HKT48のセンター、矢吹奈子が去る4月1日(土)にパシフィコ横浜国立大ホールにて、「矢吹奈子 卒業コンサート~未来への翼~」を開催。会場を埋め尽くした多くのファン、そして卒業生の指原莉乃、村重杏奈、兒玉遥らもかけつけて彼女の門出を祝った。
オープニングは矢吹のラストシングル『君はもっとできる』からスタート。そして『ビーサンはなぜなくなるのか?』『突然 Do love me!』、『ウインクは 3 回』と彼女のセンター曲を続けて披露。そして「本当にこの日が来ちゃったんだ、という気持ちです」という、今の心境を吐露しつつ、「今日はひとりひとりの顔を見て、覚えて帰りたいなと思います!」と意気込んだ。
今回のセットリストはすべて矢吹が考えたもので、らしさが満開だ。『やぶきー』で小悪魔っぽさを見せたかと思えば、2017年のツアーでもやった、ももいろクローバーZ『行くぜっ! 怪盗少女』のカバーは、百田夏菜子を彷彿させるエビ反りジャンプを見事に決めた。
10年来の相棒である田中美久との『生意気リップス』では、最初に猪原絆愛と安井妃奈の小学生ペアが登場し、当時のたわいもない子供のケンカを再現。そして大人になった今のふたりが登場し、会場は大盛り上がり。最後に仲良くふたりで手を繋いでステージの裏へ向かう姿は、当時から知る古参ファンにとっては思わず涙の演出だ。
VTRが流れて、卒業していった先輩たちとの思い出が語られる。そこで登場したのが1期生の兒玉遥、そして2期生の田島芽瑠、朝長美桜。矢吹とともに『2018年の橋』を仲良く歌う姿は数年前にタイプスリップしたかのよう。
続いて乃木坂46『君の名は希望』のイントロが流れ登場したのは指原莉乃。HKT48のコンサートになぜ乃木坂と思うかもしれない。さかのぼること4年前、横浜スタジアムで行われた指原の卒業コンサート。当時、矢吹は韓国で活動しており、この世界に入るきっかけであった恩人・指原のコンサートに参加できなかった。そこで歌う予定だった曲を、今回歌うことにしたのだ。
指原は「3年ぐらいバラエティタレントだから。そんな急に歌えないのよ!」と会場を笑わせつつ、「でも奈子のおかげで久しぶりにステージで歌うことができてうれしかったです」と語った。
可愛さ全開の『いじわるチュー』では、これまで出演したOGに加えて村重杏奈が登場。新バラエティクイーンとして芸能界を席巻中の村重、矢吹がソロで乗る予定だったゴンドラに乱入してファンの視線を独占。さすが勢いあるメンバーはやることが違う!
アンコールはもちろん「奈子ちゃん」コール。女性ファンの多い彼女らしく黄色い声もあちこちから聞こえる。ピンクベージュのドレスで登場した矢吹は『ここにいたこと』をしっとり歌い上げてラストメッセージ。
「10年間を振り返ると、楽しかったことも辛かったことも、全部の思い出が鮮明に蘇ってきて、その思い出の中にはいつでも大切なファンの皆さんや、スタッフさん、メンバー、家族がいました。本当にたくさん方に支えられて、ここまで来ることができたんだなって思います
さしこ(指原)ちゃん。ずっと大好きで憧れのさしこちゃんと同じグループで一緒に活動できたことが本当に嬉しいですし、アイドルとしてはもちろん、人としてもたくさんのことを学ばせていただきました。いっぱい褒められたり、いっぱい叱られましたし、反抗期にはケンカもしたりして 。
でも全部、さしこちゃんの愛だったんだなって後から分かりました。素直に甘えられない私なのに、たくさんの愛をありがとうございます。さしこちゃんは、私にとってかけがえのない恩人です。そして、これからもずっと私はさしこちゃんのTO(トップオタク)です!
