女優の吉岡里帆が11月21日(月)発売『週刊プレイボーイ49・50合併号』の表紙&巻頭グラビアに登場。
およそ10年前、ひとりの少女が芸能界の入り口に立った。
学校に通いながら、バイトをしながら京都の実家と東京の俳優養成所を高速バスで往復していた彼女は、今、当時の夢をかなえ、多くのドラマや映画、CMに出演する人気女優になった。
29歳の吉岡里帆が語る、あの頃とこれから―。
■本当に何げない、普段撮らない写真を
――来年の1月15日、吉岡さんの30歳の誕生日に吉岡里帆Wアニバーサリー写真集『日日(にちにち)』が発売されます。
こちらは長崎の五島列島にロケに行った「旅パート」と、ご自身の30年間を振り返るパート、それから仕事の様子や日常を切り取った「密着パート」の3部構成になっているとのことですが、まずは週プレで写真を使わせていただいた「旅パート」のお話から聞かせてください。
吉岡 はい。五島には9月末に2泊3日で行ってきて、撮影も島内で完結させて。このところ都内での撮影が続いていたこともあり、島ではのびのびと新鮮な気持ちで臨めました。
――印象的だったことは?
吉岡 自然が多くて、静かで、水がものすごくきれいでしたね。本当に澄んでいる場所というか、よけいなことを考えさせない場所というか。いい意味で無になれて、フラットに、自然に楽しく撮っていただけました。
――サップ(スタンドアップパドルボード)にも初挑戦。
吉岡 といっても、全然立ってないんですよね(笑)。板に乗って戯れていたという感じです。
――「密着パート」は、今年の1月15日、吉岡さんの29歳の誕生日から撮影を始めたとか。
吉岡 その日は栃木ロケだったんですけど、カメラマンの大辻(隆広)さんとライターの石渡(寛子)さんがわざわざプレゼントを持ってきてくださって。「あ、本当に誕生日から撮ってくださるんだ」って(笑)。この企画の斬新さをこの日改めて感じました。今日から20代最後を残していくのかぁと。
――大辻さんの発案。
吉岡 はい。「10周年で30歳って、めちゃくちゃ大事だと思うので、一冊に残しませんか」って。それまでは、あまり自分ではピンときていなかったんですよ。節目だなとか、意識していなくて。けど、この撮影のおかげで意識できました。
――誕生日から撮影を始めて、どのくらいのペースで撮っていたんですか?
吉岡 ひと月に1回くらいです。私服で撮る、というのも大事にしていたので、仕事現場の写真以外にも、私服になってちょっとだけ現場の近所を歩いたりだとか、本当に何げない、普段絶対に撮らないような写真を撮ろう、という感じでした。
――30歳って、昔はどんなイメージがありました?
吉岡 やっぱり大人ですよね。30代って楽しいよ、って言ってくださる年上の女性たちが周りにたくさんいたので、より自由になるみたいなイメージがありました。
――実際にもうすぐ30歳を迎える今、どうですか?
吉岡 わかる気がします。いろいろなことを経験して、知識も感覚も研ぎ澄まされてくる時期だと思うので。何をするかというのがより明確になっていく感じが、自分でもしています。
■夢をかなえるには急がないとだめなんだ
――30歳になる年が芸能生活10周年ということで"Wアニバーサリー"なわけですが、この10年でご自身に変化は感じていますか?
吉岡 変わっていないところもたくさんあると思うんですけど、シンプルに、すっごくスタミナがついたなと思います。体力も、精神力も。どんどん仕事をやっていくと、キャリアが重なっていくと、任せてもらえることも大きくなっていって、それに伴う力を養うために日々過ごしてきたので、気づいたら心も体もマッスルになったなって。
――具体的には?
吉岡 体力のなさを克服するために文字どおり筋トレをしたり、意識の面では、より前向きに仕事できるように取り組むとか、そういうところからでした。
あとは、作品が強くしてくれるんです。それをやるための絶対必要な分量みたいなのがあって、その人物像をやるために頑張った分、後でついてくる感覚があったので、仕事が強くしてくれたんだなと思います。
――10年前、芸能界に飛び込んだ頃のことで、特に記憶に残っていることはありますか?
吉岡 10代の頃は地元の京都から東京などの俳優養成所やワークショップに通っていて、よく舞台も見に行っていたんです。当時、青山円形劇場がまだあったんですよ。真ん中に円形の舞台がある劇場で、お客さんが360度いらっしゃって。憧れの舞台で、いつかここに立ちたいと思っていて。でも、立つ前になくなっちゃって(2015年1月閉館)。夢をかなえるためには急がないとだめだってそのときすごく感じて。「いつかかなうといいな」じゃなくて、「ここでこういうふうにかなえる」みたいに、具体的に、強く歩みを進めていこうと思いました。
――当時、今の所属事務所の故・小笠原明男社長に入所を直談判しに行ったというのも、そういった強い気持ちがあったからでしょうか?
吉岡 私は子役からやってきたわけではないので、長くキャリアを重ねてきた人たちと仕事をするためには何かしらの覚悟がいるなと思っていて。仕事をいただけるような人間になるために、時間を全部そこに使っていこうという気持ちがすごくありました。
――ちゃんと、看板女優になりましたね。
吉岡 見せたかったです。見せたかった瞬間がいくつもあるんです。明男さんに見せられなかった瞬間が。
――例えば?
吉岡 今年だと、TAMA映画賞の最優秀作品賞が主演映画(『ハケンアニメ!』配給:東映)で獲(と)れた、とか。明男さん、映画が大好きだったから、映画で賞を獲りたい、それを見せたいってすごく思っていたので、それは見せられなかったな、とか。なんだろう......。ほかにもいろいろ。いろいろです。
――10年間でたくさん夢をかなえてきたと思います。次の10年の目標を聞かせてください。
吉岡 10年後も語ってもらえるような作品を残すこと。ドラマも映画も。老若男女問わず、みんなに認めてもらえるような、あれは本当にいい作品だったよねと言ってもらえるものを残したいです。
●吉岡里帆(よしおか・りほ)
1993年1月15日生まれ 京都府出身
○連続テレビ小説『あさが来た』(2015年)に出演し注目を集める。2019年公開の映画『パラレルワールド・ラブストーリー』、主演映画『見えない目撃者』で第43回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。主な近作にドラマ『レンアイ漫画家』(2021年)、『しずかちゃんとパパ』(2022年)、映画『泣く子はいねぇが』(2020年)、『ハケンアニメ!』(2022年)、『島守の塔』(2022年)など。12月28日(水)よりディズニープラス「スター」で独占配信開始のドラマ『ガンニバル』に出演