グラビアライター・とりと、グラジャパ!スタッフ・金髪りさ。ふたりのグラビア好き女子が、気になるグラビア美女やデジタル写真集について女子目線で語るコラム『グラビア美女画報~女子のためのグラビア講座』。第67回は、集大成となる写真集を発売したばかりの女優・高田里穂について語りつくす!
いつからか追い風
とり 先日、10月31日に高田里穂さんの写真集『完成された未完成』が発売されました。昨年9月の週プレ「仮面ライダーヒロイン特集号」で11年ぶりにグラビアを披露された時点では、ここまでお付き合いが続くなんて、きっとご本人も想像していなかったはず。人生、何があるか分からないものですよねぇ。
金髪 今年1月には週プレグラジャパ!「+Special」に登場し、4月には初の表紙に抜擢。グラジャパ!のデイリーランキングを独占したり、「世界で最も美しい顔」にもノミネートされたり。ここ1年で、グラビア以外のオファーも増えたみたいですし、高田さんが飛躍するきっかけに週プレが関われていたと思うと、自分のことのようにうれしいですよ。
とり この1年間、週プレでは、写真集を除いて3度撮り下ろしをしています。金髪さんの中で、特に印象に残っているグラビアはどれですか?
金髪 やっぱり、カムバックグラビアでしょう(デジタル写真集『永遠のヒロイン』に収録)! 「めちゃくちゃ美人な方がグラビア復帰されたなぁ」と気になってプロフィールを見たら、まさかの私より年下で。当時、高田さんは27歳。「こんなに落ち着いている年齢だっけ!?」って、衝撃を受けた記憶があります(笑)。
とり 12歳の頃から芸能活動をされていますし、年齢のわりに大人びている部分は絶対にありますよね。『永遠のヒロイン』は、『仮面ライダーオーズ/OOO』のヒロインが大人になって戻って来たぞ! といったテーマもあり、とりわけ大人っぽいグラビアに仕上がっていた影響も大きいかも。
金髪 でも、実際にお会いさせていただくと、写真の通り"綺麗なお姉さん"ではあるんだけど、想像以上に気さくな人柄で、ますます好きになってしまったんですよね。ノリが良くて、ハッキリ意見を仰ってくれて。何というか、小汚い飲み屋でも一緒にフラッと行ってくれそうなんですよ(笑)。「男前な方だな~」って思いましたね。
とり 私は、今年1月発売の週プレ本誌に掲載されたこの扉が印象的でした。聞くところによると、高田さんは水色がお好きらしいんですけど、私の中ではオレンジ色のイメージが強くて。オレンジ色って、表面的には明るくて幸福感に満ちているのに、奥底には誰にも譲れない情熱を秘めている気がしません?
とり まぁ、それは私の感覚なんですが(笑)、そんな力強い色で表記された「NEW WORLD」の文字と高田さんの屈託のない笑顔に、とてつもない希望を感じたんですよね。
金髪 カムバックの反響を受け、復帰後2度目の撮り下ろしにして「+Special」に登場(+Special『ひかり輝く時間の中で』にて閲覧可)。前回よりも自信がおありなのか、笑顔のカットが格段に増えましたよね。
とり 撮り下ろしを重ねるたびに、飾らない表情を曝け出してくれている。高田さんのグラビアを追って見ていく楽しさは、まさに、そこにあると感じます。もうね、どんどん笑顔が柔らかくなっていますから。後ほどじっくり語らせていただきますが、『完成された未完成』はその極点ですよ。
金髪 そういえば、とりさんは、『完成された未完成』が発売される直前、2度目の表紙を飾られたタイミング(2022年10月17日発売『週刊プレイボーイ44号』)でインタビューをされていましたよね。お話を聞いた印象はどうでした?
とり 自分の良いところも良くないところも、取り繕わずに言葉にできる人だと思いました。それでいて「良くないところも自分の一部だ」と潔く認めては、自らを肯定するかのように、その全てを表現しようとする思い切りの良さもある。金髪さんが「男前な人」と言われていたのも、よく分かります。
金髪 ね、カッコいいですよね! ただ「良くないところも認めて、全てを表現しようとする思い切りの良さ」って、どういうこと?
とり まず、過去の週プレのインタビューで「25歳頃まではずっと暗黒期でした」と語られていて。若いうちからお仕事を頑張りすぎていたためか、20代になると途端に仕事へのモチベーションが低下し、オーディションにも全く通らない日々が続いていたそうなんですね。
金髪 うんうん、なかなか思うようにお仕事が決まらない時期があったんですね。
とり でも高田さんは、無理に"良い状態"を作るのではなく、その時々の自分の感情に素直であり続けた。文章を書くのがお好きらしいですし、表に出さないところでも、ちゃんと気持ちを書き認(したた)めていたんじゃないですかね。インタビューでの話しぶりを聞く中で、そんな暗黒期の過ごし方を想像しました。
金髪 なるほど。実際はどうか分からないけど、そうかもしれないね。
とり その中で巡ってきたお仕事のひとつが、今の自分の状態を作品として記録するグラビアだったと。自分らしさで勝負するしかないですよね。誰にだって立ち塞がっちゃう時期はあるんでしょうけど、それでも時間は過ぎていくわけだし、自分の気持ちに正直に、可能な範囲で前に進んだ方がいい。そうするうちに、向かい風は自然と追い風になっているから......。高田さんが1年をかけて見せてくれていたのは、そんなドラマチックな人生の一部分。私以外にも、高田さんのグラビア活動にパワーをもらった読者は多いと思います。
夢みたいなグラビアの記憶
金髪 そんなグラビアの集大成である『完成された未完成』についても語っていきましょうか。撮影は、沖縄県の渡嘉敷島から本島、そして故郷である福岡県の久留米市で。晴れたり、雨が降ったり。天気の移ろいも激しければ、大胆な露出、すっぴん、モノクロページ、それから幼少期の写真も収録されているなど、とにかく読み応えがありますね。
とり 実にドキュメンタリー的な写真集ですよね。感情の浮き沈みがストレートに表れているというか。ただ楽しかっただけじゃないのが伝わってきます。沖縄編と福岡編、あわせて7日間も撮影されたそうですから、気持ちに変化があって当たり前ですよね。それら全てがありありと写っているからこそ、本物の笑顔にグッと来てしまうわけですけど。
金髪 というと?
