話題の女優・中村里帆
ファッション誌『Ray』のレギュラーモデルを務めるかたわら、現在は『高嶺のハナさん2』『推しが武道館いってくれたら死ぬ』と2本のドラマに同時出演中。来春放送の朝ドラ『らんまん』への出演も決定し、ますます勢いづく話題の女優・中村里帆が週プレNEWSのインタビューに初登場。

『ニコラ』専属モデルから始まり、女優業へと続く現在までの道のり。そして、各出演作への思いなどを語ってもらった。

■もともとお芝居には興味がありませんでした

――まずは芸能界デビューのきっかけから教えてください!

中村 中学2年生のときに、ファッション誌『ニコラ』(新潮社)の専属モデルオーディションを受けたんです。私、小学生の頃からずーっと飯豊まりえさんが大好きで。「オーディションに受かったら、(当時『ニコラ』でモデルをやっていた)憧れのまりえちゃんに会えるかもしれない!」と思って、半ば勢いで応募したんですよね。

――ファッションモデルになりたかったわけではないんですか?

中村 最初はそうですね。完全に飯豊まりえさんへの愛だけでした(笑)。とはいえ、小学生の頃から毎朝「どの服を着て行こうか」と鏡の前で悩んでいるような子どもだったので、同世代の友達に比べると、ファッションに興味を持つのは早い方だったのかもしれません。お母さんもおしゃれが好きな人で。オーディションについて相談したときも「応募してみなよ」って、ノリノリで背中を押してくれました。

――小学生だったら、動きやすい服装なら何でもいいと思ってしまいそうですけど。では、オーディションには自信があったんですか?

中村 いえ、全くです。中学2年生は応募条件の年齢ギリギリ。周りは小学校6年生のコがほとんどでしたから。その分、本誌での活動期間も短くなってしまうし、どうせ選ばれないだろうと思い込んでいましたね。

――でも、結果は合格。

中村 まさかでした。スゴくうれしかったです。地元・高知の中学校に通いながら、撮影のたびに東京へ通う生活が始まりました。

――いきなりモデルになってしまったわけですけど、同級生たちの反応はどうでした?

中村 「えっ、モデルやってるの? ちょっとお高くとまっている感じ?」みたいな。高知でモデル活動をしているコがほとんどいなかったからか、始めたばかりのうちは、そんな風に言われて戸惑いました。モデルになったからといって私自身は何も変わっていないのに、周りはそう見てくれないんだって。でも、実際の私は全然お高い人間じゃない。むしろ、誰かを笑わせられる人間に憧れを持っていました。そんな私を知ってもらうにはどうしたらいいか。考えた結果、変顔を極めてみよう!と。気の利いた面白い話はできなくても、オーバー気味にリアクションを取るくらいなら私にもできそうだと思ったんです。その甲斐あってか、少しずつ同級生たちとの距離は縮まっていきましたよ。

――周囲と馴染みづらくなった時点で内向的になってもおかしくないのに。いい風に環境を変えられたのは、中村さんが意識的にコミュニケーションを諦めなかったからですね。しかも当時は、『ニコラ』でも変顔担当だったんだとか?

中村 はい。本誌のバラエティ企画で、さらに変顔が鍛えられました(笑)。ここで目をひん剥いたら面白いかな? 私、鼻の穴を広げたら結構ヤバイ顔になるかも、なんて。中学時代は、めちゃくちゃ変顔の研究をしていましたよ。

――親しみやすいモデルさんだったんですね(笑)。その後、上京はどのタイミングで?

中村 高校入学と同時に、東京にある事務所の寮で暮らし始めました。年の近い寮生が4~5人いたので、一人暮らしって感じではなかったんですけど。みんなで部屋に集まって話をしたり、誕生日会を開いたり。生活は、わりと賑やかでしたね。お仕事や学校生活も楽しめていたし、とても充実していた気がします。

話題の女優・中村里帆

――上京後も、お仕事はモデル業を中心に?

