東京・原宿で、官能短歌写真展『満たされず満たせずそばにいる夜に』が開催中。すべてのディレクションを務めた寺田(左)と、キャスティング・出演者の繭東京・原宿で、官能短歌写真展『満たされず満たせずそばにいる夜に』が開催中。すべてのディレクションを務めた寺田(左)と、キャスティング・出演者の繭

女優・脚本家として活躍する寺田御子(みこ)と、写真家・福島裕二による官能短歌写真展『満たされず満たせずそばにいる夜に』が、東京・アトリエY原宿で12月3日(土)から11日(日)まで開催されている。

開催前日に、展示作品すべてのディレクションを務めた寺田御子と、出演者のひとりであるグラビア女優の(まゆ)にインタビューを実施。制作時のエピソードや展示作品の魅力などを語ってもらった。

――まずは今回の写真展開催にあたる経緯を聞かせてください。

寺田 繭ちゃんとは元々、YouTubeにアップしている私の短編映画にずっと出ていただいている共作仲間のような関係なんです。以前、繭ちゃんの写真展に遊びに行ったときに福島さんに初めてお会いして。それまで作ってきた短編をすごく気に入ってくださって、「一緒に何か作りましょう」という話で盛り上がったのがきっかけです。この流れで繭ちゃんにも、今回の写真展をお願いした形で。

 そうですね。私は今回、御子ちゃんの制作を今まで一番近くで見守ってきた身として、キャスティングも務めさせていただいて。全部で4篇のストーリーがある中のひとつに出演させていただいたんですけど、ほかの現場にもお邪魔して見守って......という立ち位置で携わらせていただきました。

内観一部内観一部

――事実上「寺田御子×福島裕二×繭」の写真展なんですね。繭さんのほか、モデルの彩月貴央(あやつき・たかおう)さん、女優の高嶋香帆さん、「大人ゲーマー女子」の野々宮ミカさんという3人の出演者がいますが、キャスティングのポイントは?

 御子ちゃんの作品には「官能文学」というテーマがあるので、グラビアの世界でもお芝居の世界でも表現力がある、そのテーマや世界観を理解してもらえそうなコたちを選びました。言葉にするのは難しいですけど、「エモさが出せる女のコ」というか。

繭さんのお気に入りカット繭さんのお気に入りカット

――長い関係性がある繭さんだからこそわかるフィーリングというか。

 はい。その上で、たとえば(高嶋)香帆ちゃんは元々、日テレジェニックやミスマリンちゃんとしてグラビアで活躍されてきた方で、かつ最近は女優さんとして活動されていて。今回はその両方を活かしてくださったかなと思いますし、(野々宮)ミカちゃんはザ・グラビアな素晴らしい体型がエモく切り取られていると思います。

寺田 4人の出演者がいるなかで、グラマラス担当を務めていただいたのが野々宮ちゃんです。

 実は今回、一番最後にオファーしたのがミカちゃんだったんですけど、全体のバランスを見たときに「......おっぱいが足りない」となりまして(笑)。迫力のあるバストと表現を楽しんでいただけるかなと思います。

――今回の展示はただの写真展ではなく「官能短歌写真展」。4篇の写真だけではなく、ストーリーにマッチした数々の短歌と、そのショートフィルムが展示されています。これらの作品すべてをディレクションした寺田さんは、相当大変だったんじゃないですか?

寺田 大変でした(笑)。実は開催日が先に決まってしまったので、これらは1、2ヵ月で慌てて作り上げたんです。短歌を何十首も考えて、いくつかの組み合わせに分けて、短歌に合う脚本を作って撮影して......って。なのでここ最近の睡眠時間は、ちょっと人間っぽくなかったですね。

 これはもう、いろんな人に見に来てもらわないと成仏できないよね。

寺田 ね(笑)。そんな感じで、慌てて作るスケジュール感だったのもあって。脚本を書き上げるのも撮影当日の朝で、現場で皆さんに台本をお渡しするというより、口頭で設定を説明して撮影に入ることが多かったですね。

――撮影現場でのエピソードを聞かせてください。

寺田 私も作品に出演しているので、下着姿のままディレクションしたり、カメラを持ったりしてたんですよ。なので現場では「御子ちゃんって全裸監督みたいだよね」とか「村西(とおる)さん?」って言われてました(笑)。

 あとは、福島さんもすごく明るいにぎやかな方なので、ずっとみんなハイテンションな現場でしたね。誰かしらが興奮して「いいねいいね......」「あ〜かわいい! あ〜かわいい!」って言い合ってるような空間で。

