12月12日、片山萌美による初のセルフプロデュース写真集『M』(株式会社ウイントアーツ)が発売された。彼女の生まれ年にちなんで1990部限定販売とされている本作のテーマは、「女性に見てもらいたいグラビア」。カメラマンにTim Gallo(ティム・ギャロ)氏を迎え、豪華なメイクを施し、ハイブランドに身を包んだ。長年、女優活動と並行しグラビアを続けてきた彼女だからこそ提示できた新しいカタチのグラビアがここに仕上がる。
2014年に週プレ本誌でグラビアデビュー。あれから約8年の月日が流れた。初々しく微笑んでいた23歳は、重厚な色気を漂わせる32歳になった。女優として、女性として、初めて自己を表現した本作。彼女は今、グラビアに対して何を思うのか。
■カッコいいグラビアがあっても良いんじゃないかって
――初のプロデュース写真集『M』の発売、おめでとうございます! 一般的な写真集より一回り大きなB4刷り。見た目のインパクトに加え、内容的にもかなり見応えがありますが、そもそも自身で写真集をプロデュースしたいと思われたきっかけは何だったんです?
片山 20代の頃から、漠然とカッコいいファッションやハイブランドに憧れがあったんです。当時は、お洋服にかけられるお金に限界があったから余計に。それこそ週プレさんでも、何度かカッコよさをテーマにしたグラビアに挑戦させていただいていますよね。
――そうですね。とりわけ片山さんは、登場されるたびに印象的なグラビアを披露されていたイメージがあります。昨年のモノクロ写真を取り入れたグラビア(デジタル写真集『愛される』に収録)も、記憶に新しいですし。
片山 われながら、週プレさんでやらせてもらったグラビアはどれも気に入っています。ただ贅沢な話、必ずしも私の中でのベストショットが本誌に掲載されるとは限らないわけで。まぁ、仕方ないですよね。5、6ページで読者の方に満足してもらう必要があるんですから。とはいえやっぱり、自分なりに大事にしたいカットがあるのも事実で......。だったら一度、自分発信で自分好みのグラビアを作ってみれば良いんじゃないかと。マネージャーさんも背中を押してくれたので、事務所を版元に、私の理想を詰め込んだ写真集を制作することになったんです。
――ゼロから写真集を作っていくのは、想像以上に大変だったはず。最初は、どういったところから決めていったんですか?
片山 まずはカメラマンさんですね。今回お願いさせていただいたTim Galloさんは、4年ほど前に『サイゾー』のグラビアでご一緒させてもらったことがあって。その後、改めて作品撮りをした際にも、スゴく良い写真を撮ってくださったんですよ。私が思い描いていたモード系の感じにも合いそうだし、何より、こういった挑戦的な企画を面白がってくれそうだなと。
実際にTimさんは、わざわざ雑誌を読み漁り、私がお伝えしたイメージにあった衣装を持ち寄ってくださりそうなスタイリストさんをピックアップして、直接ご連絡までしてくださいました。そうして、Timさんとよく一緒に現場をされているヘアメイクさんにもお声をかけ、着々とスタッフィングが進んでいったんです。
――片山さんの構想をもとに、撮影チームはTimさんを中心に構成されたと。そこまで積極的に携わってくれるのは嬉しいですよね。撮影の雰囲気は?
片山 Timさんって、撮影のスピードがめちゃくちゃ速いんですよ。「えっ、もう撮れたの!?」って心配になるくらい、あっという間に終わっちゃう(笑)。それでいて、感情が昂ると「Amazing(アメイジング)!」って、英語で気持ちを表現されるんです。クールな仕上がりとは裏腹に、現場はとても楽しい雰囲気だったんですよ。
そうそう、裏表紙には、Timさんが「絶対に撮りたい」とおっしゃっていたカットが使われているんです。ハイヒールのかかと部分でパンツを引っ張り上げている下半身だけを写しているのですが、お尻をキュッと持ち上げるのが結構キツくて(笑)。「ウゥー」なんて、苦しい声を出しながら撮影していました。
――あはは。かわいいカットだけど、地味にキツそう!
片山 チェーンドレスのシーンもヤバかったな。重たすぎて、ポージングを変えるのもひと苦労。しかも、チェーンが食い込んで痛いから、膝やお尻をつくこともできなかったんです(笑)。ちなみに、いちばん気に入っている衣装は、大きな女優帽とあわせた白のドレスです。今回、アザーカットをまとめたデジタル写真集を3パターンも作成しましたが(各タイトルは『mine』『視線』『吐息』)、特に私が見てほしいカットだけを集めた『mine』の表紙にも、この衣装のカットを使わせていただきました。
――モード系とおっしゃる通り、セクシーかつカッコいい衣装ばかりですよね。そして、それらを難なく着こなしてしまう片山さんのスタイルにも目を引かれました。ウエストには、うっすら筋が。かなり鍛えられたのでは?
