SEX MACHINEGUNS。左からSHINGO☆(ベース)、ANCHANG(ボーカル、ギター)、THOMAS(ドラム)SEX MACHINEGUNS。左からSHINGO☆(ベース)、ANCHANG(ボーカル、ギター)、THOMAS(ドラム)

4月12日(水)にデビュー25周年を迎えたSEX MACHINEGUNSが、約4年ぶりとなるニューアルバム『地獄の暴走列車』をリリース! 25年モノのヘヴィメタバンドを侮るなかれ。熱く激しく、そして時にクスリと笑える楽曲を奏でる彼らは全くの衰え知らずで、「現役マシンガー」の人はもちろん、かつてマシンガーだった人も、初めてマシンガンズに触れる人も、絶対に頭をブン回したくなるような傑作アルバムが誕生した! そんな新作『地獄の暴走列車』や、四半世紀も続いたバンドについて、メンバー3人を直撃!

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変わらないというより変われなかった

――1998年4月12日にメジャーデビューして、2023年4月12日でデビュー25年。おめでとうございます!

ANCHANG ありがとうございます。

――ちょっと失礼な話になるかもしれませんが、メタルを通ってきた人は誰しも一時期、少し聴くのが恥ずかしくなるような時期もあると思うんですが、今回リリースされる『地獄の暴走列車』を聞いて、「やっぱりメタルはいいな」という、いい意味で変わらない安心感もあったし、歌も演奏も進化を感じられました。

ANCHANG 変わらないというより変われなかったんですよね(笑)。マシンガンズを始めた時に、すでにメタルをやっている人たちはあまりいなくて、リアルに「ダサい」と言われたし、メタルというだけでライブハウスに出させてもらえなかったこともあった。

それくらい厳しい状況だったので、当時は余計、意固地になって、「だったらメタルでなんとかしてやろう!」という気になりました。さすがに25年もやってるので、僕の中でのメタルブームみたいなものは1周も2周もしていて、メタルじゃない音楽をやりたい時期もあったし、ソロアルバムに挑戦したこともあったんですが、メタル以外のものはうまくできなかったし、「結局自分はメタルしかできないんだな」ということを再確認したんです。

――25年続けていて体力面はどうですか?

ANCHANG 全然大丈夫ですね。そのかわり、「これくらいならジャンプできるだろう」とか「ここからなら飛び降りても大丈夫だろう」みたいな無茶もしなくなりました(笑)。

――ツアースケジュールの密度もすごいです。

ANCHANG 自称「ライブバンド」というのは25年経っても変わってなくて。ヘヴィーメタルっていうジャンルはプロモーションもしにくいですし、ライブが一番のプロモーションなんです。

――25年の間に、解散、脱退、加入といったさまざまな紆余曲折があったと思います。一番印象に残っていることは?

ANCHANG  (新メンバーの)THOMASですかね?

THOMAS えっ⁉

ANCHANG いや違いますね(笑)。変な話、もともと学園祭に出たくて始めたバンドだから、ずっと続けようなんて全然思っていなかったし、ここまで続くとも思っていなかったんです。だから初めて解散するという時(2003年)にショックや驚きもあったけど、それ以上に「そういや学園祭バンドだったな」って思ったんですよね。それが一番印象に残っています。

でも、その次の段階になると「じゃあ他に何ができる?」って思い始めて、その都度「あ、やっぱりこれしかできないな」って再確認する。だから最初の解散以降は、休止やメンバーチェンジがあっても、あまり驚かなくなりました。

――昨年加入されたTHOMASさんはバンドをどう見てますか?

