『M-1グランプリ2022』決勝進出を決めた9組 『M-1グランプリ2022』決勝進出を決めた9組

12月18日(日)に行なわれる『M-1グランプリ2022』の決勝。毎年話題になるこのイベントを100倍楽しめる予備知識をギュッと詰め込んでお伝えします!

■『M-1』を見ずに年は越せない

年末の風物詩『M-1』の季節がやって来た! 今年の見どころを語ってくれたのは、ハリガネロックとして『M-1』2001年、2002年と2年連続決勝進出し、最高2位。現在はお笑い養成所の講師としても活躍するユウキロック氏。まずは、決勝進出を決めた9組の紹介から聞いていこう。

《ロングコートダディ》
「過去に決勝進出を経験しているのは、今回4組。昨年4位のロングコートダディは、コント、漫才両方できるコンビで、ボケツッコミの分担が決まっていないのが特徴。巧みな構成と大喜利力の強さで笑わせる力がある。センスの塊だが、今年は独自性の高いコンビが多く、センスとセンスのぶつかり合いが起こりそう。審査員がどのような判断を下すかが見ものです」
ロングコートダディ(堂前透、兎)/2009年結成《吉本興業》/【最高戦績】決勝4位(2021年) ロングコートダディ(堂前透、兎)/2009年結成《吉本興業》/【最高戦績】決勝4位(2021年)

《真空ジェシカ》
「昨年6位。ボケ1個の破壊力がほかのコンビにはないくらいの強さを持っていて、やはりセンスが垣間見えます。あと、慶應大、青山学院大出身だけあって、学がある。学がありすぎて『これわかりづらくない?』ということもあるのが懸念材料。印象的なのは、ガクくんの"嘆きツッコミ"。川北くんの設定やボケでどのくらいガクくんを追い詰め、悲壮感のある嘆きを引き出せるかがカギになりそう」
真空ジェシカ(ガク、川北茂澄)/2012年結成《プロダクション人力舎》/【最高戦績】決勝6位(2021年) 真空ジェシカ(ガク、川北茂澄)/2012年結成《プロダクション人力舎》/【最高戦績】決勝6位(2021年)

《さや香》
「2017年7位で、当時は新山くんがボケで石井くんがツッコミだったが、今年はそれが逆転。関西を代表するしゃべくり漫才をやっています。新山くんはもともと迫力のあるボケだったが、それがツッコミにまわったことで熱量を上げて後半ガーッと上げられるし、言葉の使い方もうまい。石井くんのボケ方もとぼけている感じが上手。変化球タイプのコンビが多い中で、直球がどう評価されるのかに注目」
さや香(新山、石井)/2014年結成《吉本興業》/【最高戦績】決勝7位(2017年) さや香(新山、石井)/2014年結成《吉本興業》/【最高戦績】決勝7位(2017年)

《ウエストランド》
「東京のお笑い事務所タイタンから今回2組が出場。一昨年9位のウエストランドは情熱系漫才師というか、もはや悪口漫才師。もともとは河本くんが1ボケて、井口くんがそれに9ツッコむ状態だったが、最近はもはや河本くんがボケてすらいないこともある(笑)。そこまできたか、と。今までは井口くんのコンプレックスをネタにして、なかなか高評価されなかったが、ネタの幅が広がり、多くの人に訴えかけられるようになったのが強み」 ウエストランド(井口浩之、河本太)/2008年結成《タイタン》/【最高戦績】決勝9位(2020年 ウエストランド(井口浩之、河本太)/2008年結成《タイタン》/【最高戦績】決勝9位(2020年

《キュウ》
「タイタン所属のもう一組がキュウ。スローテンポでシュールな漫才師。ふたりの中にある一定の価値観の中で漫才が繰り広げられる。以前は『めっちゃええやん』というワードを清水くんが多用していたが、今は否定も肯定も織り交ぜながらツッコんでいる。準決勝ではネタの主軸になるワードがめちゃくちゃウケて、盛り上がった。言葉の使い方が巧みです」
キュウ(ぴろ、清水誠)/2013年結成《タイタン》/【最高戦績】準決勝進出(2020年、2021年) キュウ(ぴろ、清水誠)/2013年結成《タイタン》/【最高戦績】準決勝進出(2020年、2021年)

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というわけで、ここで、タイタンの大先輩、爆笑問題のおふたりから2組にエールが届いたので、ご紹介!

田中 2組とも決勝に行くことが決まったときはびっくりしたし、やっぱりうれしかったですね。

太田 いや、まだまだ足りないね。吉本興業は6組いるんでしょ。だったら、タイタンからも6組くらいは決勝に行かないと。まだまだだね。

――ウエストランドとキュウは、どんなコンビ?

太田 井口は卑屈でね。「あいつ成功しやがって」みたいな、誰もが心に持ってる黒い部分の代弁者。とにかく人の幸せが大嫌い。普段からそういうことばっかり考えている。でも、それが芸になっている。河本は人間のクズ。最近、クズ芸人をネタにしている芸人がいるでしょ。ネタにできているならまだいいけど、河本はネタにできていない本物のクズです。

田中 応援メッセージになってねえだろ!

太田 キュウのぴろは、今、芸能界に対する居心地の悪さを感じている気配がある。だから、何かたくらんでる。いずれ事件を起こすんじゃないかという気がする。清水は、ただ、単にぴろにくっついているだけ。でも、清水は声がいいから、それが救いかな。

田中 言ってる意味がわかんねえよ!