片山 撮影前の3ヶ月間、自宅でみっちりトレーニングを行いました。特にヒップアップを重点的に。胸は残しつつも、過去最高に体が引き締まった状態で撮影に挑めましたよ。えっ、ジムですか? 行かないですよー、面倒くさい! トレーニングを終えたあとの帰り道を想像するだけでダメ(笑)。家で筋トレして、家の周りをジョギングするのがいちばん効果的でした。
――スゴい! 自宅トレーニングだけでそこまで鍛えられるのは、意思が強い証拠ですよ。
片山 私発信の写真集ですから。それくらいの努力は欠かせませんよ。目標は海外のモード系モデルさん。全体的にメイクが濃いめなのも、そのためですね。
――衣装の存在感にあわせて、強くラインを引いたり、発色の良い口紅を塗ったり。特に冒頭のシーンは、あまりに濃いメイクだったので、瞬時に片山さんだと分からなかったほどでした。
片山 メイクは、完全に私とメイクさんの一対一で意見交換しあい、作り上げていきました。普段のグラビアは、薄メイクが基本じゃないですか。だからこそ、あえて強い印象を与えるメイクに挑戦してみたかったんですよね。とはいえ、薄メイクで撮っていただいたカットもちゃんと収録されているので、ナチュラルな片山が好きな方もご安心ください(笑)。
――衣装にメイクにスタイルに。片山さんの希望が詰まりに詰まった一冊を撮り終えてみて、率直に、今の心境は?
片山 テーマ通り、「女性に見てもらいたいグラビア」が出来上がった気がしています。少しでも多くの女性に「あれっ、意外とグラビアってカッコいいじゃん」と思ってもらえたら、頑張ってカタチにした甲斐がありますね。胸を寄せる、お尻を突き出す、といったザ・グラビアなポージングは一切やっていないものの、男性ファンの方に感じてもらえる色気もちゃんと出ているはずです。反応が楽しみですね!
■30代にして叶った最大級の自己表現
――片山さんが本作に込めた想いがひしひしと伝わってきた反面、やはりファンの方の多くは、これまで週プレで見せてきてくれたような、自然体のかわいらしさが溢れた姿を求めていると思ってしまうというか......。新たな表現への挑戦に、迷いや戸惑いはなかったですか?
片山 なかったですね(きっぱり)。確かにグラビアを始めた当初は、あまり喋らなさそう、穏やかそう、といったイメージを持たれていたそうで、それにあわせようと、意識的に言動に気をつけていたところがありました。本当の私は、わりとよく喋るのにね(笑)。
でも、30代になってからなのかな? いつの間にか、フッと肩の力が抜けてきたというか。「もう、別に良いっしょ」と思えるようになってきたんですよね。そりゃあ需要に沿った方が売り上げは固いんでしょうけど、それよりも、ちゃんと作品の中で自分を解放できた達成感の方が大きいですよ。本作は、完全に私がやりたいことに振り切っていますから(笑)。
――年齢や芸歴による気持ちの変化があったとはいえ、そう言い切れるのはスゴいです。
片山 もちろん、求められることに応える姿勢を持つことも大事です。それでいうと、私がグラビアを続けているのは、何よりもファンの方が求めてくださっているからですしね。需要がなければ、とっくに辞めていてもおかしくありませんよ。
ただ、"30代になったから辞める"じゃなく、"30代になって、より楽な気持ちで続けられる"ようになったことは、私としてもラッキーな変化でした。最近、ドラマを入り口に私のグラビアに興味を持ってくださる方が増えてきたんですけど、女性の方にスタイルを褒められるのは、素直に嬉しいですよ。
――ちなみに、片山さんはご自身のグラビアをどう見てらっしゃるんですか?
片山 最初は気恥ずかしさしかありませんでした。「私、こんな表情しているの......!?」みたいな。でも、今となっては、自分の初グラビアがかわいく思えて仕方がないんです(笑)。あの頃の私には、写真を介してしか会いに行けない。言い換えると、写真が残っているからこそ、あの頃の私を「かわいい」と客観視できているんです。面白いですよね、写真って。最近、改めてそう感じます。実家に帰って、家族みんなで昔のアルバムを見返すのもスゴく楽しいですし。
――では、片山さんが思うグラビアの楽しさというと?
片山 お芝居では、この役だったらこう感じるだろうと、役ありきで物事を捉え、表現するのが基本です。でもグラビアでは、私はこの場所で何を感じるだろう? この衣装を着た時、どんな動きをするだろう? と、自分ありきの表現ができる。私にとってグラビアは、体を見せるのではなく、自分を見せる場所なんです。そこには、自分すら知らない自分を知れる発見の面白さもあります。撮ってみないと分からないところが、醍醐味のひとつじゃないかな。
本作に関して言えば、やっと自己を表現できたという感覚が強いですね。ゼロから制作して、写真のセレクトも全て自分たちで行いましたから。どんな写真が好きで、何を表現しようとしているのか。自分と向き合わざるを得ない行為を経て、嘘偽りない私自身をカタチにできた。あとは、手に取ってくださったみなさんがどう感じるかなのかなって思います。
――清々しいご回答をありがとうございます! 最大級の自己表現が叶った本作を経て、次にやってみたいグラビア、見せたい自分の姿はありますか?
片山 何もないです(即答)。まだ、本作も出来上がったばかり。次のことなんて考えられないですよ(笑)。でも、甘いものを食べたら、しょっぱいものが食べたくなるじゃないですか。ということは、今回の反動で、日常スナップを並べたようなナチュラルな写真集をやってみたいと思うのかもしれませんね。オールすっぴんとか? 分からないけど、また何かのタイミングで自分を試したくなる時期が来るかもしれないので、心のどこかで楽しみに待っていてください。
●片山萌美(KATAYAMA MOEMI)
1990年10月1日生まれ 東京都出身
初のプロデュース写真集『M』が1990部限定で発売中!本編デジタル版のほか、デジタル限定アザーカット写真集『~mine~』『~視線~』『~吐息~』も配信中。詳細は公式サイトをチェック!
https://wintarts.jp/profile/katayama/m.html
公式Twitter【@neichiamo】
公式Instagram【@moet_mi】