中村 そうですね。高校生の頃は、とにかくモデルのお仕事が楽しくて仕方なかったんです。自分に自信のない私でも、トレンドの服を着て、プロの方にメイクしてもらうだけで、普段ならできないような表情が自然とできるようになる。モデルとしてカメラの前に立つと、ネガティブな感情も、パッとポジティブに変わってしまうんです。ファッションの力、メイクの力を実感しました。それに、薄顔なのでメイク次第でいろんな自分になれるという発見もありました。ずっとモデルのお仕事を続けたい。そう思って、毎号の撮影に臨んでいましたね。

――モデルは、中村さんに自信を与えるお仕事になっていたと。

中村 逆に、お芝居には全く興味が持てませんでした。レッスンに通ってはいたものの、先生の前で、急に泣いたり怒ったりすることに楽しさを見出せなくて。難しいし、恥ずかしいしで、自信を失うばかりでした。

――今や数々のドラマや映画に出演されている中村さんからは想像もできないお話です。お芝居に向き合えるようになったきっかけは何だったんですか?

中村 転機となったのは高校3年生の頃。初めて朝ドラのオーディションを受けたんです。正直、あまり乗り気ではなかったのに、思いのほか選考が進んで、気づけば最終審査に。結果は残念でしたが、オーディションを通過するにつれて、いつの間にか「この役は私が演じるんだ」って気持ちが芽生えてきたというか。時間をかけて、ひとつの役に向き合う楽しさを感じている自分がいたんです。

――そこからもっと真剣にお芝居に向き合ってみようと。

中村 はい。自分と似ている部分もあれば、似ていない部分もある。それでも向き合うほどに、役の感情が自分の感情として響くようになる。この感覚が忘れられなかったんです。

話題の女優・中村里帆

■朝ドラの出演は、私以上に家族が喜んでいます(笑)

――現在、女優として数々のドラマや映画に出演されている中村さん。10月には、連続ドラマが2本スタートしました。まずひとつは、泉里香さん主演の『高嶺のハナさん2』。恋愛レベルが小学5年生のバリキャリ美人OL・高嶺華(ハナさん)の恋愛模様を描いたラブコメディです。

中村 私が演じている淀屋橋うめは、関西弁で話す明るいキャラクターです。最初は関西弁のイントネーションに慣れませんでしたが、今では感情表現が豊かな方言だと感じています。声色にも変化が付けやすいですし、喜怒哀楽を伝えやすい。たまに他の現場でもポロッと関西弁が出てしまうほど、馴染んでいました(笑)。

――同作は、昨年4月期に第1弾が放送されていました。中村さんは、第2弾となる今作からの参加です。現場の雰囲気にはすんなり入っていけました?

中村 コメディ要素が強いドラマなので、現場の雰囲気も和気あいあいとしているんですよ。シーンごとに、みなさんとどうすれば面白い映像になるかを意見交換しながら撮影を進めているので、自然とチームの中にも入って行けましたね。

――楽しそうな現場ですね。

中村 みなさん、本当にキャラが濃いんですよ。現場は常にアドリブ合戦。あんなにも笑いを堪えるのに必死な現場は、今までに経験したことがありません(笑)。私も負けじと笑いを発信できるよう、みなさんの自由な発想を参考に、撮影中は頭をフル回転させています。

――もうひとつは、松村沙友理さん主演の『推しが武道館いってくれたら死ぬ』。アニメ化もされた人気作ですね。

中村 はい。原作ファンの多い作品なので、初回の放送はめちゃくちゃ緊張していました。どんな反応が来るだろう?って。

――中村さん演じる五十嵐れおは、主人公・えりぴよが推している地下アイドルグループ「ChamJam」の最年長リーダーであり、不動のセンターです。メンバーの中でも特にアイドル色の強いキャラクターですが、演じてみていかがですか?

中村 細部にかわいい仕草を取り入れたり、普段より高めの声を出したり。立ち振る舞い方が難しい役だと感じています。自分の感覚だけではアイドルになり切れないので、好きなアイドルさんを参考に、動きを研究していますね。

――好きなアイドルさんというと?

