類が日本だけでなく、海外のトイ・ファンの心を多く掴んでいる。
毎年イベントはテーマを決めて開催しているが、今年のテーマは「アートと平和」。会場はニューヨークのブルックリンをイメージした造りになっており、壁面に描かれたグラフィティアーティスト「STASH」によるイベントロゴや、アーティスト「SHUN SUDO」によるアートワークは来場者に大きなインパクトを与えていた。
さらにイベント内でトイだけでなく、大々的に発表されたのが、メディコム・トイと博報堂プロダクツがNFC(近距離無線通信)とNFTを活用して開発した、画期的な模倣品対策ソリューション「du-al.io™」(デュアルドットアイオー)。これは商品が本物であるかを企業と消費者が、リアルとデジタル双方で検証できるソリューションのこと。
近年、EC市場の拡大に伴い、模倣技術や手法の高度化により、模倣品(ニセモノ)を正規品と誤認して購入する消費者が増える中で、解決策のひとつとして作られた技術。商品に付属するNFCタグを読み取るだけで真贋判定ができ、正規品であることを証明できるというものだ。ニセモノで悩まされている他のメーカーも追随していくだろう。
会場でも話題になっていたのが、今まで発売した、いまや世界的アーティストとなった「KAWS(カウズ)」のトイの大集合。2002年にメディコム・トイより発売されたトイから近年発売したコレクションまで、これだけ一堂に会するのはかなり珍しいということで、会場に来たほとんどの人たちが写真を撮っていた。
今年のイベントも大成功に終わった、メディコム・トイ。来年のイベントではどんな新しいものを見せてくれるのか楽しみだ。
今回は特別にメディコム・トイの社長・赤司竜彦氏にインタビューし、開催理由や次回開催について話を伺ってみた。
――2003年に始まった、エキシビションですが、今回で20回目です。まずは感想から教えてください。
赤司 端的に言うと、当社の商品をご購入頂いている皆様のおかげです。こうして20回も開催出来たことに感慨深いのは本当ですが、実は催事の開催される頃には、既に次の催事や取り組みの準備に入っており、ご来場いただくお客様にお楽しみいただければ、実はこれが一番の喜びです。
――今回のテーマが"アートと平和"です。このテーマにした理由は?
赤司 ここ数年、世界規模で、どうにも不安定な状況が継続しており、私たちが出来ることで世界に対して少しでも笑顔に出来たらという思いからテーマを決めました。
――事前告知では、今までのアーカイブの中から、見せたい作品の多くを飾ると書いていましたが、とくに赤司社長の思い入れのある作品はありますか?
赤司 作品は全て自分の子供たちなので、なかなか選びにくいですが、今回のテーマを考えた時、やはり「STASH」と「KAWS」など、ブルックリンを拠点とするアーティストの作品群でしょうか。
――次から次へと作品を出し続ける情熱について、教えてください。
赤司 楽しいから、というのが最も正直な理由です。断片を組み合わせるように、自分たちの中にある知識や記憶や素材を組み合わせていく作業に没頭しているという感じですね。
――今、社長が注目されているものがあれば教えてください。
赤司 世界の成り行きです。ここ数年で多くの価値観が変わりました。その中でサバイブするビジネスや、新たに創生されるビジネスなど、多くの新しいビジネスモデルが誕生しています。当社にとって、何が必要で、何が不必要なのかを見定め、自分たちなりの価値観を付加していきたいと思います。
――今後のメディコム・トイさんの展開やイベントについて教えてください。
赤司 10月22日から「AKASHIC RECORDS」の3回目を予定しています。もしかしたら年内にこれ以外にも何か仕掛けるかもしれません。
●赤司竜彦(あかし・たつひこ)
東京都出身。1996年、株式会社メディコム・トイを設立。「自分たちが欲しいものを作る」をコンセプトに、映画・TV・コミック・ゲームなど幅広い分野のキャラクターフィギュアを企画製造。