――どの作品もオトナな世界観なので、その雰囲気は意外でした。

寺田 ショートフィルムには現場の声は使わなかったんですけど、メイキングとかで出したら意外に思っていただけるかもしれないですね(笑)。

 あと、私が印象的だったのは、私と御子ちゃんが"絡み"を撮っていたときに、メイクさんが「慣れてるね......」って驚いてたこと。今までの短編映画でも絡みは結構撮ってきていたので、「もう手慣れたもんよ」って感じだったんですけど。

寺田 そうね(笑)。でも、繭ちゃんは「こういう表情がほしい」とか、なんにも言わなくてもわかってくださる勘がいいコだから。その信頼関係が出てるだろうなと思います。

寺田御子さんのお気に入りカット寺田御子さんのお気に入りカット

――観覧者にはそのあたりも感じてもらいたいですね。また、元々"短歌好き"の寺田さんですが、今回、短歌を表現方法に選んだ理由は?

寺田 実は、最初は短い官能小説をひとりひとりに書こうとしていたんです。でも最近は現代短歌がSNSで少しブームになっていたりもするので、短歌のほうが面白いかもしれないと思って。あと私、週プレさんもそうなんですけど、グラビアについてるポエムがすごく好きなんですよね。なので「私もああいうのが書きたい」と思ったのも大きかったです。

――まさかグラビアポエムの話が出てくるとは、これもまた意外でした。

 週プレさんは特に秀逸だよね。

寺田 うん。影があって、写真にも合っていて、被写体の女のコにもぴったりなポエム。すごくいいなと思っています。写真との組み合わせでいうと、写真が持つ余白と、短歌の31文字だけで表現する余白はすごく通じるものがあるなと感じていて。それらが合わさる「官能短歌写真展」はいいものになるだろうなと。

――なるほど。会場には約20首の短歌が展示されていますが、おふたりが特に好きな作品は?

寺田 私は『男って 好きじゃなくても できるよと 急に男に なる男の子』です。年下にしか思ってなかった男の子が、急に"男"の顔を見せたときの短歌なんですけど、すごく共感してくれたコが多いんです。それこそ、ストーリーを演じてもらった野々宮ちゃんも「当て書きですか?」って驚いてくれたくらいハマッたみたいで。

 私は『粘膜と 粘膜からが浮気なら 後ろめたくない 愛を探そう』。私と御子ちゃんが演じた「不倫」がテーマのストーリーに使われた短歌なんですけど、浮気の基準って人によって違うじゃないですか。

寺田 キスからなのか、身体を交わらせたらなのか、それとも心だけでもなのか。

 その基準をふたりで探す感じがすごくいいなと。

寺田 ありがとう。まぁ、「不倫」がテーマなので、この時代にすごくそぐわない作品です(笑)。

――あくまでストーリー上の設定ですから(笑)。最後に、今回の展示に来る方々へ向けて、それぞれメッセージをお願いします。

 私は、御子ちゃんと福島さんのふたりとも、これまで何度かお仕事をさせていただいていて。開催が決まる前からふたりの作品に対する信頼感がすごく強かったんです。「このふたりが一緒に作るとなったら、どんな化学反応が生まれるんだろう」とワクワクしていたら、やっぱりお互いが爆発したなと、想像以上の世界に感激しています。本当に、ひとりでも多くの方に見ていただきたいです。

寺田 歌人ではないので、短歌に関しては畏れ多いんですけど、ずっと好きな分野として今回挑戦させていただきました。写真、映像、短歌、そして出演者。いろんな入口がある展示だと思うので、皆さんの好きな入口から入ってくださったら嬉しいです。もし反響があったら、テーマやモデルさんを変えて続けることもしたいなと思っていますので。よろしくお願いします。

寺田御子(てらだ・みこ)
1992年6月11日生まれ 岐阜県出身
身長160cm B88 W52 H84
◯年間200冊を超える読書で培われた言語知識・文才を活かし、現在は女優業と並行して声優業、脚本業を務める。
公式TwitterInstagram@teradamiko

(まゆ)
1989年10月8日生まれ 千葉県出身
身長158cm B85 55 85
◯『VOCE』(講談社)で美容モデルとして活躍するグラビア女優。2016年、「美おっぱいコンテスト2016」PEACH JOHN賞受賞。公式Twitter@officialmayu

官能短歌写真展「満たされず満たせずそばにいる夜に

開催期間:2022年12月3日(土)〜11日(日)
平日15:00〜20:00/土日祝13:00〜20:00(休館日:火・水)
会場:アトリエY(東京都渋谷区神宮前3-18-30 KHPベーシックビル2F)
入場料:無料(一部有料スペースあり)
12月4日(日)、11日(日)には寺田御子や出演者によるトークイベントを開催予定