「天間荘の三姉妹」に出演したのん「天間荘の三姉妹」に出演したのん
のん、門脇麦、大島優子が姉妹役として出演していることでも話題の映画『天間荘の三姉妹』の全国公開が始まった。

原作は大ヒットマンガ『スカイハイ』のスピンオフ作品『天間荘の三姉妹 スカイハイ』。舞台は天界と地上の間にある街・三ツ瀬と、そこで臨死状態に陥った人の魂を癒す旅館・天間荘。小川たまえ(演:のん)が、異母姉妹である天間かなえ(演:門脇)、天間のぞみ(演:大島)、そしてその母親・天間恵子(演:寺島しのぶ)と天間荘で出会い、物語は始まる。

家族の絆や命のはかなさ、そして震災をテーマにした今作。原作者であるマンガ家・髙橋ツトムが、たまえのモデルにしていたという女優・のんに作品の魅力や撮影エピソードを聞いた。

「天間荘の三姉妹」の感想を語るのん「天間荘の三姉妹」の感想を語るのん
――最初に脚本を読んだ感想は?

のん 失われた命の行方を考えるっていう設定がすごく素敵だなって感じました。残された人たちの悲しみに寄り添ったり、どう過ごされているのか考えることはあるけど、亡くなられた方たちのその後に、私は思いを馳せたことがありませんでした。どうしても残された人たちの気持ちを考えてしまって。この作品は、それをファンタジーとして表現していて、そういう形があったのかと思いました。

――髙橋ツトム先生はのんさんをイメージしてたまえを描いたと言われています。それを聞いたときの印象は?

のん たまえちゃんは天涯孤独であったり、私と育ってきた環境や境遇は全然違います。だけど、たまえちゃんは下手くそで不器用ながらも、それを度外視して物事に向かっていったり、知らない人にも意見を言ってしまったりする。そういう垣根のない真っ直ぐな性格にはすごく共感しました。

――今回、姉妹役で大島さん、門脇さんと共演していますが、おふたりの印象は?

のん 大島さんは明るくて包容力もあって、すごくイメージ通りの人だ!って感じでした。門脇さんはすごくやさしくて自由でかっこいい方だったんですけど、"ザ・役者"みたいな気難しいイメージを勝手に抱いていたので、そういう意味ではイメージと違ったかも。

――それこそ作中の姉妹のように距離は縮まりましたか?

のん ふたりとも気さくで優しくて面白くて、待ち時間にも親しく話してくれてうれしかったです。ちょうど撮影がハロウィンの時期で、大島さんがみんなの分のカチューシャを買ってきてくれて、それを付けてテスト撮影したりしました。

門脇麦、大島優子について語ったのん門脇麦、大島優子について語ったのん
――和やかな現場の雰囲気が想像できますね。一方で、寺島さんや三田佳子さんなどベテラン女優の皆さんとのシーンも多かったですよね。

のん 大御所の大スターの方と演技できるっていうのですごく興奮していたし、うれしかったです。おふたりともかっこいい役のチャーミングさを表現するところがすごい!と思いました。

寺島さんは、荒っぽいお母さん役を演じているんですが、役柄のかわいさや繊細な部分が原作より浮彫りになっているなと思いながら、ご一緒してました。それに、三田さんも親しくなって見せる笑顔だったり、めちゃくちゃかわいい表現をされていて、人の心に食い込んでくるような魅力を感じました。

――寺島さん、大島さん、門脇さんが演じた天間一家に、腹違いの妹であるたまえが加わり、ひとつの"家族"になっていきます。家族という形を作るため、何か話し合ったりしましたか?

のん 激しい感情を出すシーンのテンションなどは確認しましたけど、役の解釈は特に話し合わず、それぞれでした。

ただ、オムレツを食べるシーンでは寺島さんも大島さんも門脇さんもオムレツを端から食べてたのに、私だけ真ん中からほじって食べていたんです。もちろん打ち合わせもせずに自然とそうなっていて、「食べ方が分かれるのって"家族"って感じするよね」って門脇さんとはこないだ話しました。

天間荘の三姉妹の撮影を思い返すのん天間荘の三姉妹の撮影を思い返すのん
――作品でたまえは、生と死の狭間の世界である三ツ瀬にいる間、命について、生きる意味について問われます。たまえはその答えを出すのに大きな迷いがありましたが、たまえはどんな人間だったと思いますか?

のん のんになってから役を演じる時に、その役についてノートを書いて役作りしているんです。ハリウッドの演技コーチから教わったんですけど。それで何を最初に書くかというと、人生の目的なんです。その役自身がこうしたいという主体的なもので、それが欲望に密接した本能に近い目標。

――まず生きる目的があって、その役やその人柄が解釈できるということですね。

のん たまえちゃんは自分の役割が欲しかったんだと思います。たまえちゃんは、生きているか死んでいるかわからない世界である三ツ瀬に来て、初めて自分を必要としてくれる人ができました。だから、その人たちのためになるなら三ツ瀬でも現世でもどちらでも良くて、迷ったんだと思っています。

自身について語ったのん自身について語ったのん
――最初にたまえと私は違うと仰っていましたが、そういった部分も違いますか?

のん 私は自分のために生きれるので違いますね。自分の才能というか、自分の演技がすごい好きだから、それを守りたい意識がすごく強いんです。自分の才能が死なないために自分が選んだ道を突き進んでいます。

それに、どれだけ演技が上手くなっても、どれだけ演技力が上がっても、これ以上ない完璧はないと思うんです。まだまだ上手くなれる要素はあると思っていて欲深い。そしてその欲望が続く限り、生きていたい。役者をやってきて演技ってそういうものだなと、なんとなく分かってきました。

――最後に映画の魅力を改めてお願いします。

のん 世間では、いろんなことが次から次へと起こっていて、心を閉ざしたくなるようなことも少なくありません。でも『天間荘の三姉妹』を見て、「自分の大切な人も自分のことを想ってくれている」と思えるなら頑張れるかもしれない。止まっていた時間が動き出すような、希望や元気を届けられる作品になればいいなって思います。

(ヘアメイク/菅野史絵[クララシステム] スタイリング/町野泉美)

『天間荘の三姉妹』の魅力を語ったのん『天間荘の三姉妹』の魅力を語ったのん
天間荘の三姉妹 10月28日(金)全国公開予定
(C)2022髙橋ツトム/集英社/天間荘製作委員会
配給:東映
出演:のん/門脇麦/大島優子 高良健吾 山谷花純 萩原利久 平山浩行 柳葉敏郎 中村雅俊(友情出演)/三田佳子(特別出演)永瀬正敏(友情出演) 寺島しのぶ 柴咲コウ
プロデューサー:真木太郎(「この世界の片隅に」)
監督:北村龍平
脚本:嶋田うれ葉
音楽:松本晃彦
原作:髙橋ツトム『天間荘の三姉妹-スカイハイ-』(集英社 ヤングジャンプ コミックス DIGITAL 刊)