2019年の「東京オートサロン」で、AIWAのブースに立っていたコンパニオンたち 2019年の「東京オートサロン」で、AIWAのブースに立っていたコンパニオンたち
昨年の来場者12万人から今年は18万人と急増、新型コロナウイルスの影響を乗り越えて、かつての活況を取り戻した「東京オートサロン」。華やかなドレスアップカーや、アウトドア仕様になったカスタムカーなどのクルマはもちろん、各ブースを彩るコンパニオンにも毎年注目が集まっている。

1997年からレースクイーン・ジャーナリストとして活動し、オートサロンでも20年以上にわたり取材を続けるカメラマン・矢沢隆則氏に近年のコンパニオンの変化を聞いた。

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「東京オートサロン」といえば、ド派手なクルマとともにセクシーなコンパニオンが並ぶ様子がすぐに思い浮かぶ。しかし、あくまでそれは昔のイメージで、近年は変わってきているそう。

「たしかに露出に関しては、僕がオートサロンに行き始めた頃はすごかったです。どこのブースも全般的に布地が少なく、肌面積が多い傾向でした。ただ5年くらい前から"二極化"していて、いわゆる大手の企業と中小企業ではだいぶ分かれてきていますね。ブースでパンフレットを配っている中小のフロアコンパニオンより、大手のブースステージに立つ女のコのほうが私服に近いこともあります」(矢沢氏)

2000年代の雑誌や映像を見てみると、ステージでクルマの横に立つような"主役級"でも、がっつり谷間の見えるような衣装や、立っていてもパンツが見えそうなくらい短いミニスカが目立つ。中にはミニスカのスリットからお尻が半分ほど見えているものも......。

なぜ20年でここまで変わったのか。矢沢氏が続ける。

「ワンボックスやミニバンなどファミリーカーが主流になってきたことが大きいです。ミニバンの隣で、かつてのレースクイーンのような体のラインが出る服を着ていてもさまにならない。昔はスポーツカーやカッコよさをアピールするクルマがメインで、近未来的なセクシー衣装が似合ってましたけど、今だと浮いちゃいますから」

HWEブースに立った今井みどり。衣装はワンピースで露出はまったくない HWEブースに立った今井みどり。衣装はワンピースで露出はまったくない
オートサロンは、あくまでクルマやパーツをPRする場。家族向けを想定したクルマが多くなれば、それに合うようにコンパニオンの衣装もカジュアルで私服っぽいものになる。特に近年はアウトドア志向もあり、キャンピングカー関連のブースも多いからなおさらだ。

矢沢氏は「単純に露出だけを求めるなら、コミケやコスプレイベントのほうがいいのでは」と分析するが、一方で今でも「水着に近いような衣装はまだある」と話す。

「結局、露出で集客を稼ぐという手段はなくならないわけですよ。やっぱり大手企業はイメージに配慮する必要があるけど、ワンマン社長がやっているような中小企業はあまり関係ありませんから。昔に比べるとかなり減った気はしますけど、まだ残っているし、しばらく残るでしょう。

だいたいそういった露出の多い衣装で出てくるコは、レースクイーンではなく着エロをやっているような女のコです。撮影に集まるのもとにかくセクシーな女のコを撮りたいという人たち。特定のレースクイーンを応援しているようなファンは、あまり興味がないようですね(苦笑)」

WedsSportブースに立った霧島聖子。スケスケ衣装はいまも残っている WedsSportブースに立った霧島聖子。スケスケ衣装はいまも残っている
コスチュームの露出以外にも、オートサロンのコンパニオンで大きく変わった点はもうひとつあると、矢沢氏は言う。それは人数だ。

「昔はそれこそ10人近くコンパニオンを用意しているブースも数多くありました。それが、新型コロナウイルスの影響もあって今では3、4人程度と、各ブースのコンパニオンが減ってきています」

なかには、老舗の出展企業でもブースを縮小したり、ブース自体がなくなってしまうケースもあるという。

しかし、矢沢氏は今後について、それほど悲観していない。

「クルマの祭典といえば、『東京モーターショー』がありますが、どんどん規模が縮小しているんですよ。昔は幕張メッセ全館で開催していたのが、今はビッグサイトの一角でやっているレベル。

それに対してオートサロンは、いまだにメッセの全館を使っています。来場者数もモーターショーより多い。そういう点ではカスタムカーやコンパニオンの需要は、根強いものがあるのかもしれないですね」

美しいコンパニオンを楽しめる「東京オートサロン」には、まだまだ頑張ってもらいたい。