耳の早い音楽ファンの間で、いま最も人気急上昇中のバンドが離婚伝説だ。彼らは松田歩(Vo)、別府純(Gt)による二人組。昨年1月に結成され、8月に初となる楽曲「愛が一層メロウ」が配信されると、その怪しい?バンド名とともにネットで広がり、ハマるファンが続出! 今年1月にはついにCDでもリリースされ、ラジオでもヘビープレイされるなど、注目度はうなぎ上りだ。
とにかく楽曲が魅力的。艶のあるギターに、甘く切ないヴォーカル。ソウルを基調にしたメロウで洗練されたサウンドはブラックミュージックファンから、ロック、シティポップファンまでを虜にする。
そこで今回は彼らを直撃。気になるバンド名から、彼らの音楽的なルーツ、話題曲「愛が一層メロウ」の制作秘話などその活動について広く聞いた!
――最初は「離婚伝説」というバンド名についてお伺いさせてください。とても個性的な名前ですけど、どのような経緯で付けられたんですか?
別府 マーヴィン・ゲイのアルバム『Here My Dear』(邦題:離婚伝説)から付けました。英語と日本語、どちらにするか迷いましたけどインパクト重視で日本語の「離婚伝説」に決めました。
――インパクト有りすぎです(笑)。二人ともマーヴィン・ゲイのようなソウル~ブラックミュージックが好きとか?
松田 大好きです。中学の頃にDJを始めて、スヌープ(・ドッグ)などのウェッサイ(西海岸のヒップホップ)から入り、ディアンジェロやスティービー・ワンダーとの出会いをきっかけにソウルやR&Bなどのブラックミュージックを掘り下げていきました。
小さい頃は母親が好きだったKinki Kidsやマライア・キャリーなんかがよく家で流れていた記憶が残ってます。ジャンル問わず、音楽はなんでも聞きますよ。最近は星野源さんにハマってます。
別府 僕もブラックミュージックは好きだけど、それ以外も何でも聴きます。最初は中学の時にレッチリ(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)に出会い、レディオヘッド、そしてエイフェックス・ツインなどのエレクトリックな音楽へいって、ビートルズに辿り着き......、みたいな。
――かなり幅広いジャンルを聴かれるんですね。ちなみに、どんな流れで音楽を始められたんですか?
松田 幼少期にピアノを数年間やっていました。それが楽器との出会いですね。歌うことに関しては小さい頃からずっと好きで19歳の時にヴォーカルグループに誘われて、そこで楽しさを覚えました。
別府 僕が楽器を始めたのは中学の時、リサイクルショップでギターを買ってからですね。それ以来ずっと弾いています。
――そんな二人がバンドを結成したきっかけは?
松田 職場が一緒だったんです。お互い別々に音楽活動をしていたんですけど、1年半前かな。コロナ禍で仕事が休みになって暇なので、お互いに弾き語った音源をLINEで送り合うようになったんです。
別府 それがだんだん溜まっていって、じゃあ結成しようかと。遊びだったのがいつの間にかって感じです。
――自然発生的に始まったんですね。ずっと二人で?
松田 そうですね。前のバンドをやめてからは1人でやっていこうと決めていたんですが、別府と遊びで曲を作るうちに2人ならやっていけそうという思いも生まれ結成に至りました。仲が良いので気楽に楽しく曲作りできています。
別府 アー写だって、人数が多いと少し遠めの引きの絵ばかりになっちゃう。二人ならバリエーション豊富に撮れるからいいですよ。
――なるほど。CDのジャケはサイモン&ガーファンクルのアルバム『Bookends』みたいです。
別府 そうです。そこからインスパイアされました。
松田 あと爆笑問題のアー写からも(笑)。二人組ってことで最終的な目標はB'zです!
――曲作りをする上での役割は?
別府 決めてはいないです。どちらも歌詞を書くし、トップライン(主旋律)だけどちらかが考えることもあるし。
――細かくコミュニケーションをとって、二人で制作していると。
松田 そう。普段は僕の家で制作しています。というか近所同士なのでほとんど毎日会っていますね。
――最近ラジオでも耳にする、ファーストシングル「愛が一層メロウ」はギターのカッティングとファルセット(裏声)ヴォーカルが全開のメロウソウル。どんな風に作られたんですか?