大好きなメンバーのみんな。一緒に過ごしてきた時間も長いし、思い出がありすぎて、やっぱり離れるのは寂しいです。お弁当食べる時にいつの間にかメンバーがどんどん集まってきて、円を作って食べていたり、公演前に時間がないのに楽屋で人狼ゲームしたり、トランプしていたり、そんな仲のいいHKTが本当に大好きです。
声が出なくなるくらい笑ったり、辛い時は一緒に泣いたり、しょうもないことで喧嘩したり、みんなと作ってきた思い出は全部宝物で、私の青春のすべてだなって思います。本当にみんなと出会えてよかったです。これからもずっと1番の親友でいてください
そして最後に、ファンの皆さん。私は、ファンの皆さんに本当にたくさんの愛をいただきました。最初は、選抜に選んでいただいているのに、握手会に来てくださる方がなかなか増えなかったり、悩んだこともたくさんあったけど、今、こんなにたくさんのファンの方に見守られながら卒業することができて本当に幸せです。
アイドルとして、HKT48としては最後になるんですけど、これからも今までみたいに応援してくださったり、遠くから見守ってくださるだけでもすごく嬉しいです。もしかしたら、そうじゃなくなる方もいるかもしれないですが、いつかふと思い出した時に、『あの時HKT の奈子を推していて楽しかったな、幸せだったな』って思ってもらえたらいいなって思います。
昔から応援して支えてくださった皆さんも、最近好きになってくださった皆さんも、前は応援していたけど今は離れちゃったっていう方にとっても、私を応援していたこと、応援していることを誇りに思ってもらえるように、これからも人間性を高めて、もっともっと成長できるように努力し続けたいと思います。長くなりましたが、この 10 年間本当にたくさんの幸せをありがとうございました」
あらゆる人への感謝を忘れない、彼女の人柄があふれるメッセージだった。
田中美久からは「ふたりで活動することも多くて、比べられることだったり、つらい思いもすることがあったけど、奈子がそばにいるから頑張れたし。私の隣は奈子じゃないとダメだなってずっと思ってたから。すごく今日が寂しいんだけど......、こんなに素敵な奈子を見送ることができてうれしい。卒業しても頑張ってね」と涙。ふたりの姿に会場のファンもすすり泣き。
そして矢吹奈子、アイドルとしてのラストソングは『12秒』。元気いっぱいの矢吹の「よっ!」の掛け声が会場に響き、大盛り上がりで大団円を迎えた。
――今の率直な気持ちを聞かせください。
矢吹 終わった瞬間に全部の緊張がほどけて、あ、今日が最後のステージだったんだ。終わったっていう実感が急に湧いてきました。
――コンサートには指原さんもかけつけました。
矢吹 私が小学6年生で入った時から、親のように育ててくださった方で。指原さんの卒業コンサートに出演できなかったので、その時にできなかったことを今日叶えることもできましたし、感謝の気持ちも直接伝えることができてよかったなって思います。
――10年間は長かった? 短かった?
矢吹 今日、オーディションの時からの映像が流れていて、それを見ながらすごい人として成長したっていうのが実感できて、10年長かったのかなと思いましたし、でも自分が感じる分にはすごく短く感じました。
――今後どういった活動になっていくんでしょう。
矢吹 お芝居をさせていただきたいなって思ってます。こんな女優さんになりたいとか、目標にしてる方は作らないようにしようって決めてて、自分にしか出せない色を出せたらいいなとは思いますし。
10年間活動してきて、アイドル・矢吹奈子のイメージもあると思うんですけど、そのイメージを全部変えられるぐらいの演技をしたいなって思います。
――女優で、こんなことをしてみたいってありますか?
矢吹 すごく大きな目標になるかもしれないですけど、朝ドラのヒロインをいつか絶対やりたいなと。実力つけて頑張りたいと思います。
――恋愛についてはどうですか?
矢吹 最近は恋愛リアリティ番組の見届け人だったり、ゲストとして呼んでいただいて、皆さんのキュンキュンしてるところを見てきたので、私もそんなキュンキュンできる日が来たらいいなって思います。
――声出しのコンサートはいかがでしたか?
矢吹 私がHKTに帰ってきてからずっと声出し禁止だったので、4年ぶりとかですね。やっぱり違うなって感じます。お客さんからの熱量も今まで以上に伝わるものがありますし、掛け声のおかげで笑顔になれる瞬間がたくさんありました。
――コンサート中に一番泣いてしまったところは。
矢吹 たくさんあったんですけど、アンコールで出てきて、ファンの皆さんに感謝の気持ちを伝えるときに、ペンライトだったり、お客さんの表情を見てたら、いろんな感情が込み上げてきました。HKTの矢吹奈子として、最後の挨拶をする場所なんだって思ったら、すごく心がキュッてなりました。
――今日のドレスのポイントを教えてください。
矢吹 スカートの部分は制服をイメージした形らしくて。卒業したら制服衣装とか、学生役をやらない限り着なくなりますし。柄は全部葉っぱのデザインになっていて。衣装さんがこれからの奈子の人生で、いろんな花が咲いていくのが楽しみだっていうことを込めたって。もうほんとに可愛いです。
――アイドルに悔いがないと言ってましたが、今日コンサートに村重さんを呼んだのは悔いがある?
矢吹 そうかもしれないです(笑)。でも同じチームになったことはないですけど、明るさに救われてたこともたくさんありますし、HKTってすごい明るいイメージがあるじゃないですか。それって村重さんがいたからそうなったんじゃないかなって思う部分もあります。
――最後に応援してくださる方に今後、どういう姿を見せていきたいですか?
矢吹 ずっと応援してくださる方も、離れていく方もいるかもしれないですけど、私のことを応援してること、してたことが、誇りに思ってもらえるような活動がこれからもできたらいいなって思います。