THOMAS 僕はバンドを生業とする人になりたいとずっと思っていて、その中でもマシンガンズは特にモチベーションが高くて目標だったんです。その気持ちは加入してからも変わらないですね。

――SHINGO☆さんは加入して15年以上ですよね。

SHINGO☆ 加入して16年、メンバーもだいぶ変わりましたけど、やっぱりライブが楽しいんですよ。それまで違ったジャンルの音楽をやってきて、マシンガンズのライブで初めてこんなにヘッドバンギングをして、こんなに大声で叫んで、こんなに汗をかいて、「この快感はなんだろう? またこれを味わいたい」って思い始めて。その繰り返しでここまで来たんです。中毒みたいな感じです(笑)。

――ファンの方も、25年選手の方もいるということですよね。

SHINGO☆ いらっしゃいますね。みなさんやっぱり少しずつ首が太くなってきて(笑)。

ANCHANG 中には首を振れなくなった方もいますけどね(笑)。

『地獄の暴走列車』ジャケット。SHINGO☆がアートディレクションを担当し、昨年加入したTHOMASが「暴走機関車 THOMAS」となり、ANCHANG、SHINGO☆が乗っかっている『地獄の暴走列車』ジャケット。SHINGO☆がアートディレクションを担当し、昨年加入したTHOMASが「暴走機関車 THOMAS」となり、ANCHANG、SHINGO☆が乗っかっている
バンドもお客さんも、いつまであるかは分からない。だからこそ

――今回の『地獄の暴走列車』はオリジナルアルバムとしては、2018年の『IRON SOUL』以来4年ぶりのリリースとなりました。4年の間に世界も一変しましたが、バンド活動への影響は?

ANCHANG さっきも言った通り自称ライブバンドなので、「ライブをやれないでどうする!?」というのは大きかったです。「作曲活動にいそしみます」なんて言ってるアーティストもいましたけど、僕らからしたら「バカじゃねえの!」ですよ。「ライブできないのに曲作ってどうするの!?」って。

そりゃ、めっちゃ売れてる人たちはいいですけど、僕らはライブバンド。なので、配信とか人数制限とかもありましたけど、なんとかライブを絶やさずに続けましたね。で、作曲の方はあまりしなかった(笑)。そろそろツアーができるんじゃないかという状況になってきて、慌てて曲を作り始めるという。それが今回のアルバムです(笑)。

――そのものズバリなタイトルの『ワクチン』という曲もありますね。

ANCHANG 当時のリアリティを込めた結果ですね。ただコロナ禍の初期段階に作った曲で、その時は「ワクチン打ったらすぐ治る」って思ってたので、今の世間の認識とはズレてるかもしれないですけどね(笑)。

――アナゴさんをテーマにした『唇な男』など、そういったユーモアも随所に忘れずに入れつつ、一方で「ジャパメタ愛」を詰め込んだ『燃えろ!!ジャパメタ』のような曲もあります。

ANCHANG 実は僕らの中では「ジャパメタ」という言葉を使うのを封印していたんですよね。それは、僕らが聞いて育った先輩世代が「ジャパメタ」と呼ばれていて、そういった先輩たちに負けてしまうような気がしていて。

でも、そんな先輩たちの中には、もう亡くなってしまった先輩や、バンドができなくなってしまった先輩たちも出始めた。「これはヤバい」という危機感があって、同世代に対しては「みんなジャパメタを聞いてただろ! 忘れてたでしょ? 思い出せよ!」というメッセージも込めつつ、自分たちには「ジャパメタがあったからこうなれたんだ!」「だからジャパメタの曲を出しておかないと」という気持ちもありました。

なので、ジャパメタの先輩たちの歌詞を入れ込んだ歌詞になっています。「あの曲やん!」って分かってもらえたら嬉しいですね。

――25周年イヤーの今年は、クラブチッタ2days公演やツアーが待っていますが、これからどんな1年になりそうでしょうか?

ANCHANG これはメンバーが替わるたび言ってることなんですけど、僕らはライブバンドなんで、田舎だろうが都会だろうが海外だろうが、どのライブも全力でやる。もちろん会場が大きいとかお金がかかってるとかの事情はありますけど、「この時だけ特別な面白いことをやろう」とかは考えずに全開でやる。「全開でやるからこそ、特別なことはできませんよ」といつも思っています。

――ある意味、「特別なことをしない」というライブが、毎回特別なものになっているという。

ANCHANG そうですね。あとはお客さんが勝手に特別なものにしてくれればいいんです。

――だからこそお客さんも、気合い入れてちょっと見た目を綺麗にして行ったり、ライブでしか着ないTシャツを着たりしますもんね。

ANCHANG そうであってほしいです。そのためのライブをこちらも毎回やっていますからね。

――今後の目指すところは?

