あらゆるギャンブルに精通し、どんな場面でも貪欲に勝ちを狙う男・じゃい。馬券でマンションを買ったという芸能界屈指のギャンブラーが、人生を勝ち抜く極意を教えます。
【今週のお悩み・第52回】AI予想というのが人気ですね。結果だけ見れば、人間の予想とそんなに大差ないようですが、いずれ精度が上がったら、人間では太刀打ちできなくなるかもしれません。
週末のNHKマイルでは、あるAI予想ではエエヤン、違うAIではカルロヴェローチェやオオバンブルマイに印が打たれていました。
情報をできるだけインプットするじゃいさんの予想とAI予想、どこか違う点があるのでしょうか。人間はAIに勝てるのでしょうか?(40代・男性・自営業)
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今回の質問は非常に面白い質問であり、とてもいい質問ですね。現在、2023年、令和でいうともう5年になりますか。日本の競馬が誕生してからまだ100年も経っていないのですが、時代は移り変わり、競馬が生まれたあの頃とはまるで世界が違ってしまいましたね。コンピューターによるAI予想なんて誰が想像したでしょう。
でも、将棋の世界では、プロ棋士がAIには勝てない時代になってきています。競馬はどうでしょうか? AIは人間に勝てるのか? 人間はAIに勝てるのか?
結論から言えば、今現在では勝ったり負けたりじゃないですかね。正直、AI予想には勝てる自信はあります。
将棋の場合は完全に情報ゲームですから、人間の能力を凌駕する処理能力があるAIはどんどん強くなります。1億通りの手筋を瞬時に読むなど人間には到底無理ですが、AIではそれが可能ですから。
競馬の場合は不確定要素が多すぎて、AIの力で馬がピッタリ当てられる、なんてことはありません。出遅れ、接触、怪我、落馬なんて読むことは不可能ですし、馬の調子すら今の時点では読めないと思います。
あくまでも過去のデータのみの判断になるでしょう。
そもそもAI予想によって勝ち馬が違うというのもおかしな話で、それぞれの予想する会社で優先している項目やデータが違うのでしょう。
質問にあるとおり、あるAI予想はエエヤン(9着)、カルロヴェローチェ(5着)オオバンブルマイ(3着)と1着、2着の馬を的中出来ていません。
まあ僕もオオバンブルマイが本命でしたので当たってませんが。僕の場合は1着のシャンパンカラーを完全に切ってしましましたから、ほんとにクソ予想でしたね。
言い訳になりますが、あんまり調子が良くないと思ってしまったんです。実績的には買えない馬ではなかったのですが、でも考えた末に切った馬なので後悔はこれっぽっちもありません。
ただ、反省はあります。次の予想に生かせたらと思いますけど、もちろん、総流しをしよう!ということではありませんよ。見落としてしまった部分を次は見落とさないようにしたいと思っているだけです。
「次こそは当てるぞ!」という気持ちも実はあまりないんですよね。当たることはうれしいですし、自分の予想通りになったときは興奮しますが、毎回当てるのは不可能なので。
さて、ではこの先AIの精度が上がったらどうなのか?
正直現状は難しいでしょうね。競馬で「来る馬を当てる」という意味ではほぼ無理だと思います。
ただ、「このような買い方を続けていけば勝てる!」というのは可能だとは思います。実際ソフトで買って人でプラスにしている人もいるでしょう。
僕はそんな買い方はしませんが、AI超えは出来ると思います。記憶力、処理スピードなどAI予想には勝てない部分も多々ありますが、AIでは判断出来ないことに気が付いたりすることはあるでしょう。
逆にAI予想がもっと進化してくれれば、それによってオッズの変動も起こる可能性もあります。人間はそれを利用して、回収率で勝つことも出来るわけです。
とはいえ、AIもこの先どんどん進化していくでしょう。50年後、100年後になればとてつもないAIが誕生してることも十分あると思います。
でも、「そんな馬券が面白いかな?」っていうのはあります。
将棋も人間同士が戦うからこそ名対局や感動する対局、奇跡の大逆転!なんてことが起こるわけです。だから見ていて面白いのです。
おそらくどれだけAIが進化しても、僕がAIを頼って予想することはありません。
なぜなら、面白くないからです。競馬で当たった時の感動も違うでしょう。僕は人間の力の限界に挑みます。歳をとって、脳も衰えていっているのを実感するところはありますが、進化は続けていきたいと考えています。
来週はヴィクトリアマイル! 絶対当てます!なんて言えません。ただ、当てたいです!
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じゃい
1972年生まれ、神奈川県出身。97年にお笑いトリオ「インスタントジョンソン」を結成し、ネタ作りを担当。芸能界随一のギャンブラーとして知られ、過去には9370万円の馬券を的中させたことも。『稼ぐメンタル ギャンブルで勝ち続ける「ブレない」心の作り方』(KADOKAWA)など著書も多数。