中村 昔から大好きなのは中森明菜さんなんですけど、今回はグループアイドルのセンターということで、今を輝くアイドルさんたちをチェックしています。ただ役作りのためにライブ映像などを見始めたはずが、普通にどハマりしてしまって......。いちばんの推しは、=LOVEの齊藤なぎささんです。最近は、なぎささんのTikTokを見るのが日課になっているくらいで。あっ、もちろん役作りの参考にもさせてもらっていますよ!

話題の女優・中村里帆

――さらに来年は、神木隆之介さん主演の朝ドラ『らんまん』への出演が決定しています。先ほど、朝ドラのオーディションを通してお芝居の魅力を知ったと話されていましたし、やはり特別な思いがあるのでは?

中村 朝ドラへの出演は、女優を志したときから目標にしていました。しかも、作品の舞台は私の地元である高知県。これは絶対にオーディションを受けるしかないと思いました。いつもオーディション前は緊張で死にそうなのに、今回ばかりは、なぜか自信があったんです。これほど土佐弁を流暢に話せる女優は、私くらいしかいないでしょ!って(笑)。男勝りで気の強い高知県の女性を土佐弁で"はちきん"と呼ぶのですが、まさに、その"はちきん魂"で役を勝ち取りました。

――カッコいい! 心なしか、言葉の節々に自信が漲っていますね。

中村 生まれ育った故郷を舞台にした作品に出られるよろこびもありますし、高知の大スターである広末涼子さん、島崎和歌子さんとの共演も楽しみです。いやぁ、もう緊張どころの騒ぎじゃないですよ。こんな夢みたいな話、現実にあっていいんですかね......?

――ご家族も喜んでいらっしゃるのでは?

中村 私以上に喜んでくれています。お父さんからは、毎日のように「『らんまん』楽しみだね」ってLINEがくるんですよ。この取材を受ける前にも、スマホを確認したら通知がきていました(笑)。放送前にもかかわらず、現地は既にお祭り騒ぎのようですね。「一旦、落ち着いてよ!」とは思うものの、自分の活動に対して、ここまで家族が喜んでくれたのも初めてのこと。オーディションに落ち続けた時期もありましたが、ここまで続けてきて本当に良かったです。

――放送が楽しみです。まだ少し気が早いですが、改めて今年の活動を振り返ってみて?

中村 いろんな作品に出演させていただいた1年でしたね。なかなかそれが叶わない年もあったと思うと、今、本当に幸せです。この先も長くお芝居の現場にい続けられるよう、ひとつひとつの作品を大切に取り組んでいきたいですね。現場では、まだまだうまくいかないことが多いですけど。厳しい環境にいないとすぐ気を抜いちゃう人間なので、悔しさをバネに、これからも邁進していこうと思います。

――来年の目標は?

中村 お芝居のお仕事を続けていきたい。これに尽きますね。現場に立ち続けて、まだ演じたことのない新しい役に出会える1年にしたいなぁと思います。もちろん、モデルのお仕事も続けていきますよ。最近は、ビューティー誌の撮影が楽しいんです。先ほどもお話ししたように、私の顔立ちはメイク次第で別人のように変わるので。あらゆる変化にワクワクしていたいです。

――基本的に、自分すら知らない自分になれる瞬間がお好きなんですかね? ここまでお話をお聞きして、そんな印象を受けました。

中村 あぁ、そうですね。その通りだと思います。あまり素の自分に自信がないからこそ、いつもと違う自分になれる瞬間を求めているところはありますね。

――その"素の自分"を、ご自身で言い表すとしたら?

中村 勝気な女、ですかね。自分に自信がないと言いつつも、流れている血は"はちきん"なので。うふふっ。今後は、そういう一面もうまく見せていきたいですね。

話題の女優・中村里帆

●中村里帆(NAKAMURA RIHO)
1999年8月6日生まれ 高知県出身
2013年、ファッション誌『ニコラ』の専属モデルオーディションにてグランプリに選ばれ、芸能界デビュー。2023年放送の連続テレビ小説『らんまん』でNHK朝ドラ初出演が決定。趣味は昭和歌謡を聴くこと。
公式Twitter【@nkmrrh_official】
公式Instagram【@__rihostagram__】