ANCHANG どんどん大きなところでやっていきたいですね。それは具体的にどこどこでやる、ということではなく、お客さんとバンドが一緒に登っていく感じをまた見せたいんです。徐々に会場の規模が大きくなっていって、音響も設備も良くなって、お客さんも増えていく。そういう光景を見せたいですね。

SHINGO☆ 僕はコロナを経て、命の大切さや人生の終着点について改めて考えて。僕らの命もバンドの命もいつかは終わってしまう。だからこそ命をかけて人生の終着駅に向かっていかなきゃなって。それこそ『地獄の暴走列車』に乗ってね(笑)。

ANCHANG 「乗ってはいけない電車に乗れよ」的な?(笑)

SHINGO☆ そうそう(笑)。

THOMAS  僕はそれまで同年代の人とバンドを組んでたんですけど、去年の6月にマシンガンズのメンバーになって、実はマシンガンズで活動できるのは時間が限られてるんじゃないかって考えるようになったんですね。

僕は若いから、まだバリバリ叩けるのにバンドは終わってしまうなんてこともあるかもしれない。だからこそ、自分の今後のドラマー人生を今に凝縮させてでも、出せるものはマシンガンズに詰め込みたいと思っています。

もうひとつは、25年も続いてるバンドだから、「昔マシンガンズを聞いてたよ」みたいな元マシンガーの人も結構いると思うんです。そういう人たちをもう一度呼び起こして、ライブハウスにいざなってやりたいなって思ってるんです。あの快感をもう一度味わわせて、もう一度マシンガーにさせる。それは大きな目標ですね。

ANCHANG お客さんも、もしかしたらあと5年、10年っていう人もいるかもしれないもんね(笑)。今見とかないと、自分も死ぬかもよって(笑)。

THOMAS 意外と時間はないかもしれない。そう思っています。

――『地獄の暴走列車』からはちっとも衰えを感じなかったですけど、いずれ来る終わりを見据えての25周年ということですね。

ANCHANG そうですね。(髪の生え際をさすりながら)あとは僕のこの辺が増えないかな、なんて思ってますね(笑)。

■SEX MACHINEGUNS(セックス マシンガンズ)
1998年4月にメジャーデビュー。『みかんのうた』などに代表されるユーモアあふれる、しかしクオリティの高い楽曲やパフォーマンスが人気となり、渋谷公会堂、後楽園ホール、日本武道館などの公演を成功させたが、2003 年の日本武道館公演もって一時活動を休止。その後、数度のメンバーチェンジ、活動休止を経て、2014年から活動を再開。デビュー25周年となる2023年4月12日に、13作目のアルバム『地獄の暴走列車』をリリース。

『SEX MACHINEGUNS 25 周年クラブチッタ 2DAYS』
4/14(金)川崎 CLUB CITTA'
SEX MACHINEGUNS、打首獄門同好会
4/15(土)川崎 CLUB CITTA'
SEX MACHINEGUNS、ゲスト:デーモン閣下

『SEX MACHINEGUNS ワンマンライブ』
4/28(金)柏 PALOOZA

『なーるほど ザ ワイルド 春の祭典25周年スペシャル!』
5/10(水)松山 WStudio RED
5/12(金)岡山 LIVEHOUSE image
5/13(土)小倉 LIVE HOUSE kokura FUSE
5/14(日)周南 LIVE rise SHUNAN
5/16(火)広島 SECOND CRUTCH
5/17(水)神戸 VARIT.
5/19(金)名古屋 RAD HALL
5/20(土)梅田 Zeela

公式サイト:http://sexmachineguns.smg-fire.com/