『第73回NHK紅白歌合戦』の出演者に初めて名前を聞くグループが多いと思ったら、K-POPアイドルの方々なんですね! キテるキテるとは聞いてますけど、イマイチちゃんとチェックしていない人のために、5分でファンになれちゃう特集をお届け! 大晦日は皆でウォニョンペン(ウォニョン推し)になりましょ~!
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■〝天性のアイドル〟ウォニョンに注目!
きっと今年の大晦日も、なんだかんだ見ちゃうであろう『NHK紅白歌合戦』。第73回を数えるこの歌番組に、初出演するK-POPアイドルがふた組いる。IVE(アイヴ)とLE SSERAFIM(ル セラフィム)だ。
初めて聞く名前だけど、『紅白』に出るとなると、さすがに無視できない!ってことで、大晦日に芯を食ったコメントができるように、両グループの魅力を徹底取材した!
まずはIVE。K-POPのクラブイベントを主宰するDJのe_e_li_c_a(エリカ)氏は今回の出場決定に関してこう語る。
「驚きはありましたが、若い層からの人気は高く、日本の音楽チャートにおいても高成績でした。話題性だけではなく、しっかりデータも加味されての決定だったと思います」
IVEがデビューしたのは、2021年12月。デビュー曲『ELEVEN』は各種ストリーミングサービスでトップ10入りする大ヒットとなり、デビュー曲として異例の記録を数々打ち立てたほど。
「IVEが新曲を出すと、韓国の音楽チャートの上位を数週間独占するのも珍しくありません。最新曲『After LIKE』は新人では異例のリアルタイム、日間、月間チャートの1位を独占するPAK(パーフェクト・オール・キル)を達成するなど、シーンを席巻しています」
では、そんなIVEはどんなグループなの?
「IVEは6人組のグループで、なんといってもセンターのウォニョンの絶対的な〝アイドル感〟が魅力。誰が見ても一般人じゃないとわかるスタイルとビジュアルで、グループの顔となる存在です」
その美貌から「アイドルになるために生まれてきた」や「1万年にひとりの逸材」とも称されるウォニョン。YouTubeでK-POPを中心にダンス解説動画を投稿しているARATA氏は「彼女の魅力は外見だけではない」と強調する。
「ウォニョンちゃんはプロ意識もスゴいんです。完璧なアイドルでいることへのプライドともいえる。そのため、自分を客観視することに長(た)けていて、ひとつひとつの所作の魅せ方が丁寧。そんなウォニョンちゃんがセンターにいるので、おのずとIVE全体もゴージャスな印象になっています」
グループのコンセプトも、ウォニョンのそんな姿勢に通じているとエリカ氏は分析する。
「IVEの由来は『I have』の略。『私たちが持っているものを、堂々とした姿で見せる』という意味で、コンセプトは『成長型のグループではなく、完成型のガールズグループ』。
日本のアイドルがファンに応援されながら成長するストーリー性を重視する傾向にあるのに対して、韓国のアイドルはもともとデビュー時からある程度完成したクオリティを追求する傾向にありました。
つまり、韓国のアイドルなら当然のことなんですが、それをあえて打ち出しているのは、そこにプライドがあるからだと思われます」
そして、実際の活動にそのコンセプトのこだわりが表れている。
「K-POP界隈(かいわい)では新曲をリリースするとなると、5曲くらい入ったミニアルバムを出すのが一般的なのですが、IVEは各シングルA面B面の2曲入り。そのため、活動し始めて1年になりますが、まだ6曲しか出ていません。資金的に厳しいワケではないはずなので、ひとつひとつの楽曲の完成度を上げることに注力しているんでしょう」
6曲とも印象は異なるが、華やかでゴージャスな雰囲気は一貫している。そんなIVEでウォニョンと双璧をなすのがリーダーのユジンだ。
「キュートなウォニョンちゃんに対し、ユジンちゃんはクール。ふたりの魅力はぶつかるどころか、お互いを引き立て合っています」(ARATA氏)
そしてここにひとり、日本人のメンバーがいる。愛知県名古屋市出身の18歳、レイだ。
「まず、注目すべきはその高いラップの技術。自分でラップの歌詞も書けちゃうんですよ。しかも、歌もダンスもハイレベルで、常にパフォーマンスに余裕がある。レイちゃんから始まる楽曲も多く、冒頭から人の心をつかんでくるんです」(ARATA氏)
すでに韓国でも日本でもレイの人気が爆発している。
「ソロで『VOGUE JAPAN』の表紙を飾ったり、化粧品やアパレルブランドのモデルを務めていたりと大活躍。ラップやダンスがキレキレなのに、普段は少しおっとりしているギャップにやられる人が多いみたいです」(エリカ氏)
そんなレイのことが大好きなメインボーカルのリズ、のほほんとしているのにダンスはパワフルなガウル、そしてグループ最年少で子役出身のイソ。『紅白』ではそんな彼女たちが絢爛(けんらん)なステージを見せてくれるだろう。
■宮脇咲良率いる個性派グループ
続いて、LE SSERAFIM(以下、ルセラ)は?