とり そもそもカメラマン・熊谷貫さんとの撮影は、本作が初めてです。打ち合わせでコミュニケーションを取られたとはいえ、お互い探り探りで撮影が始まったに違いありません。最初に撮影されたのは、沖縄での黄色いワンピースのシーンだったとか。明るい衣装に対して空間は薄暗く、どこか違和感があります。まるで、高田さんの不安を表しているかのようです。ただ、これはご本人から聞いたのですが、途中、いきなり雨脚が強くなった瞬間、恵みの雨を待っていたカエルのように、楽しい気持ちになられたそうで。
金髪 カ、カエル!?
とり 高田さんがそう言っていたんです。面白いですよね。独特な言い回しだけど、ちゃんと喜びが伝わってきます(笑)。写真集の幕開けは、不安を覆(くつがえ)すほどの大雨だった――。これまでのロケは晴れ続きだったのに、写真集では、この他にもたくさん雨に見舞われたそうですよ。
金髪 せっかく沖縄まで行って雨続きだと気分も下がりそうだけど、結果的に楽しいだけじゃない感情を写す"恵みの雨"になったと思うと、集大成に相応しい出来事だったのかもしれませんね。
とり ただ最初の方のページに、狭くて暗いシャワー室の中、手で胸を覆っているカットがあって(是非、本編でチェックを)。不安げな顔がシャワーの水で濡れているために、泣いていないのに涙を流しているように見えるんですよね。実際は、黄色いワンピースで雨に打たれた後に撮影されたシーンらしいのですが、せっかく楽しい気持ちで幕が上がっても、そう簡単には解放的になれないもどかしさを感じて、胸がきゅっとなりました。
金髪 「そう簡単には解放的になれない」かぁ。早速、感情の浮き沈みが見えてきましたね。
とり 無理に心を解放しようすると、変に空回って後悔するだけですから。そこで恥ずかしさを覚えてしまえば、余計に解放からは遠ざかってしまいます。グラビアを説明するのに"ありのまま"とはよく言いますが、"ありのままの自分"をカメラの前でコントロールできる人は、ほとんどいないんじゃないですかね。気持ちと状況が重ならないと、本当の意味での"ありのままの自分"は表現できない気がするので。
金髪 き、厳しいなぁ......!?
とり 細かくてすみません(笑)。ただ、そのシャワー室のシーンは、これまでにない解放に向かうための大きなフリだった。そう思わせてくれたのが、表紙にも選ばれたこちらのシーンです。
金髪 うん、これは間違いなく解放感に満ちた瞬間でしょう! 世界屈指の美しさを誇る"ケラマブルー"の海を背景に、真っ白な衣装をなびかせて。心なしか、表情も活き活きして見えますが、"大きなフリ"というのは?
とり この手で胸を覆うポージングがシャワー室のシーンと似ていたので、思わず見比べてしまったんです。きっと、解放的になりたいけどなれないもどかしさを経たからこそ、美しいビーチで解放的になれたのかなって。まさに気持ちと状況が重なった瞬間なんじゃないですかね。
金髪 おぉ~、なるほど!
とり とはいえ、普通に暮らしていたら周りに気を遣うこともありますし、解放的になれない瞬間の方が絶対に多いですよね。きっとまた、自分を解放する感覚が掴めなくなって、もどかしさを感じる日が来ると思います。出来ては出来なくなっての繰り返し。そういう意味で"完成された未完成"というタイトルは、とても本質的な気がします。
金髪 人間、すぐには変われないですもんね。
とり そして、写真集を購入された方はお気づきでしょうけど、本作は、夜で始まり夜で終わる構成になっています。しっとりとした入りから情熱的なサビに突入し、最後はまたしっとりと終わっていく。まるで"Aメロで終わる音楽"のようですよね。同じメロディなのに、最初と最後で響き方が違う。それは、このシーンにも同じことが言える気がします。
金髪 印象的な演出ですよね。ロケーションは、高田さんの地元と東京を繋ぐ福岡空港。出発の場であり、帰還の場でもあるというループ感が面白いです。
とり 2007年のデビューから15年間、女優・モデルとして活動してきた高田さんにとって、週プレとともに駆け抜けたこの1年間は、思いがけない出来事がたくさん起こる"夢のような時間"だったんじゃないですかね。一瞬のようで濃密なグラビアの記憶を、福岡空港の夜が包んでいる。ここからいつでも飛び立てるし、いつでも帰ってこられることを示唆しているようです。つまり本作は、"ありのままの"自分に会いにいくためのチケットのような写真集なんだと思います。
金髪 グラビアの集大成ではあるけど、高田さんの芸能人生はこれからも続いていく。ただの思い出ではなく、時間が経っても揺るがない自信の源となる作品として残り続けてほしいですね。
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