――2組へのアドバイスは?

田中 ウエストランドは、一昨年の決勝でとにかく緊張していたんですよ。井口はプライベートで酒を飲みながら芸人の悪口を言っているときが一番面白いので、そんな普段の感じが出せればいいなと思います。

それから、キュウのネタって最初からお客さんをつかんでいくネタじゃなくて、あるルールがあってそのルールからどんどん外れていくみたいな面白さだと思うので、焦って自分たちの間やリズムが崩れるのが怖い。だから、自信を持って自分たちのペースでやってほしいですね。 

太田 2組とも、これが最後のチャンスだと思え。どっちも優勝できなかったら芸人をやめてほしいね。2組とも優勝以外は許さない。

田中 それは厳しすぎるだろ!

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温かい(?)エールでした。それでは、再びコンビ紹介に戻りましょう!

《男性ブランコ》
「賞レースですでに活躍しているコンビにも注目。昨年の『キングオブコント』で準優勝したのが、男性ブランコ。もともとコント師でしたが、漫才もウケるようになってきたのは、テレビでの露出が増えてきたのが一因でしょう。温和な雰囲気で、その人となりや空気感が漫才ともマッチしてきました。王道ネタと斬新ネタの両方を駆使できるのが強みです」
男性ブランコ(浦井のりひろ、平井まさあき)/2011年結成《吉本興業》/【最高戦績】準決勝進出(2021年) 男性ブランコ(浦井のりひろ、平井まさあき)/2011年結成《吉本興業》/【最高戦績】準決勝進出(2021年)

《カベポスター》
「若手の登竜門『ABCお笑いグランプリ』で今年優勝。構成のうまさ、言葉の巧みさが抜きんでています。永見くんが淡々と起こった出来事を語り、それに対し浜田くんが矛盾点をツッコんでいくスタイル。ネタの伏線もしっかり回収されながら、後半盛り上がっていき、終盤でドーンとウケる感じです」
カベポスター(永見大吾、浜田順平)/2014年結成《吉本興業》/【最高戦績】準決勝進出(2020年、2021年) カベポスター(永見大吾、浜田順平)/2014年結成《吉本興業》/【最高戦績】準決勝進出(2020年、2021年)

《ダイヤモンド》
「『おもしろ荘2021』の優勝コンビ。当時はツッコミの野澤くんが激しめで、ボケの小野くんがロートーンのスタイルでしたが、今年はガラッと変えてきて、野澤くんがボケで小野くんがツッコミに。小野くんのツッコミの矛盾点に対し、野澤くんも反論。お互いの考え方がぶつかるような"言い合い漫才"です」
ダイヤモンド(野澤輸出、小野竜輔)/2017年結成《吉本興業》/【最高戦績】準々決勝進出(2018~2021年) ダイヤモンド(野澤輸出、小野竜輔)/2017年結成《吉本興業》/【最高戦績】準々決勝進出(2018~2021年)

《ヨネダ2000》
「唯一の女性コンビ。奇抜な設定をテンポとリズムを使って見せるスタイルです。基本的に誠さんが無茶ぶりをして、それに愛さんが応える形。注目すべきは、先にある『THE W』の決勝では準優勝して、王者としてM-1に出場できれば、世の認知度も高まりく、前のめりになって見てもらえると思うので、ウケが大きくなる可能性があります」
ヨネダ2000(誠、愛)/2020年結成《吉本興業》/【最高戦績】準決勝進出(2021年) ヨネダ2000(誠、愛)/2020年結成《吉本興業》/【最高戦績】準決勝進出(2021年)

■ズバリ優勝するのはどのコンビ?

以上の9組に敗者復活枠の1組を加えた全10組で戦いが繰り広げられるが、ユウキロック氏の敗者復活枠予想は?

「敗者復活戦は野外ステージで行なわれますが、なぜか毎年異常に寒くなる。そんな悪い環境の中で"勢いよくやれる"コンビが上に行くと思います。ミキはお兄ちゃんが勢いをつけてくれる。オズワルドは伊藤くんがものすごく勝ち気。『絶対戻ってやる』という闘志を燃やしてやってくると思う。

あとは、ビスケットブラザーズ。今年のキングオブコント優勝で時の人でもあるし、勢いを出しやすいと思う。この3組が上位に来るでしょう。あえて言うなら、オズワルドがネタのクオリティで頭ひとつ抜けています。お茶の間人気も高いので、本命です」

敗者復活枠の本命はオズワルドか!? 敗者復活枠の本命はオズワルドか!?

今大会の注目点は?

「今年のテーマは間違いなく"変化"。ちょっと大げさに言えば『本当のM-1がここから始まる』感じ。今までは、多少の論争こそあったものの、だいたいは正統派漫才師たちが優勝していました。今年はそうならないんじゃないかというくらい変化球を投げるコンビが多い。審査員も代わったようなので、M-1新時代がスタートするのではないでしょうか」

ズバリ優勝候補は?

ロングコートダディさや香。準決勝を見る限り、安定的に笑いが取れて、どこの順番で誰と前後しても狂わないと予想されます。あえて1組選ぶなら、ロングコートダディ。

ほかのコンビはどうしてもM-1の舞台にフワフワしてしまいそうですが、2年連続決勝進出のロングコートダディはそれがないはず。ツッコミを使わないスタイルも変化球ながら、面白くてわかりやすい。漫才の新時代到来を見届けたいと思います」

決戦は12月18日(日)。熱い戦いに今から期待!