松田 最初にギターのリフがあって、そこからメロディをつけていきました。でもただメロウなだけじゃなく、インパクトが欲しいねという話になって、"愛が一層メロウ"ってサビを一気に12回繰り返す形になりました(笑)。
――なるほど! 甘い曲だと気を許したら"愛が一層メロウ、愛が一層メロウ、愛が一層メロウ、愛が......"ってサビが頭に焼き付いて、脳内ループしちゃいます。このサビ、レッチリの名曲「Give It Away」のサビにもどこか近い気も。
別府 あっ! 気付いてもらえましたか、そうなんです。「Give It Away」は意識しています。イントロのギターが山下達郎の「Sparkle」っぽいとはよく言われるけど、それは初めて言われました(笑)。
――その山下達郎じゃないですけど、「~メロウ」は曲調が華やかでスタイリッシュですよね。「シティポップのニュースタンダード」なんて言われることもあります。
松田 達郎さんはもちろん大好きですが、僕ら的にはシティポップをやりたかったという意識はそんなに無くとにかく楽しんで曲を作ってます。今後は幅の広さも見せられればと思うので皆さんにも広い心で聴いていただけると嬉しいです。
別府 次に作る曲はまるで違うものになるかもしれないしね。ただスタイリッシュなのは意識してるかな。僕が28歳、松田が27歳。新人バンドとしてはそこそこの年齢で、いまさらパンクみたいな初期衝動に満ちた音楽を演ろうとは思ってないから。
松田 うん。ライブで対バンすると、みんな年下だもんね(笑)。
――今発表されている3曲「~メロウ」「メルヘンを捨てないで」「スパンコールの女」は、どれもラブソングばかり。ラブソングにこだわっているのはなぜ?
松田 いまのところ、僕らのテーマは愛なんですよ。
――愛!? ではなぜ愛?
別府 う~ん。たまに「曲のテーマは?」とか聞かれるんですけど結局、歌いたいことってそれしかないんですよね。やっぱり「愛こそは全て」。それこそが僕らにとっては王道ですね。
――ちなみに二人が音楽以外にハマっていることは?
別府 僕は映画です。それこそ名作からB級っぽいものまで何でも観ます。好きな作品は『シティ・オブ・ゴッド』(2003年公開、フェルナンド・メイレレス監督作)。あれってカレー、ピザ、パスタ、ステーキをパンで挟んでハンバーガーにしたというか(笑)、美味しい要素がたくさん入っていて、ごちゃごちゃ。しかも出演しているのはほとんど素人。やたら挑戦的なのがいいですよね。
松田 僕はファッションです。以前、古着屋で働いていた経験もあったり。自分を表現する上で大事にしている要素の一つです。MVでも自分たちの衣装を楽しんでスタイリングしています。ファッション次第で、曲のイメージが膨らむのが楽しいですよね。あとゲームも大好き。昔は『コール・オブ・デューティ』とかめちゃくちゃやってました。気づいたら朝になってるとか、時間が溶けていく感じがまた楽しくて(笑)。
――二人とも趣味を語りだしたらキリがなさそうです(笑)。いまやアーティストとして、どんどん注目度が高まってきていますが、今後の目標は?
松田 フェスに出て、ワンマンライブをやることですね。
別府 僕は海外でライブしたいです。アジアとか、アメリカとか。一体、どんな反応をもらえるのか気になります。
――ゆくゆくは誰かに曲を提供したりとか。
松田 たまに「やらないんですか?」って聞かれますよ。
別府 いつかぜひやってみたいです。アイドルの音楽も好きで聴いたりするので、アイドルに提供とかも楽しそうですね。
でもいまは自分たちの曲を書かないといけないので。まだ7曲しか持ち曲がないので、まずは自分たちの楽曲ですね。それこそワンマンなんて無理ですから。
――ありがとうございました。今後の活躍を楽しみにしております。最後に余談ですが、あるインタビューによれば、松田さんはYOASOBIの幾田(いくた)りらさんが好きだとか。
松田 はい。すごい好きなんですよ。というか、いろんなところで言ってますけど、とにかく幾田さんにお目にかかりたいです。
――いつかはYOASOBIとコラボなんて!
松田 あー、それは最高ですね。じつはそれが自分の中の目標だったりして(笑)。
●離婚伝説
松田歩(Vo)、別府純(Gt)の二人からなるバンド。2022年1月結成。8月ファーストシングル「愛が一層メロウ」をYouYubeにアップし、デジタル楽曲で配信。じわじわと話題を呼び、今年1月には3曲入りCD「愛が一層メロウ」の形でをリリースした。
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