「完成型アイドルのIVEとは対照的に、それぞれの軌跡を大事にしている。グループ名は『I'm fearless』(私は恐れない)のアナグラム。『世間からの視線に惑わされず、恐れることなく前に進む』という強い意志が込められているそうです。
つまり『ありのままの自分でいい』という考え方。そのため、おのおののこれまでの活動をフィーチャーするような歌詞があったり、フリがダンスに取り入れられたりしています」(エリカ氏)
ルセラには元HKT48のサクラ(宮脇咲良)がいる。
「いくつかのアイドルグループを経たことでパフォーマンスに磨きがかかっています。HKT48時代とはまったく異なるジャンルのダンスを踊りこなしている。今なお進化し続けています」(ARATA氏)
ルセラにはサクラのほかにもうひとり日本人メンバーがいる。大阪府出身のカズハだ。
「カズハちゃんは幼少期からバレエとコンテンポラリーダンスを習い、バレエでは数々の賞にも輝いていたそう。プロのバレリーナを目指して留学していたオランダから、オンラインのオーディションを受験し合格。韓国に渡り、わずか4ヵ月の練習生期間を経てデビューした俊才です。
K-POPのダンスはバレエとは全然違うはずなのに、うまい。むしろバレエで培った体幹によって、どんな動きも余裕の表情でこなしている。指の先まで見せ方にこだわっているのを見ると、プロのバレエダンサーを目指していた経験が活きているのを感じます。
また、彼女のよく響く低音のラップは、ルセラに不可欠な要素になっています」
そしてルセラにはリーダーで歌唱力抜群、ダンスセンスもピカイチなチェウォン、オペラでその歌声を磨いたニューヨーク出身のユンジン、最年少でかつてサクラペン(「サクラ推し、サクラファン」の意)だったウンチェ、と個性的な面々が。
「それぞれがそれぞれの土壌で経験を積み上げてきた人たちが集まった。だから、それまでの人生にフォーカスしているんだと思います」
■昨日の友は今日の敵
対照的なふた組だが、今回の共演には別のアツさがある。IVEのウォニョンとユジン、ルセラのサクラとチェウォンの4人はもともとIZ*ONE(日韓合同オーディション番組『PRODUCE48』内で結成された、さまざまな事務所の逸材が集まった期間限定アイドルグループ)で共に活動していたのだ。
「当時の一番人気はウォニョンちゃんで次点がサクラちゃん。主にセンターを務めたふたりが、別々のグループでほぼ同時期にデビューしたこと自体アツいんです」(ARATA氏)
前出のエリカ氏によると、歴史的に見ても珍しいケースだという。
「『PRODUCE』系のオーディション番組は『PRODUCE48』を含め、これまで韓国で4回行なわれているのですが、結成されたグループの活動を終えた後はそこで得た人気を武器に、ひとりでメインを張ってグループを引っ張るパターンか、ソロで活動し始めることが多いんです。
でも、ウォニョンとユジンはもともと同じ事務所にいたこともあり、IVEは元IZ*ONEをふたりも抱えている。
一方、ルセラに関しては、わざわざ別の事務所にいた元IZ*ONEのふたりをスカウトして結成した。デビューは3ヵ月違いですが、もしかしたらIVEに対抗するようなグループを作るという意図があったのかもしれません」
そんなふた組が大晦日、日本で共演する。「歴史的な瞬間だ」と話すARATA氏に、彼女らのステージを視聴する際の心構えを聞いた。
「『歌に酔いしれて』とか『ラップにホレて』とか『カッコいいダンスを見て』とか言いたいところですが、初めて見るという人にはむしろ何も考えずに見ていただきたいですね。逆に言うと、そのくらいの心持ちでも夢中になれるパフォーマンスなので!」
ぜひ今年は『紅白』でふた組を知ったかぶって、ドヤ顔で年を越しましょう!